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9.公爵家の人々

お兄様とは少しずつだがいい関係を築き……

気がつけば、2年の月日が流れていた。



この間に大幅な人事異動?

いや……大量解雇が行われた。


悪魔の私に便乗して甘い汁を吸っていた

駄目な使用人をすべて解雇したのだ。


メイド長をはじめ護衛騎士……執事見習い

果ては洗濯係まで多岐に渡ったのは驚いたな。


ある意味この屋敷は腐る寸前だったのだ。

こういう環境が悪役令嬢を作り出すのかしら?


私がまともに戻った為に恩恵に預かれなくなり

その人達はあろうことに私に牙をむけたのだ。


子供だと思って懐柔できると思ったのだろう。


だから合理的にテキパキと掃除をさせて頂きましたよ。

お兄様の力を借りてですけどね。


お陰様で敵か味方かがはっきりしたので

よかったのかもしれません。


今思えば、父様はそんな現状をしりつつ黙っていた気がします。

私たちの出方を見ていたのかな。


さすが宰相というべきか……悩みます。


そんなこともありつつ……

前世の知識を小出しにして、領地を改革していたのが

父様の耳にも入ったのだろう。


最近はなにかと声をかけてくるようになり……

お兄様と一緒に領地視察にまで連れていかれるようになっていた。


お兄様は父様のミニチュア版だった。

遺伝子のなせる技って神秘と思ったわ。


父様も恐ろしい程美しい男性だった。

王宮でもさぞかし女性人気を集めているに違いない。


お兄様にその事を話したら笑ってこう言ったわ。


“父様は仕事の虫だから、それ以外の事には

目もくれないよ“って。


勿体ない……無駄にイケメンだったか……。


義母とは特に接点がないからだろうか。

あたり触らずの関係が続いていた。


でも今後の事を考えて、化粧水でも開発しようかな。

そうしたらきっと仲良くなれそうな気がする。


お肌の曲がりかどに悩んでいるとメイドたちが密かに

噂していたからね。


といっても全くノープランなんだけど。


アロエに似た植物をこの前見かけたから

なんとかできそうな気がする……。


家族関係の悪化は避けられそうな予感がするんだけど

一つだけ懸念点があった。


それは新しく筆頭執事になった男の事だ。

40代くらいだろうか、清潔感のある感じのいい男だ。


忠実に父様に仕えているのは確かだし……

他の使用人達に辛くあたることなどもない。

私にも敬意を払ってくれている。


まぁ、表向きだけかもしれないが……

特に何か気になる点はないかな、今のところは……。


でもこの人……

常に笑顔なのだけれども

目の奥が笑っていないんだよね。

こういうタイプが一番やっかい。


前世の私が警鐘を鳴らしているのよね。

某一流企業の取締役がこういうタイプだったわ。


うちと契約を結ぶと言っておきながら

土壇場で裏切ってライバル会社と提携を結んだこと

今でも忘れないわ!!


そういう雰囲気がするのは気のせいだろうか?

どうも苦手だ……。


今後も引き続き注意してみておこう。


そうそう、もう一人謎のおじいちゃん執事がいるのよね。

なんでも先代から仕えている伝説の執事らしい。


見かける度に、ガゼボでお茶をしていたり……

庭の隅で薔薇の木に水をやっていたりする。


執事の仕事はどうした?


執事らしいところは見たことがないな、うん。

ただの隠居のおじいさんにしか見えないのよね。


謎の人物だよ……。

今日もプルプルしながら馬にブラッシングをかけてたわ……。


このゆるい感じに癒されちゃうのか

誰も何も言わないのよね。


ある意味うちで最強なのはこの人なんじゃないかな。



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