8話
深夜 1時
毎度、このドアノブを開けるのは躊躇する。
でも1日耐えたことの、どんなに苦しくても1日は終わると言う実感からこの扉を開けることが出来た。
それにこの時間だから、すでにみんな寝ているかも知れないと思ったが・・・
母「・・・優、お帰りなさい」
母親は起きていた
優「・・・」
ただいまとは、言いたくない。
そもそもこの家で俺は他人のように扱うことにしたんだ(勝手に俺が・・・でも母を除く他もそれを望んでいる筈だ)
母「今日は何をしたの?」
俺の気持ちは多分ある程度理解しているが話すことを辞めない。
出来れば、母とすら話したくない。
もう決めたんだ。他人だと・・・
少し前までは、親によるサポートを望んで仲良くしようと誓っていたけどそれは全て崩れた。
母「・・・やっぱりあんまり話したくないよね」
そんな顔をするなよ・・・あざといよ・・・
うざいよ。
つか、でもそうだ。これだけは聞かないと・・・
いつこの状況が打破されるか分からないし・・・
話したくないけど
優「・・・そういえば、雪さん達お父さんは?」
母「・・・」
母くらい顔をする。
別居?それとも仕事が忙しいのか・・・または既に離婚したとか・・・
母「離婚したのよ」
正解だった。・・・よく考えたら、あの写真のエリアに俺とお父さんもないけど、あの人達のお父さんの写真もなかった。
優「何故?」
母「・・・最初は良い人だった思った。」
・・・また、騙されたのかよ。
「虐待だったの」
虐待・・・その一言だけで、心にモヤが掛かるように複雑さを感じる。
「ちょっと待っててね」
母は箱から写真を取り出した。
「どうして、こんな写真」
「別に私も残したい訳じゃないわよ。ただあの人が訴えきた時の証拠としてね」
2人の背中に傷が沢山ある。明らかな焦げ跡やムチか何か叩かれた傷跡も
「幸いなことに再婚してからは虐待なんてしてなかったんだけど、2人から教えてもらったの」
優は、複雑な気持ちになる。
優自身、この平和な国でかなり不幸な生活をしている自身はあった。
だけど、虐待は痛みは・・・それを遥かにますだろう。
別に優は不幸比べをしたい訳じゃない。
でも、自分は理不尽だと思い続け、時にはその理不尽に打ち勝った自分を褒めてきた優にとって、この現実は、辛い状況の中で作り上げたプライドをへし折ることだった。
「・・・」
母「ごめんね。こんなの優に見せて・・・優のことも当然に大切に思っているけど」
遠回しに2人も大変だったんだと言ってようなもんだ。
「・・・」
でも、だからなんだよ。・・・俺は別にアイツらに何もしてないのに、奴らは俺を責めてきた。確かに暴力はしてないから全然楽だけど、俺からしたら二人も父親・・・人を傷つける人間なのは変わらない
そうだから
母「・・・優、泣いてるの」
だからって、・・・人は傷つけることもしょうがないんだよ。
自分を守るために、あの時もそうだった。守る為だった。仕方ないんだよ。
そもそも、俺だって復讐を望んでいた。こうして母を傷つけている。
俺だって同じだ。
母 「・・・優しいんだね。優」
だからって、あんな態度をされたら、
こっちも仲良く出来ない。そもそもあっちだって
母「優、泣かないで」
寄り付けないことを望んでいる・・・なら、俺の選択は間違ってない。
それに、あんなに傷ついた心だ。簡単に埋められる訳がないんだよ。
母「優、こっちに」
母は優を抱き寄せようとするがそれを払う。
母「・・・優」
優「それなら、尚更今のままの方がいい。」
母「そうかも知れないね。私は母だし、みんなに仲良くして欲しいと思ってるけど」
うるさい、そのきっかけの一端を担ったお前が言うな
「・・・俺はもうシャワーを浴びてくるから」
「わかった。私はもう寝るね・・・おやすみ」
優は母を無視して、シャワーを浴びる。
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シャワーを浴びて、さっきの会話とこれまでのことを思い出す。
辛かった父親との別れ、それでも幸せだった妹との日々 築き上げた幼馴染の楽しい日々
そして、全てが壊れたあの出来事
失う時間と心が欠け続ける少年院
何も心が埋まらないまま取り残され抉られ
そして知った新しい事実
裸のまま、シャワーの水圧を忘れ鏡を少し叩くように腕と拳を付ける。
「あ、ぁあ、あ、ぁあ、」
吐き出る悔しみと悲しみ・・・
もし、他の人ならこれを相談しとて口からもっと優しく言葉して悲しみが出ていくだろう。
だが、優には相談する相手は居ない。
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110pになったら次回を投稿しますが少し休みます。今日中に気付き次第投稿します。もう11話までは作ってあります。
(ちゃんと1500文字以上だよ あとネタギレもまだまだしてないです。続きもすぐに書ける自信があります。)
130p 155p 180pになっていた場合連続で投稿します。
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