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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第六章  咎めの闇編
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第79話  報われなくとも

「何だ?コレで終わりか?」


 そう言って黒髪の女性―――メイディンが死刑執行剣エクスキューショナーを振って、付着した血を落とす。

 メイディンを囲んでいるのは全員『闇の幻影(ダークネスシェイド)』のメンバー。

 今戦っている場所はどこかの広い平原。

 メイディン達が部屋に入って行ったら、突然一人の男が瞬間移動させた。


「すいません、邪魔です」


 その声が響くと同時にメイディンを囲んでいた男達が倒れた。

 全員背中から血が噴き出している。


「全く……キリが無いですね」

「私の獲物を盗るな。串刺しにするぞ」


 白髪の青年―――シルゴートはその言葉を完全に無視し、敵に向きなおる。


「それにしても数が多過ぎませんか?」


 情報では500人ほどと聞いていた。

 しかし、500人では足りないほどの敵がいる。

 倒しても倒しても、敵は全く減らない。

 しかも、一人一人がただのザコではない。

 その身に闇族ゲルティアを宿している。


「桁を一つ間違えてるんじゃないか?」

「多分その通りだろうね」


 大量の敵を吹き飛ばしながら、『光化』しているウィンツが飛び込んできて言った。


「その通りとはどういう事だ?」

「コイツ等は多分、三年前のあの事件の兵達と『聖冠団』の団員達だよ」


 確かに、鎧を着ている者や、団服を着ている者が多い。

 三年前の事件での兵の数はおよそ五千だった。


「だとしたら相当キツくない?」


 その声と同時に数人が影で出来た槍に串刺しになる。

 影を操っているのはレイウス・ケイル。


「500人相手でもかなり無茶なのに5000人て……何これ、死ねって言ってる?」

「貴様は死んでくれても構わんが、私は生き残る」

「そうですわよ」


 巨大な青いドラゴンが敵を襲う。

 このドラゴンはジャクラの召喚輝獣。

 彼等もまた、謎の男に瞬間移動でここまで移動させられたのだ。


「軟弱親父が。この程度、あいてにできずにどうする」

「へぇ、そうですか。ならここからはメイディン一人でこの数を相手して下さいよ」

「あぁ、構わないが、敵と見間違えて貴様を斬り殺しても責任は取らないからな」


 こんな場所でも彼女達の仲の悪さは留まる所を知らない。

 常にマイナス方向へと向かっている。


「とまぁ、冗談はこの辺りにしておいて……どうする?」

「この数ですから一気に終わらせる方が良いでしょう」


 そう言って、シルゴートは魔錬具破動改造をする。

 その様子を見てメイディンでさえ、冷や汗が頬を伝った。

 酷く冷たい、狂気の籠った表情。

 シルゴートのこの様な表情は滅多に見る事は無い。


「一発で全て仕留めます」










「ねー、死んじゃったNO?」


 アルティスはアポンを突いて言う。

 微かにだがまだ息はしている。

 しかし、あと3分も持たないだろう。

 因みに言っておくと、ソール=Sは完全に絶命している。

 B~Zまでの全てを受けて、生きていられる者等いない。


「ったく、仕方ねーガキだな。テメェは」


 アルティスは声のした方に振り返る。

 いつからいたのか、腕を組んでもたれ掛かっているジェットがいた。

 彼は大地を照らす13星座シャイニングゾディアックの中で、唯一戦わない男だ。

 と言えば、少し語弊があるかもしれない。

 正確に言うと、彼は大地を照らす13星座の中で、唯一戦わない輝流士だ。

 他は男女問わず戦う。戦いまくる。

 それはもう、一般人が見たら引くほどに。


「オジサン、いつからいたNO?」

「さっきからだ」


 ジェットはアポンの目の前まで歩いて近づくと、そのまま全力で蹴り飛ばした。

 数メートル吹っ飛んで、口から血を吐く。


「な、に……しやが、る………」

「喋れるようになったろ。治療だ、治療」


 と言っているが、これは治療などではない。

 ただの暴力で、憂さ晴らし。

 俗に言う、ストレス発散。


「にしてもヒデェやられようだな。女の子がいねぇとロクに敵も倒せねーのか」

「うっせぇ………」


 ジェットは口だけの男だ。

 まぁ、そこら辺の輝流士には負けないほどの実力はある。


「お前、に、言わ……れたく、ねぇ……」

「そうだな。テメェみてぇなカスより弱ぇよ、俺は」

「………………」

「ま、今回はただの俺の気紛れでお前に生き残れるチャンスをやる」


 と、どこからか通常の5倍ほどある巨大な注射器を出した。

 その針をアポンの腕に刺した。

 見た目的には、刺したと言うより、貫いたと言う方が正しい気もするが。


「―――――っ!!」


 激痛。

 それと同時に来る体に異物が侵入してくる気持ち悪さ。

 声も出なかった。


「これは毒だ」

「HA!?毒でこんなになってるのに更に毒注射してどうするNO!?」

「この毒は他の毒を打ち消す」

「それって薬じゃないNO?」

「薬は治すんだ。毒は打ち消す」

「何が違うNOYO!」

「あん?決まってんだろ―――――」


 次の瞬間、アポンの体が緑色に変色していく。

 それと同時に緑色の煙が体中から噴き出す。


「苦しさが増す」


 アポンの絶叫が、部屋に木霊した。











「ちょっと!まだできない訳!?」

「早くして頂かないと私達が持ちませんわ」

「すいません、後一つです」


 そう言って手にしたのは黒い大剣、『黒漆平文大刀拵くろうるしひょうもんたちごしらえ』。

 その大剣の能力は、『衝撃波』。

 シルゴートは両手で握って、振りかぶり、地面に叩きつける。

 すると、シルゴートを中心に巨大な衝撃波が起こり、敵が吹っ飛ぶ。

 因みに、他の13星座メンバー達も被害を受けてしまっている。


「貴様……どうやら死にたいようだな……!」

「それは少し後にしてください。とりあえず―――――」


 七本の刀剣が一本となる。

 その刃は、次元を超越する。


「全員、伏せてください」


 4人はシルゴートに斬られないようにしゃがむ。


「―――――無次元一空閃ストレートライン


 居合。

 目にも止まらぬ居合。

 そして数秒後、敵全員の体から大量の鮮血が吹き出し、雨のように降り注いだ。


「人には使いたくなかったんですがね……」

「しゃーないよ。こうしないと僕達がやられてたからね」

「にしても、やっぱ、あの数はきつかった……」

「確かにそうですわね。山羊座がいないと私達はやられていましたわ」

「こんな屑がいなくとも私は死ななかったがな」

「強がって、も……」


 最後まで言い切れず、シルゴートは地面に膝を着いた。

 輝力が切れたのだろう。


「ま、僕達の仕事も終わりだし、ゆっくり休んでなよ。それと……」


 そう言って、ウィンツは何もない方向に光の弾を放った。

 否、何も見えない方向に。


「ぐあっ!」


 何も無かった場所から突然男が現れ、肩を抑えて蹲る。

 この男は、先程この5人をここに瞬間移動させた男。


「生き残りは僕に任せてよ」

「ば、化け物!」

「うん、で?」


 ニッコリと微笑む。

 まるで、無邪気な子供のように。


「確かに化け物だね。だから?」

「こ、こんな事して、許されるとでも……!?」

「いやいや、何言ってんの?そんな事言われると僕驚いちゃうよ」


 許されも何もない。

 許されなくて良い。

 許されたくてやっている訳ではない。

 許されたくてやめる訳が無い。


「僕達は何をしても許されないだろうし、憎しみを生むし、敵を増やす。でもね、僕達の目的は闇族を根絶やす事なんだ。だから僕達は―――――」


 ウィンツは人差し指と親指を立てて、男の頭に突きつける。

 銃を突きつけるように。


「許されなくて良いし、報われなくても良いんだよ」


 彼等は報われない。

 様々なものを犠牲にしてきているから。

 報われなくて良い。


「さよなら」


 ―――――パンッ

 光の弾が、男の頭を撃ち抜いた。

(風見燈環)

「話が暗い~」

(カイン)

「そうだな、暗い。それにまたどうでも良いような奴等が戦ってるし」

(風見燈環)

「と言っても、戦っているとは言えないような感じだったけどね」

(カイン)

「頑張れよ……」

(風見燈環)

「頑張ってる人に対してそれを言うのは逆効果なんだよ……」

(カイン)

「お前が頑張っているように見えないから言ったんだ」

(風見燈環)

「グハッ………」

(カイン)

「作者が力尽きたからこの辺で終わるか。次回もお楽しみに」

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