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17.逃避行

何者かに追われていた……。

どうしてこんな事になったのだろう。


こんなルート存在しないよね。

というか、もう話自体めちゃくちゃな気がする。




「お嬢様、しっかりと掴まっていてください。

ここで追いつかれたら俺達の明日はありません」


ヴァイオレットはリガロの背中にぎゅっとしがみついた。

二人をのせて馬は森の中をどこまでも駆けて行った。




あのあと直ぐに郊外の屋敷にとって返そうとしたが

何者かに後をつけられ、命を狙われていた。


そこでセバス達を巻き込まないように

遠回りをしながら屋敷に近づいた。


しかし遠目でもわかるくらい……

屋敷は火に包まれていた。


「なんて卑怯な……」


信じられない光景に二人とも言葉を失った。


「お袋……ちび達……」


リガロは悔しそうにこぶしを握っていた……

が、直ぐに持ちなして森の中へととって返した。


「ひとまず国境の街を目指しましょう。

そこで何か情報を得られると思うわ。

それにはまずあいつらをまかないとね」


「はい」


二人は攻撃をかわしつつ森の奥へと逃げた。




なんとか敵を仕留めて、遠くへ遠くへと逃げた。

しかしまだ領地を抜けたかどうかは定かではなかった。


なので、街に出て宿屋に泊まることは危険と判断した。


行けるだけ進もうとしたが……

夜も更けてきたので今夜は野宿をすることに決めた。


少しだが、食べ物と毛布を馬に積んでいたのが役にたった。

火を焚きながら、二人でパンにハムとチーズを挟んで食べた。


「寒い……」


もう季節は夏が終わろうとしていた。

夜になると寒さが一気に襲ってきた。


そんなヴァイオレットの様子をみてリガロは言った。


「お嬢様、少しの間……目を閉じていてくれませんか」


「えっ?」


よくわからなかったが、ヴァイオレットは目を瞑った。


すると少ししてなにかモフモフするものが

自分の体を包んだ。


そっと目を開けると、白い大きな虎が自分を温めていた。


「リガロなの?」


「グルルル」


虎は甘えるようにヴァイオレットの頬にすり寄った。


「あったかい……ありがとうリガロ。

あなたがいてくれれば安心だわ」


リガロの首筋にぎゅっと抱き着いて顔を埋めた。


結局、悪役令嬢の行きつく先は追放なのかな……。

すみれはちょっぴり切なくなった。


この運命からは逃れられないのかしら……。

父様達……お兄様……今どこにいるの?


涙が滲んだ。


どうかみんな無事でいて……。

そんな事を思いながら

ヴァイオレットは眠りに落ちていった。




その頃セバスチャン達も国境の街を目指して馬車を

尋常じゃない速さで走らせていた。


ヴァイオレット達が出かけて直ぐに

お屋敷にある、家財や日用品などを専用馬車に詰め込んで

そのまま、全員で避難した。


それは間一髪の出来事だった。


そんな事を知らない執事の息のかかった者たちは

すぐさま屋敷に火を放ったのだった。




それを遠目でみていたモネは涙をこぼした。


「なんてひどい事をするのでしょう」


ダリア達も怒りで震えていた。


「許せない……」


「お気持ちはわかりますが、今は生き延びる事が

最優先になります」


セバスは厳しい瞳で窘めた。


「そうですね……。

それがお嬢様との約束でしたね」


4頭立ての馬は、凄い勢いで走り出し

見る見るうちに屋敷は見えなくなった。


「しかしこの馬車はすごいですね。

中は広いし、随分としっかりした作りですね。

後ろに荷物用の貨車がついているのも驚きです」


ダリアは周りを警戒しつつ、改めて馬車の構造を見て

驚きを隠せなかった。


「ホッホッホッ……。

私がお嬢様の為に作ったセバススペシャルです」


そう言って伝説の執事はドヤ顔を決めていた。



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