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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第六章  咎めの闇編
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第81話  爆撃の果てに

彼はまた、一人で道を行く。

何にも捕らわれず、我が道を行く。

誰が何と言おうとも、自分の信じた道を決して曲げない。


「アイツ等……何回言ったら俺から離れずにちゃんとついてくるんだ」


そう、彼―――リーフ・クリークははぐれたのである。

更に言うと、道に迷っている。

だが、彼は決して自分を疑わない。

迷惑なことだが、自分ではなく、周りの人間が道に迷う方向音痴だと思っている。


「……とりあえずどっかの部屋に入ってみるか」


最寄りの扉の前に立つと、どうやって開けようか悩む。

選択肢は二つ。

蹴破るか、銃弾で粉々に粉砕するか、である。

普通に手で押して開ける、という選択肢はリーフに、というより、クリーク兄弟にはない。


「よし、やっぱコッチか」


そう言って、銃に手をかけた瞬間、背中に悪寒が走り横に跳ぶ。

それとほぼ同時に扉が爆発した。


「な、何だ……?」

「あ~、なんかいると思ったらお前か。リーフ」


爆炎の中からノソノソと出て来たのは、長い金髪の青年だった。

地面スレスレの長い黒いコートが足に絡まって歩きづらそうだ。


「コレウザいな……」


言って、足に絡まるコートを引きちぎった。

とにかく不恰好になってしまったコートを気にせず着ていられる精神はどうなのだろうか。


「クラウン……お前、何でこんな所に……」

「……ふむ、オレだけじゃなさそうだがな」


クラウンは顔をリーフのいる方とは逆の方に向ける。

そちらにいたのは真っ白な長髪をなびかせた忍。

右手には長刀、左手にはクナイ。


「やっと見つけた。始末する」

「アダン、お前……」

「リーフ、そこをどけ」


リーフは二人を交互に見る。

アダンの顔には明確な殺気。

クラウンは殺気を向けられているが、どこ吹く風と言わんばかりに涼しい顔をしている。


「アダン、お前何やってんだよ」

「良いからそこをどくんだ、リーフ」

「……どかねーよ」


クラウンの前に立ってアダンに銃口を向ける。

ぶつかり合う二つの殺気。


「こんな所で身内で争ってる場合じゃねーだろ」


リーフが言い終わるのが早かったか、アダンが動き出したのが早かったか。

いや、正確にはアダンが相手の、この場合はリーフの隙を突いたのだ。

ほんの一瞬の気の緩み、常人には気付くことすらできないような隙を、アダンは決して見逃さない。


「邪魔だ」


アダンは右腕でリーフを突き飛ばす。

次の瞬間、視界が光に包まれたかと思うと、激しい爆音とともに大きな爆発が起きた。

リーフが立っていた場所から。


「なっ……!?」「リーフは外れたか。アダンも右腕だけ。腕が落ちちまったのかもな」

「クラウン、何しやがる!」

「まだ解らないのか」


アダンが冷めた口調で言う。

いや、口調は常に冷めているのだが、先程の言葉には明らかな呆れの色が混じっていた。


「コイツは、クラウン・ジョーカーは、闇の幻影の副総統。つまり―――」


クラウンは表情を崩さず、じっとアダンを見ている。


「敵だ」


アダンの右腕は、肩の辺りから消し飛んでいた。










悲鳴。断末魔。阿鼻叫喚。

様々な呼び方があるが、そのどれにも当てはまる共通点は、"恐怖"から起きるということだ。

今、彼女を見た者がいたら、あまりの恐怖に悲鳴すらあげられないかもしれない。

そのくらいに今の彼女―――スウェル・マクシードは異常だった。

彼女から溢れ出る輝力も、殺気も、彼女にまとわる何もかもが異常だった。


「スウェル・マクシードだな。お前はここま―――」

「邪魔や」

「でっ―――」


その赤い髪は血と同じ色。

その血は全て返り血。

彼女を恐れぬ者はいない。

彼女を畏れぬ者はいない。

恐れた上で、畏れた上で思うだろう。

何故、彼女はあんなに悲しそうな顔をしているのだろう、と。











爆発と共に建物が揺れる。

今のクラウンに迂闊に近づいてはいけない。否、近付けない。

触れたものを全て爆発させる、今の彼には。


「逃げてるばっかりか?」

「作戦会議中だ」

「立てれる作戦なんかねーし、立てる必要もねーよ」


リーフは両手に握っている銃を投げ捨て、その代わりに破動で銃を生み出した。


「一回お前をブッ潰したかったんだ。良い口実ができた」

「……来いよ」

破壊神の怒りの極刑ゴッド・オブ・デストラクション!」


銃から放たれたのは光の巨人。

ただ以前のものよりは力をセーブしているので、それに比例してサイズもいささか小さい。

それでも、威力は甚大だ。


「………はぁ」


だが、光の巨人は、クラウンの溜め息と共に爆発し、消え去った。


「この程度なら本気を出す必要はないな」

「っ……!」


誰が見てもわかる。

今のままのリーフではクラウンには勝てない。

元々の力の面でもそうだが、今のリーフは心の底の、自分でも気付かない辺りで手を抜いてしまっている。

仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。

まだ心の中では、クラウンのことを仲間だと思っている。信じている。


「……退け、リーフ」

「あぁ?俺はまだやれる」

「正直に言う。ここにいられると邪魔だ。目障りだ。消え失せろ」


今や片手だけとなってしまったが、心の中で無意識のうちに手を抜いてしまっているリーフよりは、アダンの方が役に立つだろう。

アダンには、そういう心はない。

仲間を思う気持ちはない。

彼は、スウェルを守るためだけに、"生き返ったのだから"。


「ウザってぇな」


クラウンの声音が変わる。

見ると、ちょうどタバコに火を付け終えたところだった。

それと同時に姿が本当の年齢のそれとなった。


「いい加減ウゼェ。お仲間ゴッコは終わりなんだよ」

「……先程までとは比べ物にならない輝力だな」


少し動いただけでも死んでしまいそうだ。

まるで、周り一帯が地雷原と化したようだ。


「リーフ、俺が特攻すると同時に逃げろ。コイツがこうなってしまっては俺達二人でもまず勝ち目はない」

「はぁ?ふざけんな!誰が逃げるって―――」

「良いから逃げろ。お前、あの方に何と言われたのか忘れたのか」


あの方、アダンがこの言葉を使うときは十中八九スウェルのことだ。

スウェルは解散前に言った。

「死ぬな」と。

スウェルの意思はアダンの意思と言っても過言ではない。


「………生き残れ」


そう言うや否や、アダンはクナイを握って特攻した。

しかし、爆発。

全てを無に帰す、無にする爆発。

あと数十㎝というところで、アダンの体が爆ぜ、消し飛んだ。


「…ダン………アダンッ!!!」

「お前も死ね。リーフ」


そして、クラウンを中心に起きた巨大な爆発が、全てを呑み込んだ。











名は無かった。

だがある日、彼女が名を付けた。

それから彼女は俺の大切な人になった気がする。

何をしても、どうなっても、絶対に守り抜こうと思った気がする。


いつも、俺は彼女の側にいた。

彼女が見ていないところで、俺は彼女を見ていた。

あの日、あの戦争の日、彼女は壊れかけた。

それを守れたのだから、死んでしまったが悔いはなかった。

なのに、またこの世に戻ってきてしまった。

何の因果か、誰の意図か。

だが俺は生き返ってもあの人を守る。

それだけは変わらない。











爆心地に佇むクラウン。

うっすらと目を開けている。

横たわっているリーフは生きていた。

外傷が酷く、虫の息に近いが、確かに生きている。


「クラウン……そういやこれが初めてやなぁ……」


リーフの目前に立つ後ろ姿。

それは見間違える筈のない後ろ姿。


「お前と殺し合うんは……!!」



セーブ『アース』のボス。スウェル・マクシード、その人だった。

(風見燈環)

「……ジャスト5か月ぶり」

(カイン)

「とりあえず、死んどこうか」

(風見燈環)

「待て待て待て待て!ホント悪かったって!」

(カイン)

「どこの誰が許そうと、俺と読者は許さねぇぞ!」

(風見燈環)

「ホントにスミマセンでしたぁぁあああ!!」


※ゴミを焼却中


(カイン)

「次回もお楽しみに」

(風見燈環ver.黒コゲ)

「お、お楽しみに……」

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