まんなかの王子
10年以上前に書いた童話の修正版です。
昔々、あるところに王様と三人の王子がいました。
王様は王子たちに向かって言いました。
「ワシはもういい年だ。そろそろお前たちの中から跡継ぎを選ばなくてはならん。そこで、この国の東の森にいる悪い魔女を退治してきて欲しい。退治できた者を新しい王様としよう」
これを聞いて一番年上の王子が言いました。
「それなら父上、私が行って見事に退治いたしましょう」
一番目の王子は人望が厚く、大勢の部下を引き連れて東の森へと行きました。
しかし一番目の王子と部下たちは、魔女にコテンパンにやられてしまい、ほうほうの体で逃げ帰ってきました。
「それじゃあ、次は私が行きましょう」
そう言って、二番目の王子が東の森へ向かいました。
しかし、二番目の王子はそれっきり、お城に戻ってくることはありませんでした。
「次は僕の番だね」
とうとう末の三番目の王子の出番です。
三番目の王子は悪い魔女をあっさり倒し、お城へ戻ってきました。
しかも行った時は一人でしたが、帰ってきた時、王子の隣には美しいお姫様を連れていました。なんとそのお姫様は、悪い魔女に捕まっていた隣の国の王女様だったのです。
「僕は彼女と結婚して、隣の国の王様になります」
三番目の王子が言いました。
「だから、この国は一番目の兄上が王様になってください」
こうして、兄弟同士が王様になった二つの国は、長い間平和に暮らすことになりました。
めでたしめでたし。