【第11片】歌詞を歌メロにのせてみよう
歌メロにのっけて描きましょう。
① 歌メロ(とリズム)にのせる
→歌メロがある
簡単な例からいきましょう。
♪ドレミファソラシド
の8音に歌詞をのせるとしたら。
あなたは、何文字の詩をのせますか?
まあ、ふつうは、8文字でしょうね。
「おなかがすいたよ」
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か が す い た よ
たしかに問題ありません。
でも、8文字でなければいけないか?
いえいえ、そんなことはありません。
というのも、必要な歌詞は「8文字」ではなく「8音」だからです。
では、「8文字」でなくても、「8音」でのっけられる方法を見てみましょう。
◇文字数を減らす
(1)音をのばす
「おなかすいたよ」
このように、「が」をぬいて、「7文字」にしてしまっても。じつは、ちゃんと歌詞はのります。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お ー な か す い た よ
このように「1文字」を「2音」にのばして(+1)やるのです。
これて、「7文字」でも「8音」になります。
では、
「おなかすいた」
と、「6文字」のときはどうしますか?
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お ー な か す ー い た
と、二箇所のばしてやります。「1文字」を「2音」が二箇所(+1×2)で、「6文字」「8音」。
あるいは。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お ー ー な か す い た
なんて、長くのばして「1文字」を「3音」(+2)にして、「6文字」「8音」にすることもできます。
(2)音をやすむ
ふたたび「7文字」。
「おなかすいたよ」
この一音めを、おやすみしてみましょう。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
休 お な か す い た よ
歌メロとしては音はあるのに、「歌」としては、休符にしてしまうのです。
これで(+1)「7文字」「8音」。
え? ズル???
そんなことありません。 歌メロのある部分に、「歌」としては休符をいれる。これは、りっぱな「のせかた」なのですよ。
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か 休 す い た よ
(ー)
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か す い た よ 休
(ー)
のように、まんなかや、最後尾に休符をもってくると、「のばす」と「やすむ」はどちらを選んでも「歌いまわせる」かたちになり、そこはシンガーさんしだいにもなりますが。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
このように、「音数」より少ない「文字数」でも、ちゃんと歌詞になるのです。
◇文字数を増やす
(1)音をつなげる
では逆に。「9文字」に増やしてはどうでしょう?
「おなかがすいたんだ」
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か が すい た ん だ
このように、「2文字」を「1音」にのせて(-1)「8音」にできます。
ただ、どんな2文字でも、1音にまとめてよいわけではなく。まとめて歌いやすい発音もありますし、シンガーさんの技量によっては、うまくのせてもらえないこともありますが。
「-ai」:ア行+い
「-ei」:エ行+い
「-oi」:オ行+い
「○ん」
あたりなら、かまわないと思います。
この場合なら、別パターンで
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か が す い たん だ
でも、だいじょうぶでしょうということ。
(2)音をつっこむ
音をやすむのとき
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
休 お な か す い た よ
としたのを、まだ覚えてますね?
はじめの一音をやすむことによって、いわば「ためて」いたわけです。
そうして一音ぶん「歌」の音数を(歌わないのに)増やしてやったわけですが。今回は、逆に減らすために、「ためる」のと反対のことをします。
? ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か が す い た ん だ
わかります?
本来の歌メロの
♪ドレミファソラシド
のひとつまえの一音に、歌詞のひと文字めを「つっこむ」わけです。これにより(-1)「9文字」を(当該歌メロの部分では)「8音」にできます。
まあ、これには。歌メロの直前の部分に、一音「つっこむ」ことが、その曲のつごう(歌メロだけでなく、編曲、演奏から。「歌」としては息継ぎの問題も)に許されるかによりますので、作詞家がじぶんの都合で使っていい方法とは限りません。
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こんなふうに、「音数」より「文字数」が多くても、歌メロにのせることは可能なのです。
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そもそも、歌メロの「音数」とおなじ「文字数」で描けば、こんなこと、必要ないのでは? なんて、思われるかもしれませんが。
おなじ「音数」と「文字数」でのっぺりのせるより、上記ののせかたも使って、「歌いまわし」っ気のある、のせかたをしたほうが、いい「歌」になることもあるんですよ。
ですが、もちろん。
歌メロ先なら、決められた文字数で「描ける」技術は必要。そのうえで、あえて文字数を変則にして、「歌いまわし」っ気のある、のせかたをする。それこそが、歌メロに歌詞をのせるさいに、めざすところなのではと思います。
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ちなみに。
歌詞を描いた人間ののせかたどおりに、シンガーさんが歌ってくれるとは限りません。
「おなかがすいたよ」
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か が す い た よ
と、きっちりのせても
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
休 お な か が すい た よ
? ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
お な か が す ー い た よ
なんて、これまでの複合技を使って、「歌いまわせ」されてしまうかもしれません。
まったく、シンガーっていきものは(笑)
でも、そこに目くじらを立ててはいけませんよ。
作詞家が「歌いまわせ」る範囲で、きちんと歌詞を描いたからこそ、シンガーさんが「歌いまわす」ことができたのですから。
歌メロに「のせることができる」歌詞。
それを描くのが、歌メロ先での歌詞の描きかたなのです。
歌メロどおりに歌わないので、カラオケの点数は低いです。
てか、採点嫌い。
音楽の授業の歌のテストは、成績良かったですよ(笑)




