ちょ、間違えただけだから、夜中は走っちゃダメだから
ガタゴトと揺れる荷台でいつの間にか眠っていたようで目が醒めると、辺りはもう暗かった。
「・・・おじさん?」
馬車も、止まっている
どうしたんだろう?
着いたのかな?
物音一つしない・・・
私は恐る恐る馬車から顔を出した。
・・・
・・・
地味にオシッコちびりそうだった
叫び出すのを耐えた私は褒められるべきだと思う。
暗闇の中に浮かぶシワシワの顔はインパクト絶大だ。
「なんじゃい。おきたんかい食うか?」
みれば火で何かを焼いてたべている
「いいの?ありがとう!」
新手のゾンビみたいな見た目と違ってとてもやさしい
お爺さんに串に刺した肉のようなものを渡された。
そういえば、初めて村を出た興奮で昼から何も食べていなかったので空腹だ。
(いつもは間食をしているのに忘れていた。でも、今は、冒険中だから間食は贅沢だろうか・・?)
「あ、っーー、はぐ、はぐ、お爺さん、これ、凄くおいし!」
「そうじゃろ、そうじゃろ、ただし、ワシのことはお兄さんと呼びなさい。」
「いや、それはちょっと傲慢すぎては?」
「ふーむ、初めはどうも変な娘だと思っていたが、
よく見るとワシの孫によくにておるのー」
無視かよ。
「こう、考えている事が全て顔にでる所やら、自分は割と賢いと思っている所やら間抜けた所がそっくりじゃ、かわいいのー」
「孫に、対する認識酷くないですか?
と言うより、それかわいいとおもってます?」
「その、自分が言われている事に気付かん所もそっくりじゃわい
どうだい、どうせ、泊まる場所も決めとらんのだろう。
町に着いたらウチに泊まらんか?」
「いえ、そんな、アホな娘さんの居るお家にはとまりたくないです」
(いえ、泊まる場所は決めてあるんで、ご好意はうれしいですが、大丈夫です。)
「・・・」
「・・・ん?」
「そうか、そうか、今すぐ出発してワシのうちに泊まりたいか」
青筋の浮かぶシワシワのお顔は、まるで、物語に出てくる鬼のようでした。