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2. 第一村人はイケメンだった

目覚めて、まず目に入ったのは焦げ茶色の木目の天井だった。

私のコーポも木造だが、こんなに渋い色合いではないし、天井ももっと低かったような…


「目が覚めたか」


低い艶のある声が聞こえ、そちらへ顔を向けると美形な外人さんが居た。いや、外人さんっていうか…あれだな、ファンタジーな洋画に出てくるエルフみたい。

だって銀髪なんだもん。あ、でも耳はとがってないな。

けして白髪ではない。長いプラチナの髪をゆるく一つにくくって前に垂らしている。服もゆったりした白い…法衣っていうのかな?RPGで神官とかが着てそう。


現実味のないエルフな男前さんに見入っていると、優しく肩を叩かれた。


「気分はどうだ?」


イケメンボイスで耳元で囁かれ、慌てて起き上がって返事をした。


「だ、大丈夫です!」


うわ、ぞくっとした。

男性声優による。エロいシチュエーションCD並みだよ。リアルダミーヘッドマイクだ。

私の勢いに驚いたのか、ちょっと目を見開いてから、そうかと淡く微笑えむ。

ハリウッドスターも裸足で逃げ出す美形に微笑まれ、私はもう一度固まった。


「水は飲めるか?」


言われてみたら喉がからっからだった。

ベッド脇のテーブルに用意してあったデキャンタからコップに水を注いでもらい、ありがたく口にする。生き返るわー


しっかしエルフな外見といい、デキャンタといい、いやにファンタスティックだな。


冷たい水が体に染みわたっていくと、だんだんと冷静になってきた。

私がいるのは、ベッドが4台あるだけの質素な部屋だった。その内の一台に寝かされていたようだ。

限界集落の病院っぽい。ファンタスティックな白い法衣もお医者さんっぽく見えてきたぞ。

さっきの肩トントン&耳元吐息は、意識があるかどうかを確認してたんだ。会社の避難訓練でAED講習受けた時、消防士さんもそれやってた。

 

お礼を言って空のカップを返す。


「ここはアボン村の診療所だ。

 君は村はずの神殿跡に倒れて、今朝方君を見つけた村人がここまで運んできたんだ」


アボン?やっぱり日本じゃないのか?

でも私さっきまで自分の部屋にいたよね。急にくらっときて気づいたらここだった。

えっと、その日は寒くて買い出しが面倒だったからろくなもの食べてなかったし、寝すぎたのも眩暈の原因だろうけど、一番はガスファンヒーター使ってたら酸欠…


「え、私死んだの?」

「縁起でもないことを言うな」


間髪入れずにむすっとした声が聞こえてきたので、慌てて謝る。


「す、すみません」


いや、一番可能性高いの一酸化炭素中毒なんだもん。そうしたら一人暮しの私に待っているのは孤独死だよ。冗談じゃなくて。

でも換気は定期的にしてたし、ここも死後の世界にしては感覚がリアルだ。

ん?待てよ。ファンタジー風味にイケメンにここはどこ?な状況。もしや…


「事情は後で聞くとして、状態異常がないかを確認してみろ」

「大丈夫だと思います」

「ちゃんとステータスを確認したのか?」


んん?ステータス?何かの医療用語なのか、はたまた…


ごくりと唾を飲み込んで、唱えてみたよ。


「ステータスオープン」


プロジェクターで投影したみたいに、目の前にゲームでおなじみ、四角いウィンドウが現れた。


わぉ 異世界トリップじゃん。

 

 


 

 


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