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天気輪の柱  作者: EXPO'91
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そこには昨日の少女がおりました。


ベッドに座り、頬を照らす日の光をまぶしそうにさえぎりながら、彼女は私を見上げています。


開いた窓から入る風に、そよそよとなびく栗色の長い髪。


透き通るような真っ白な肌。


白い服の上には薄いピンクのカーディガンを羽織り、手には文庫本を大事そうに抱えています。


それはまるで、絵画のような情景でした。


私は「あっ」と言ったきり、声が出ません。


自分の顔が赤く蒸気しているのが、自分でもよくわかります。


昨日幽霊のように感じたのが失礼に思えるほど、彼女は美しく可憐でした。


「それ、あなたのボール?」


私は緊張したまま、馬鹿みたいに首をカクカクと上下させます。


彼女は口元を押さえ、小さく「うふふ」と笑いました。


私はぐっと手を伸ばしボールを掴むと、そのままするすると木を降りていきます。


頭の中は、ぼーっとしたまま何も考えられません。


「ねぇ」


不意に上から声がしました。


はっ、と見上げると、少女が窓から顔を出しています。


「また会えるかな」


意外な言葉に、私は再び首を激しく縦に振りました。


彼女もまた嬉しそうに微笑みました。


彼女の白い頬が、ほんのりと薄いピンクに染まるのを見て、私は居ても立ってもいられなくなり、再び逃げるようにフェンスに向かって走り出しました。

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