お迎え
掲載日:2015/05/14
一昨日の夜は雨。
夜の雨は、苦手だ。
嫌いだ、というほどじゃない。
ただ、世界が、よく見えないから、苦手だ。
車のアクセルを踏む。
タイヤが回って、スピードを上げる。
フロントガラスが、空から落ちてきた雨粒を、刎ねる。
地面に憧れを持って、遠くからやってきた雨粒を。
どんどん、刎ねていく。
雨粒は、砕け散って。
その四肢を散らしながら、ボディに纏わりついて。
走る風に流されて、そのうち。
思い出したように、地面へと落ちていく。
途中。
同じ境遇の仲間を見つけながら。
今日は、いい天気だった。
空を仰いでも、雨粒が遊んでいることはない。
木陰に。
水たまりがまだ、残っていた。
そこだけ、思い出が残ったように。
土埃で、濁り切った水。
見ているうちに。
その上澄みが、少し、空へと帰っていった。
今日は、世界が隅々まで見えた。
そうか。
まだ、葬儀の最中なんだね。
それを、残酷だと思ったことはない。
残酷だというのは、主観的で。
自分を蚊帳の外に置いた、わがままに聞こえた。




