第一日目ー2
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<2014年6月30日8時30分 生き残り数39>
遠くにほんの少ししか薄暗い雲を探知できないくらい、まだまだ晴天の青空の下、ここサービスエリアでは闇から手裏剣が発車されたところであった。回りの人はどよめ……………いてない!? まさに何事もなかったように、そのままを過ごしていた。カラスは飛び去る。バスの中に広がる真っ赤な世界。唖然とする乗客たち。人の命それは、はかないという一言で決めてよいのだろうか。それを、ご多分に漏れないそれを、恨み嘆くがごとく空から微かな轟音が多少の慮りを込め、鳴らした。
※※※
目の前で見たことは嘘なのだろうか。俺は偽りの事実を見ているのだろうか。そう思いの回想ができるほど、俺は、俺の前で起きた出来事にそのまま受け止められず、 狂悖の念に駆られた。自分のよく知っているヒトが死ぬなんて、考えにもつかない。それも、自分の目の前で……。俺はこのヒトを救う手段を必死で考えた。医療グループは人工呼吸・マッサージなどを行うがその効果は全くの皆無である。包美ちゃんは殺された犯人特定を考えている。俺はこのヒトを救えるだろうか、このヒトの為に何ができるであろうか。もし、それがあるとすれば、もしかすると…………
『夢莊!わかったぞ!これはここにいる、名脳の言った犯人と外にいるもいる敵のグルによるものだ。そして、この中と外にいる敵は…………』
津々美ちゃんがひらめいたことを説明しているとき、俺はさらに恐ろしいこと、名脳の為になることをひらめいた。そして、咄嗟にもうそれはがむしゃらになって、包美ちゃんの口を封じようとした。
『言うな、やぁぁぁあめぇぇぇぇえろぉぉぉおお!!』
パンパンパンパンパンパンパン
『つ、つつみー!!!!!!!』
銃弾の雨が包美ちゃんを襲った。そして、無惨な死体の二匹目と化していた。許さない。こんなことをしたやつを絶対に!!いや、ダメだ。今は感情を封じ、発言をしてはならない。これは事実の隠蔽策なのであろう。たぶん、事実を知ってしまったもの全てを皆殺しするという。相手は人の欲を操れる超能力者だろう。だからこのことを考えてすらいられない。考えられないんだ。ヒトが二人も死んでるのに、それを考えずするほど、惨くて、醜い行いはない。だがしかし、それは俺が死を恐れ、性を乞っているからではない。いやそういう感情もあるのかもしれない。所詮俺は無能な人間なのだから。でもここで俺が死んでもただの無駄死に、この事件を解決するまで、俺は、俺はあの二人の為にも死ねないんだ!!
そして、俺は論理的に考えた。敵からの目的からしてここで修学旅行中止にするのは互いに利益無しと言えるだろう。ならば、
『夏世!高木!皆の、回りの人の記憶を全て消してくれ!!汕!死体を仮想空間に奉納してくれ!!修学旅行は中止させない!絶対に続けさせる!!』
世界はこんなに無惨で不条理で呆気なくてよいのだろうか。その答えを見つける日は来るのだろうか。
※※※
薄暗い雲のある方向に向かい、バスは出発した。今の事件を覚えているのは有数で、何もなかったがごとく、期待高校の修学旅行は続行していた。クリーム色の空の下、進みもうすぐトンネルに入ろうがバスの、前の方の席の窓側で、一人途方に暮れる男がいた。事件を覚えている一人、曾右 夢莊であった。彼は茫然自失がごとく、こちらがわを覗いていた。
一人の友人、池戸は声をかける。
『おい!どうしたんだよ!夢莊!さっきみたいにトランプやろうぜ!』
『わり、ちょっと気乗りがしない!』
『そんなこと言わずにやるぞ!ほら!』
夢莊は無理矢理引っ張られ肩をすくめていた。なにも知らない池戸はノリノリなのである。そして始まったのが7並べ。苦手というのも、心情的なものもあったのか、夢莊はぼろ負けだった。
『夢莊、よわすぎー!』
『池戸、やめたれ!しね!』
『(微笑)』
二人のやり取りを前に、夢莊の微かな笑いが見られた気がする。そしていつものプライド高い夢莊が蘇る。そして
『ま、負けてなんかないぞ!!勝たせたんだ!!』
『よし、次は大富豪だぁ!!』
夏世の掛け声とともに、トランプは再開した。何回やっついただろうか。夢莊も皆もこれからの修学旅行を楽しむことだけ考えていた。このままの平和が続いていけばよかったのに……
※※※
俺は大罪を犯したかもしれない。大罪といえばキリスト教など関係で7つの大罪、傲慢・貪欲・嫉妬・憤怒・暴食・色欲・怠惰があるが、それとは別な大罪、それは死んだものを生かしていないということだ。自分は自分の記憶のなかで死んだものを消し去り、自分だけ楽しもうとしている。あえていうなら、これは死んだものにたいする傲慢なのかもしれない。俺は俺にはこの罪を償う為になにができるであろうか。
『夢莊!!夢莊!!次だよ!』
俺はトランプの中、また茫然自失してしまっていた。
『お、おう。』と答え、トランプを続けていった。
『うわー!見えたぞ!!』
クラスの吠えやろう、増田の掛け声のもと。絶海の孤島とも言えようがごとくの海に浮かぶセントレアが見えたのである。田舎の僕らにとってのそれはとても珍奇な代物で、ワクワクしたものであった。きれい?しろい?一語の形容詞では言い切れない、なんともいえないものである。
『すごーい』
『大富豪やめて、準備だ準備だ!』
簡単、驚嘆、躍心の念が駆られた。
胸踊る気分で着き、それぞれがそれぞれ、セントレアでしたかったことをした。売店で買い物をするもの。(ここら辺の土産物買ってどうするだよ!) マジカルバナナをするもの。(……)トイレにいくもの。(フツー) などなどあって、荷物チェックを終え、搭乗口前集合、目の前で飛行機が発車し、興奮と感嘆からついに乗車。
『おおーーーー!!!あーーー』
となんとも焦れったい離陸。そして、ついに
『きたぁー!!!!!!!!』
増田やムードメーカー佐賀先を中心に声が響き渡った。皆、真新しい経験だったのであろう。
※※※
少し薄暗かった雲の上を、1つの人を乗せた大きな鳥が飛び立った。離陸終了。の合図とともに、人々はシートベルトを外し、動き出した。大富豪をするもの、トイレにいくもの、多々あったが、そこに新たなる動きをするものが現れたところであった。
ブラックマスクをした、謎の男がクラスの一人の女子、無藤に拳銃を突きつけていた。言わば飛行機襲撃。一人を人質に飛行機内は騒然としていた。ここでは基本的には期待高校の業は使えない。電子機器の使用が不可だからだ。しかしいつもは活躍しない心理学チームの猛攻戦が始まった。
『おい、お前には家族はいねえのか。』
『ワレワレハ、コノホシノシハイシャデアリ、シシャデアル。コノセカイノチツジョト、ナルベキスガタノタメ、イマ、ココニショウカンサレタ。』
『なにを…………』
かなりきつい交渉だった。何をいっても、ロボットのようでかつ、オカルト臭い反応しかしない。もはやこいつに、自分自身の感情はないのだろう。
そして次は戦略格闘技チームがハサミうちでの取り押さえ戦略を始めた。うちのクラス、いや期待高校で一番のがっちりキャラのペア、櫻井・西邨だ。
『うわぁー!』
と後ろから櫻井の掛け声とともに、はりつめる。そこで後ろを見た犯人の前から、西邨が人質を解放しようとする。
バサっ、西邨が人質をおす。若干解放、西邨はその勢いで犯人に突撃、櫻井は後ろからすかさず、抑え込む。西邨が手をつかんで、しがみつく。櫻井はその手をたたいて、拳銃をはなさせようとする。解放され倒れこむ人質、無藤。拳銃を争う猛攻。だが、西邨が突き飛ばされそこに、犯人は
パンっ
一撃の銃弾が西邨を突き刺す。裏拳で櫻井も吹き飛ばされる。そして
パンっ
一面に広がる血の世界。再び倒れこむ無藤に人質として拳銃が突きつけられる。
『テイコウスルナ。コウナルダケダ。』
人質との緊迫な世界がまた始まったようにもみえた、そのときだった!!
パンパンっ
犯人の斜め前から、犯人と人質にそれぞれ打たれ、犯人、人質が倒れる。
広がる血の世界。
打ったのはは与繼 笥五だった。この修学旅行には黒幕がいる。修学旅行の秩序を乱す……