騎士団長、苦難の令嬢生活④
大丈夫!めちゃくちゃ元気!!と動いて見せ、何とか侍女の説得に成功し、身支度を始める。
サラは、手際良く髪をとかし、青いふわふわなドレスを持ってきてくれた。
今は、アリアとはいえ、中身が男である俺が女性の着替えを見るのは、かなり…いけない気がする。
アランの時は、女性と付き合うなんて経験はなかった。別に、剣術一筋だったわけでも、わざと恋人を作らなかった訳でもない。逆に、めちゃくちゃ欲しかった!
…だが、自分が好きになる女性は、なぜか、みんなレオの方へ行ってしまうのだ。レオがイケメンなのは、わかっている…わかっているが…。
なんで俺は、こんなにもモテなかったんだろう…。
そういえば、学生の時にも、裏庭でこのような会話をしたことがあったなぁ。
─花々が美しく咲き乱れ、綺麗に整備されている庭に2人の青年がいた。
黒髪の青年は、木陰の下で本を読み、金髪の青年は、芝生に寝そべっていた。
「なんで…なんで俺は、モテないんだと思う…レオ!!!!」
「興味無い。」
レオは、本を読みながら間髪入れず答える。
「友達だろ?親友だろ?少しは俺の心配をしてくれよ〜!!!このまま、孤独死はいやだぁー!!」
友人の反応があまりにも塩だったため、ちゃんと話を聞けという具合に肩を揺さぶる。
「マリーちゃんもカナちゃんもララちゃんもみんなお前が好きって言うんだぜ!?
なんで?って聞くと『アランくんは優しすぎてなんか無理。レオくんのあのツンが堪らないのよね!』『アランくんってみんな平等って感じだよね〜。イケメンだけど〜私はレオくん派かな。』『アランは、その〜暑っ苦し…いや、熱血って感じだし、私は、レオくんみたいなクールな方がいいかな…。』だってよ!100歩譲ってお前がクールでイケメンなのはわかったよ。でも、なんだよ!優しすぎて無理って!!!」
言い終わり、はぁはぁと息切れしていると、レオは、面倒臭そうに答える。
「お前はさ、誰に対しても平等だろ?男でも女でも、子供でもジジイでも困ってれば助ける。」
何が悪いんだという風に頭にハテナを浮かべる。
その様子を見て、深くため息をつく。
「お前は、ごくごく普通で当たり前のことだと思ってんだろうけどそんなことできる人間はなかなかいないんだよ。」
「んーそうだったのか。俺は、お前がそうだったから気づかなかったよ。」
屈託のない笑顔でアランが言う。
その言葉にレオは3秒ほどフリーズし、それからハッと気が付きいて話を続ける。
「とにかく!女は特別扱いして欲しいんだよ。自分だけ優しくして欲しい、見て欲しいってのがあるんだ。だから、お前のそのみんな同じ〜みたいな感じだとダメなんだよ。」
そ…そうだったのか…。そんなこと言われたってどうすれば…。
ガックリ肩を落としているとレオがゆっくりと立ち上がる。
「でもまぁ1番は…」
立ち上がるレオを見上げ、ゴクリとつばを飲む。
パンっとまるで空気を斬るように本を閉じる音が周りに響きわたる。
「お前のそのめんどくさい暑っ苦しさが、女の前でも出てるんじゃないか?」─
あの見下す目!今でも忘れられない。
なんだよ、暑苦しいって!別にいいだろ!
…っていや、今は、そんなことどうでもいい!!!
顔をブンブン横に振り、邪念を飛ばす。
その様子に侍女も「お嬢様!?」と驚いている。
着替えに集中しなければ。
できるだけ、見ない!触らない!を意識しつつ、服に袖を通す。右腕…左腕…何とか成功だ。
背中のファスナーもあげてもらい、動きにくいが、これで一安心と胸を下ろした。
しかし俺にはさらなる壁が待ち受けていた。
「さ、頑張りましょうね!」
とサラが気合を入れる。
あれは…サラが手に持ってるあれは、拷問に近いと噂に聞く…コッ
「コルセットつけましょうか!」
まるで雑巾を絞るかのようにギュギュギューとお腹を締め付けられる。
「くっ苦しいぃいい!!!」
と令嬢らしからぬ声を上げるがなかなか聞きいれて貰えず、うんしょうんしょと侍女は俺を締め付け続ける。
何かこの侍女の気に触るようなことをしただろうか、そうでなければこんな酷いことしないだろう。とにかく謝るから許して欲しい。
もう無理、無理…と情けない声を上げるとサラは、困った顔をする。
「アリアお嬢様、いつもはもっときつくしろとおっしゃるじゃないですか。こんなのまだまだですよ。」
へ?これ以上きつく…?この侍女は、なっ何を言って
「もう少し頑張りましょうね!」
「ぎゃあああああああああああぁぁぁ!」
アリア…いや、アランの断末魔が屋敷中に響き渡った。
なかなか話進んでませんね、すいません。
文章まだまだ勉強中で下手くそです。
フィーリングでよろしくお願いします。