10話
夏視点
お母さんも春も何も言ってこないってことは気付いてないのよね。
・・・バカよね。
普通は気づくでしょ、千円くらい。
そうだ。これで折角だからアイツを抜きしてこの千円で家族でアイスパーティーをしよう。
「・・・このまま帰ってこなければいいのに」
気持ち悪いのよ。男がいると・・・
そのせいで、トイレもいちいち細かく洗わないと気が済まないし、夜は怖くて中々眠れないし
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雪視点
最近、俺は好きな人が出来た。
少しやばいような関係がありそうだが、俺には関係ない。
・・・俺はやつとは違う。一度愛した人をちゃんと最後まで愛せる自信がある。
「・・・それで、雪くん出来ればなんだけど」
「はい、なんですか!!先輩」
やっぱり可愛いな、先輩は
「買って欲しい物があるんだ」
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春視点
やっぱり、優はもう居ないようだ。
どうしよう、このままじゃ・・・謝らないで時間だけが経っちゃう・・・出来れば高校までには関係を少しでも良くしたかったのに・・・
話を聞いて心が響く感じがした。
私の中で憧れの人は変わらないままだった。
小さい頃に抑えていた蓋が開いたような感覚だ。
「・・・」
あの時、お兄ちゃんが家に来た時・・・心が壊れ掛けていた私はお兄ちゃんに優の代わりになるようにお願いした。
お兄ちゃんは可能な限りそれに答えてくれたがやっぱり優のように気が利いたり、優しくしてくれることはなかった。
お兄ちゃんも悪い人ではないが良い人でもない。
やっぱり優は特別で・・・だから尚更あの出来事が信じられなくて・・・
そして、真実を知って・・・また、戻って・・・
でも、優は変わってしまったと思っていた。
だから蓋を閉めたまま出来たのに・・・
思い出してしまう。
私の為に泣いてくれた彼の姿を・・・
「・・・私は、私は」
不安になってしまう。
優との関係は戻りたい。
そう思っているのだけど、もし戻ったらその先を望んでしまうかも知れない。それが怖くて
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母視点
優には二つ話してないことがある。
一つは2人は虐待だけが問題じゃないこと
もう一つは高校が春達と同じということ・・・
せめてと思い・・・私は春と雪と夏の同じ高校にした。これは私からの勝手な最後の我儘だった。
優はもう高校を選べないし、あの高校には嫌な先輩(幼馴染)もいるのに・・・どうしても、
・・・家族でずっとバラバラなんてことを、
私が選べる訳がない。
夏 「ねぇ、お母さん。アイスパーティーしない?」
そんな悩んでいる私に夏は気づいてくれたのかそんな提案をしてくれる。
「良いわね。でも優も帰って来たら一緒でいい?」
「いやだよ。あいつは一人暮らしをしているんでしょ。家族じゃないし」
「・・・そんなこと・・・」
そんなこと言わないで欲しい・・・は、私のただ我儘だ。
「・・・そうね。」
「そもそも、そいつの分ないし」
「わかったわ。ありがとう貰うね夏」
「うん、食べて!!食べて!!私のおすすめだから」
「うん、今は少しお腹いっぱいだから夜にね」
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夜
「・・・優、おかえりなさい」
優はあいかわず、何も返事をしない。
「・・・優、アイス食べない?」
「・・・要らない」
「そう?じゃあ半分で」
「要らないって」
つか、そんなアイスを買う余裕あるのかよ、と内心思っているが言わないでおく。
そして、ゴミ箱に既に食べられた同じアイスの箱を見つける。
さらにゴミ箱の横に、入りきれてないレシートも
4個のアイスと千円使ってるな・・・
そのアイス俺の金で買ったやつかよ。
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