表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ひだまり

ひだまり物語

作者: 咲野 音葉

人生って何が起こるかわからないものだ。











「あっ!…あのっ!池上さん!」






この子同じクラスの子だ




「…何?」



あ、しまった…


予想通りというか、相手の子はビクッとして


「あ!すいません!ごめんなさい!えっと、その、休んでた時のプリントっ机に置いていきますね!!」



…同い年なのに


その子はこちらが何かいう前にさーっと席へ帰ってしまった。





池上いけがみ日向ひなた、高校1年生




私は、人と話す事が苦手だ



こっちが少しでも気をぬいてしまうと、元々怖がられやすい顔をしている私はすぐ怖がられる。むしろ、今まで怖がられなかった事がない


…まぁ何となく原因は、この顔と、地毛だけどとても明るいこの茶色の髪のせいだろうなぁ。


でも、ここまで来ると案外どうでもよくなってくる。


一人なら怖がられる事もない、気を使うこともないはずだ









「あー…今日良い天気だなぁ。」



昼休み、私は入学当初からみつけてある外でとても日当たりの良い場所にいた

(そこは人がほとんど通らないので本当に穴場だと思う)



休み時間は大抵ここに来て昼寝をしたり、本を読んだり、あとたまに歌ったり…と色々している





今日は本当に良い天気だからすごく気持ち良い…




あー…眠い、寝ちゃおうかなぁ




と、ちょーど気持ち良くうとうとしていた時に…







ドサドサドサっ



「……っ?!?!」



教科書やら筆箱やら大量の紙やらが私の頭の上に降ってきた



「あぁっ!!」


落とした人の声だろうか、上から声がする


…正直痛い、物凄く痛かった。

特に教科書などは見事に私の頭に当たったため、少し涙が出てくるレベルだった。


「~っ…痛い」


が、とりあえずこらえて、頭の上の物を退かす…



…あれ?この紙、




「……譜面?」


えーとなになに?歌詞が書いてある



「…暖かい…この、場所で~♪好きな歌をうたおう」



まるで今のこの場所の事みたいだなぁ



メロディーは未完成だったけど少しだけ歌ってみた、すごく良いフレーズだったから





「うわー、すっげ…」



「…っ?!」


え!誰?!


「あっ、ごめん、それ落としたの俺なんだ!!拾ってくれてありがとう!」



あ…、



そうだった、これ落し物じゃん!

当然人が拾いに来るっていうのに、私気づかないで歌ってたっっ!!!


うー、恥ずかしい!穴があったら埋まってしまいたいーー!!!



「……ちゃんと気をつけて。」


恥ずかしさもあって、私から出てくるのはいつも以上にキツめの言葉


「あ!ほんとーにごめんね!!痛かった⁈大丈夫??」



…この人逃げないのかな


予想外の反応に逆にこっちが困った


「い、…痛かったけど大丈夫」


「ほんと⁈はー、よかったぁ!」


本当に怖がっていない様子のこの男の子はすごいキラキラした表情で話してくる


「ね、ね、ところでさ!」


「え?」




「君、さっき歌ってた?!」





ゔ!

や、やっぱり聴かれてた!!



「えーと…聴こえて…?」


「ん?聴こえたよ?俺がここの近くに降りて来た辺りで聴こえたから聴いてたんだ!」


あー…これはもう言い逃れできないなぁ


「…そうだよ。ごめんね聴かせて、その譜面に書かれてるのがすごく素敵だったから、勝手にアレンジして歌ったの」


はぁーとため息をつきながら言う私



でも


「え?!本当に⁈本当にコレ!コレ気に入ってくれた⁈」



…そこ?


「う、うん…まだ未完成みたいだけど歌詞とかフレーズとかすごい好き…」


私がそういうと男の子はすごく、それはもう犬のように(尻尾がみえた気がする…)喜んだ


「この曲!俺がつくったんだ!!人に褒められたのはじめてだ!!ありがとう‼すげー嬉しい!!」



え?つくった??

誰か好きなアーティストの譜面を書いたものでなく?

この人が??



「…すごい。」


ただ単に感動した、本当に凄いと思ったから


すると少し興奮気味の男の子が


「ね!君のアレンジさ!すっげー俺のイメージ通りだったんだけど!あ!あと歌も!だからさ!もう一回歌ってくれない??」




「え???」


ちょ、何いってんのこの人


私に、もう一回歌ってほしい???




「む、…無理っ!」


「えー!!」



いや、無理でしょ!そんな、歌を聴かれてただけでも恥ずかしいのに、それをもう一回とか!!




すると男の子はうーんと考え込んでしまった






「……なんで?」






な、なんで?!



「…普通に、知らない人に歌聴かれるの恥ずかしいでしょ…」



何でこんな事言わなきゃならないの、



「そっか……。」


再び考え込む男の子。


すると…






「そっか!!じゃあ仲良くなればいいんだ!」






……………は?






「俺!今から君と絶対に仲良くなる!んで歌ってもらう!」



にこーって…

何?!何この人…!めちゃくちゃすぎ…




「俺!杉村すぎむら太陽たいよう!1年5組!!」


君の名前は?


何て言いながらこちらに手を伸ばしてくるふわふわの茶色い髪の毛の男の子


同い年か…



「…池上…日向、1年3組」


え、これは、握手?すべき??取るべき⁇


私が迷っていると


「日向かぁ!名前似てるな!これからよろしく!!」


よ、呼び捨てっ


ガシっ


「っ!!」


にこにこしながら、杉村太陽は私の手を掴んで無理矢理あくしゅをした


「え、よ…よろしく」


「うん!よろしくな!日向‼」
























こうして、この二人はお互いに努力をしながら共に学校生活を送る事になる。





















似たような名前の全く正反対な二人が仲良くなり、日向も学校が楽しい場所だと感じる事が出来るようになるのは…もう少し後のお話。





初短編やってみました!

…はい、すいません謎ですね。

本当はこの子達で短い連載しようとしてたんですが諦めてしまい、ずっとしまっておくのも可哀想なので、短編として復活させました(^^;;



太陽と日向が出会った事は、日向だけでなく太陽にも変化をもたらしたと思うんです。

実は太陽も少しだけ不器用なので、歌をただ素直な気持ちで褒めてくれた日向の存在は大きいものになったはずです



とまぁ、こういう人の変化を書きたかったんです。お付き合いありがとうございましたm(_ _)m


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ