密室なのに何もしないふたり。
『ここに閉じ込められてどのくらいが経つかな?』
それはある晴れた昼下がり。
体育倉庫の鍵が外からかけられて締め出されてしまった。
どうしよう。
締め出されたのはクラスイチの美少年の高村クン。
すらっとしたスタイル。体操服から見える腕には少し筋肉がついていて、髪は少しパーマがかかっている。
『参ったなあ。』
『わ、ワタシは別にそのだ、大丈夫だよ。』
ドキドキする。かっこいい。
ずっと影から見ていた。
ある時は、廊下の影から、ある時は教室の教科書ごしに。ある時はトイレの影から。
今日もたまたまだ。体育倉庫の影から覗いていたら一緒に締め出されてしまった。
『しかし、熱いなあ。』
『そ、そうだね。え・・・・!!』
高村クンが体操服の上を脱いだ。
『だ、ダメだよ!高村クン!わ、私まだ心の準備がっ!』
『ふー、あちぃあちぃ。』
ワタシが恥ずかしがるのなんて気にしていない。
『早く助け来ねえかなあ。』
『わ、ワタシは一晩くらい一緒でも、いいよ。』
『ふーあちい。』
ガラッ!
『おー、高村悪い悪い!閉じ込めてしまったなあ!』
『ひどいっすよ、先輩。』
高村クンは上を着て、出ていった。
『そういやよ、高村さ、この体育倉庫出るらしいぜ。』
『何がだよ?』
『幽霊。女の子の幽霊だってさ。』