6話
そして、夜 優の長い一日はまだ終わらない。
また、このドアノブを開けるだけでもすごく辛い。
でも、今日は話さないといけない・・・それにこれ以上遅くなって寝られても困る。
「・・・ゆ、優。おかえりなさい」
久しぶりに聞く声・・・
優は不思議な気持ちを理解をする。
母性なのか、不思議と溢れる思い・・・怒りもあるし、なんだか、話したくなる安心感
母だからしてもいいと思ってしまう、溢れる高揚感・・・
と同時に出てくる復讐心・・・母なのにされたと思う怒り・・・
自分がこの母じゃなかったらと思う理想
様々な思いや感情を理解して、ひとまず落ち着く。
もう自分はすでに乗り換えた筈だと。
何より本当の敵は妹と、あの兄妹・・・この母はまだマシ・・・ではない。
やはり、この状況、勝手に再婚をした戦犯である。
どうしても、油断してしまいそうになる。
暴走したくなる。
そこで優は逆に過去を思い出し・・・辛かった裏切られた悲しみを、今だけ思い出すことにした。
もうあの時のようなことはないように・・・
油断して心を許して、また落とされないように
既に部屋を取られて、お父さんもないことにしたんだ。そんなことをした人間なんだ。
この母の本性は簡単に人を消せる。
あの妹や、あの兄妹のような家族と再婚した・・・何より、簡単に裏切られた弱い俺の母親なんだ。
「優、出来ればその無視をしないで欲しいな」
「・・・無視したわけじゃないよ。考えごとをしていて」
「そ、そう。それって一人暮らしのこと?」
「そう。」
実際は違うが、先に話してくれたことは素直に助かる。
何より、ただいまを強制されるような状況を回避出来た。
大丈夫だ、落ち着け。
「バイトもするの?」
「うん、しようと思う。あとこの家は基本はシャワーと寝る場所だけ借りたい。」
「それは、いいけど寝る場所はここ?」
「そう。部屋もないんだろう」
最大限の親に対する、子供差別を嫌味と脅しだ。
どう答えてくる?
「ごめんね。あの子と暮らすのは嫌よね」
・・・予想通りの答えだ。
どうやら、この母親は一応あの義息子達のことは見れているらしい。
「うん。だからここで寝る」
「わかった。」
「じゃあ、あとは書類だけお願いしたい。」
「・・・ねぇ優」
「なに?」
触れるのか
「成人になったら家を出ていくつもりなの」
まぁそうだよな。
あー、くそ。気持ち悪い。
この逃れたいけど、結局は母親のこの状況に頼らざれる追えない状況・・・
できたら、もう今からでも出ていくと言いたい。
こんな家から出たいと!!でも、言えない状況的に、シャワーと寝る場所はないといけない。
だから、甘えないといけない。
この嫌う相手に、しかも・・・相手も俺に嫌われることを理解した上で、この話をしないといけない。
辛い、過去のこともあり、もうプライドがグチャグチャにされている。
でも答えるんだよ。
どんなに恥ずかしくても、状況的にもおかしくても・・・これ以上親に関わりたくなくても、
言わないとしないとダメなんだ。
「そうだよ」
本当なら勝手に逃げたい。こんないい残すような未練があるようなないような言い方したくない。
まじで関係を消したい。だからこんな後腐れがあるような言い方をしたくない。
「そっか・・・そうだよね。ごめんね。優」
母は俺に笑顔を向けてくる。
殴りたい。そう思った。
だけど、抑えた。
抑えられた。
思わず殴りたいと思った。
笑顔で謝るとか?何様なんだ?
親だから悲しみあるような、顔で謝られても俺が困るだけと思ったのか?それか責められるのを覚悟して言ったのか?
分からない。だけど、仮にどっちにしろ俺の気持ちを分かったような態度されるのがもうムカつく。
だが、抑えろ。
抑えられたんだ。
「責めないのね」
責めたいよ。そんなこと言われたら尚更・・・
その煽りに贖罪にのって、スカッとしたいよ。
でも、俺は我慢するんだ。
「・・・」
「・・・黙るってことは、許してる訳じゃないのね」
ムカつく。
つか、早く会話を終わらせないと、本当に手が出てしまうかも知れない。
「じゃあ、今度こそ書類だけ」
「高校、」
母は答える。
何を言ってるんだ?
高校?高校って言った?
俺から高校時代を奪っておいて、
なんで俺にそのNGワードを言うんだ?
まさか、高校に通えってか?
いやでも、これから行くなら通信とかならありか、
落ち着くのはむしろ俺の方だ。
今までプライドを折りまくった。
これは素直に今後に・・・復讐より大事な真の目的である自分の幸せの為に・・・これは素直に従うしか
「高校には通って欲しいの」
「・・・わかった」
「ありがとう、それでね。もう話はつけてあるんだ。」
「・・・」
「私の中ではせめてもと思って、だからこの高校に通って欲しい・・・それがせめてもの条件よ」
そうして、俺はその条件を受けた。
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妹視点
お母さんがグーサインしている。
よかった。本当に、良かった。
お兄ちゃんokしてくれたんだ。
夏「えー、何okしたの?最悪じゃん」
春「私は嬉しいよ。あー、せめて、いや今度こそ。学校では私はお兄ちゃんに償うんだ。どんなことをしても」
夏「うげぇー、」
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