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天気輪の柱  作者: EXPO'91
9/14

「悪いが、もう見舞いには来ないで欲しい」


屋上に着くと、その青年医師は私に告げました。



「あの娘はもうじき遠い所へ行くんだ」


私には、彼の言っていることが全く理解出来ませんでした。


「東京に帰っちゃうってこと?」


「……違うよ」


青年医師は、諦めと憤りが交じった複雑な顔を浮かべています。


やがて彼は、大きなため息をひとつついて、諭すように言いました。


「いいか、少年。はっきり言おう。トモちゃんはもう、一ヵ月もたないんだ」



「えっ…?」


私はさらに、わけがわからなくなりました。


トモちゃんの病気は徐々に善くなっていると思ってましたし、その時の私には、この先もずっと彼女と友達でいられるような、妙な自信があったのです。


「でたらめ言うなっ」


私は語気を荒げて、そう強く叫びました。


「最近、顔色がよくなったって、みんな言ってるじゃないか。そうだ。きっと、先生は僕をトモちゃんと会わせたくないだけなんだ!」


「…違うよ」


そう言ったきり、彼はしばらく黙ったままでした。

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