【第10片】歌詞ののせかた
歌詞はなににのせて描きますか?
歌詞とほかの詩がちがうのは「のせる」ことです。
なににのせるのかって? もちろん俎上にではなく「曲」に、です。
ふむ、いまさらわかったことを言うな?
ほほう、ほんとにわかってます?
では、考えてみてください。歌詞を「曲」のなににのっけるのかを。
え? 意味がわからないかた、いらっしゃいますか。
いや、わかんなくても、そんなもんだと思います。
私も、邦楽専門のときは、そんなもんでした。
そこは「カラオケ文化」といいますか、日本でわりとふつうにまかりとおってる「歌」のありかたに、その原因があるのです。
それをふまえて、まずこちらから。
① 歌メロ(とリズム)にのせる
まずここで、確認しておくのが。必ずしも
曲 = 歌メロ
ではないということです。
「歌メロ」——つまりは、歌うためのメロディライン(とリズム)。
私たちは、通常これをおぼえて歌いますし、カラオケの採点機能でも、これが基準とされます。
もちろん、おかしなことではないですし、歌メロはちゃんと、曲のだいじな一部です。
そもそも、歌うためのメロディライン(とリズム)である歌メロに、歌うための歌詞をのっけるのは、当然と言えるでしょう。
ですが。歌メロを曲の「一部」と言いましたように。
歌メロでない部分の「曲」に、歌詞をのっけることがあるのです。
と言うと、少し誤解を招きますか(汗)
わざわざ歌メロがあるのに、ほかの部分にのっけるという意味ではなく(副旋律のウラヴォーカルとしては、面白いですが)。
正確な言いかたをすれば、こういうことです。
そもそも
☆★☆歌詞を描く段階で、歌メロがついているとは限らない★☆★
ほかの楽器の演奏パートと同じように、歌メロの譜面(音楽の授業とかこれを見て歌いますね)を渡されて、音符に歌詞を振っていくやりかた。
それをするには、歌メロがなくてはなりません。
ですが、歌メロがついてない段階で、歌詞を描くこともあるのです。
歌メロ以外の「曲」と歌詞。
そこから「歌」ができあがるには? 作曲者以外に、歌メロをうみだすいきものが必要です。
そう、それこそ。
我ら「シンガー」なのです!!
② 歌メロなしで曲にのせる
つまりは、まだ歌メロのついてない曲に、歌詞を添えて。
あとは、シンガーさん任せに歌ってもらうわけです。
……ぴんとこないかたもいるかもしれません。
ですが、それをやるのが、我らシンガーといういきものなのです。
バンドをやったり、セッションでスタジオにはいったことがあるかたなら、こころあたりあるかもしれませんが。
楽器隊の即興の演奏に、シンガーも即興で歌を歌ってみることあるでしょう?
あれとおなじことです。
じゃあ、歌メロもなしにどうやって歌詞を描けばいいのか?
……それが難しいところ(汗)
まずは、曲にのっけたい内容であること。
そして、最低限、歌をのっける部分にあったサイズであること。
あとは——シンガーさんに任せます(笑)
それができるのが、シンガーといういきものですし、シンガーが曲にのっけて「歌」ができあがる「歌詞」を描く。それがあなたたちの役目というわけです。
いい曲と、いいシンガーさんがいれば、あとはあなたがいい歌詞を描くだけ。そうすれば、いい歌メロはあとからうまれます。心配いりません!(?)
③ 歌詞先
歌メロどころか「曲」じたいがまだないのに、歌詞を描くことです。
あとから歌詞をのせるのは「曲先」。
じぶんで曲を描かないかたは、こちらになることも多いと思います。
実際に、有名な曲でも歌詞先のものは(たぶんたくさん)あります。
制約がないぶん、描きやすいとも言えますが。「歌詞」である以上、リズムにのせることができる(あるいは、リズムが内在している)、曲の構成にはめこめる、など、求められるもの(必要とは言わない)もいくつか。
そこから
・作曲家さんがその歌詞をのせられる曲を描いて(これで②と、順序は逆だが、実質おなじ状態になる)シンガーさんが、歌メロをつけて歌う
・さきにシンガーさんが歌メロをつけて、それから、作曲家さんや編曲家さんが曲にしあげる
などの過程をたどって「曲」ができあがります。
あなたがいい歌詞を描けば、作曲家さんがいい曲を。あるいは、シンガーさんがいい歌メロをつけてくれるはず。そこから、いい歌ができあがるというわけです。
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まとめると
①→歌メロがある
②→歌メロはないが曲はある
③→歌メロどころか曲もない
これらのどの段階で、歌詞を描くかによって、やりかたがかわってくるということです。
こまかいことをいえば、リズムだけあるとか、いろいろ考えられますが。まあ、おおまかにはこんなとこ。
次回から、それぞれについて、細かくみていきましょう。
同じ曲でも、シンガーさんによって歌メロは変わることあるのです。




