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翌日、ボールを見つけられず逃げ帰ってきた私は、友人たちのからかいの的になりました。
こうなると私もボールを見つけないわけにはいきません。
学校が終わるとすぐに、ボールが落ちた場所を、再び探してみることにしました。
時間が早いせいか、昨日のような怖さは感じません。
それどころか、サナトリウムの中は、清潔感漂う落ち着いた雰囲気で、時間がゆっくり流れているような妙な錯覚をおぼえました。
ボールが落ちたと思われる場所から、半径20メートルくらいを重点的に探ってみます。
しかし、どういうわけかボールは見つかりません。
私があきらめかけていると、ふと昨日見た少女のことが気になりました。
振り返って、少女が立っていたと思われる二階の窓辺を見ると、そこに白くて丸い物体が置かれています。
まぎれもなく、それは私のボールでした。
私は急いで建物の横に生えている木によじ登り、二階の部屋をのぞきこみました。