第78話 新旧蛇遣い座達
「"P"=Plant」
タイルの床から植物が大量に生える。
床からだけではない。
壁からも天井からも生えてくる。
まるで植物園のようだ。
「何考えてんのか知んネェけどさァ、アポン、テメェとは一対一でやりテェ訳な訳よ」
「何て?ちゃんと解るように喋ってもらえる?」
「そーゆー所がさァ……」
ソール=Sは裂けた口を歪める。
「マジでウゼェんだよッ!!魔錬具破動改造ッ!!」
「っ!いきなりかよ……!!」
アポンは足元に気配を感じる。
見下げると、地面から蛇が湧いて出て来ていた。
「な、何!?キモいんDAKEDO!」
「ガキんちょ!絶対に噛まれるな!」
アルティスは言われる前から逃げ惑っていた。
こんな少女が大地を照らす13星座の一人だと言うのだから不思議だ。
「アイツは大丈夫だな……問題はこっ、ち……」
腹に鋭い衝撃。
振り返ると、そこには禍々しい爪が両手を覆っているソール=Sが。
その爪はアポンの腹を貫いている。
「オレ様を忘れちゃってなかったかァい?」
「ッ……………はっ、忘れてる訳ねーだろー」
アポンの背中から木の槍が飛びだし、ソール=Sの左肩に突き刺さる。
しかし、禍々しい爪が傷を塞ぐ。
「コリャぁ…………」
「身代り木製人形。オレの十八番だ」
「逃げるのが大得意なテメェがよく使ってたやつか」
お互いの手の内は大体読まれているらしい。
この勝負、アルティスの存在が大きいのだ。
「つーか、このウザい蛇共さ……」
アポンが手を横に出す。
すると、天井から木が伸びて、地面に居る蛇を押しつぶす。
「掃除しても良かったんだよな?」
「………蛇を倒しただけで図に乗ってンじゃネェよ」
「ならアンタも蛇出す以外の攻撃しろよ」
ソール=Sの魔錬具『蛇死爪』。
その破動改造された姿『煉獄蛇死爪』。
その爪には猛毒がある上に、蛇を呼び出す力を持つ。
その蛇の牙にも猛毒が仕込まれている。
(あの爪に掠っただけで終わり。蛇に噛み付かれても終わり、か)
「何か作戦NAINO!?」
「作戦っつってもなー………そう言えば、お前の破動って何だよ」
「言わないとDAME?」
「言いたくないなら別に良いが」
「―――――死ぬゾ」
いつの間にか、二人の間にソール=Sがいた。
そして、そのまま、二人の体を鋭い爪を貫く。
「………また身代りカよ」
「教えなかったらあーなるぞ」
アポンとアルティスは茂みに隠れていた。
相手は一人だが、かなり厄介だ。
「仕方ないNE……。教えてあげるYO」
アルティスがアポンに耳打ちをする。
その能力は、まさに一撃必殺。
「KEDOコレ使うにはかなり時間が必要なんDAKEDO」
「しゃーねー。そん位の時間は稼ぐ」
そう言うと、アポンは茂みから飛び出す。
いつの間に作ったのか、手には木刀。
「お、自分から出てキタナ」
「ぶっ飛べ……!!」
「あん?」
アポンは木刀を横に薙ぐ。
しかし、いとも簡単に弾かれる。
「森羅磐衝!!」
アポンが地面に手を付くと、全ての植物がソール=Sに襲いかかる。
「こんな技で倒せると、思っテンのかァッ!?」
「思ってねーよ」
背後からの声に振り返る。
アポンが木刀を引いている。
「これで終いだ!」
引いていた木刀を突き出す。
木刀とは言え、先端は尖っている。
「何が終わりだァァッ!!」
力に任せて腕を振り回す。
爪がアポンの腹を横に切り裂く。
「―――――アンタさ」
またもや背後から声。
背中に掌を当てられている。
「後ろ、取られ過ぎ」
「っ―――――!!」
「散枝翠明」
アポンが言うと、ソール=Sの全身から、皮膚を突き破り木の枝が突き出て来る。
「グォォオオオッッ!!!」
ソール=Sは発狂し、地面に倒れ込んだ。
その様子を見ていたアルティスは不服そうに茂みから出てくる。
「MOU!倒しちゃったらmeの出番無いJAN!」
「バカ!まだ終わってねぇ!」
ガプッ。
そんな音が、アポンの足からした。
蛇が噛みついている。
「しまっ……!」
「今度はニセモンじゃなかったミテェだナ」
「E!?どういうKOTO!?」
「クソッ!ウゼェ!」
アポンは噛みついている蛇を潰す。
ソール=Sからは黒い靄が出ている。
「聞いてんだろ……コイツ等は、体の中に、闇族を……」
「ヒャハ~、オレ様のはただの闇族じゃネェ」
「どういう事だ……?」
「オレ様の体ン中にイんのは五闇柱が一人、ジャックだァ!」
以前、シルゴートが戦ったダイダラボッチと同じく、五闇柱。
だが、それを聞いてアポンは笑い出す。
「おもしれー……おもしれーなー……」
「あ?」
「アンタを倒したら五闇柱を一つ潰したようなもんなんだろ?」
「……テメェ、そんなナリでよくそんな事が言えたモンだな」
今のアポンは、足はふらつき、手は震え、口や鼻からは血を流し、目は焦点があっていない。
そんな状態で尚、笑っている。
「持って後10分クレェか?」
「バカか。こんなナリだからこそ言えんだろーがよー……がきんちょ、アレの準備しとけ」
「わ、わかっTA!」
アルティスは後ろに下がる。
「そうか、これが死にそうって事なのか……」
「あ……?」
「今まで面倒な事は避けてきたから解んなかったわー……」
ソール=Sはアポンの目を見て慄いた。
「ありがとう。死ぬ前に、勉強できたわ」
アポンの目は、既に生者のそれではなかった。
完全に死を悟った目。
否、死人の目。
「ま、勉強面倒だったから―――――」
アポンは高速でソール=Sに迫る。
既に、生きて帰る事を諦めている。
「嫌いだったんだけど」
アポンは今出せる全力でソール=Sを殴り飛ばす。
殴られたソール=Sは後方に吹っ飛び、壁に激突する。
「なっ……!?」
ただ、殴られただけならここまで驚きなどしない。
いつの間にか、壁に木刀が刺さっており、それが更にソール=Sの腹を貫いた事に驚いたのだ。
「―――――散枝翠明」
地面に手を付いて言う。
すると、地面から鋭く尖った木の枝が飛び出す。
「クソッ!」
地面から飛び出る枝を両腕でなぎ払う。
だが、アポンは攻撃の手を緩めない。
「森羅磐衝」
「ウゼェェンだよォォッ!!!」
襲ってくる植物を全て薙ぎ払う。
すると、植物に隠れて近付いてきていたアポンが、目の前で木刀を振りかぶっていた。
「ァァァァッッ!!」
アポンが爪に貫かれる。
だが、それは身代り木製人形だった。
本体はソール=Sの背後。
「テメェのその手もイイ加減飽きテんだよ」
アポンの首に蛇が噛みつく。
それと同時に、アポンは手に力が入らなくなり、木刀を落とした。
「が……あ………」
「やっと大人しくなったナァ」
「………オレ達の、勝ちだ……」
「はァ?」
そこで、ソール=Sは気付いた。
両腕が動かない事に。
見れば、両腕が木で固定されている。
「……ハッ、オレ様の動きを止めヨーが、テメェは死ヌンだよ」
「だから……言ってんだろ……」
アポンは笑って言った。
「オレ達の勝ちだ、ってな……」
アルティスからはげ問い光が放たれる。
どうやら準備が整った。
「……行け、ガキんちょ」
「な、何する気だ……!?やめろォッ!!」
「"A"=―――――」
ソール=Sは両腕を固定されて身動きが取れない。
つまり、躱す事が出来ない。
「All」
そこで、アポンの意識が無くなった。
心なしか、アポンは、笑顔だった。
ちょっとアンケート取ります。
この作品が終わった後の事についてです。
詳しくは言えませんが、予定では最終章で完結となっています(当然だろ)。
その後、続編的な物も書けるような終わり方なんですが……正直見たいですか?
短編で番外編みたいなのをするという手もあります。
①見たい
②どちらでも良い
③本編だけで良い
④短編で良い
⑤短編も別に良い
⑥新作作っちゃいなよ
⑦その他(この場合は、どうすればいいか書いて頂けるとありがたいです)
選択肢は以上7つ位で良いのかな……。
とりあえず①が3人以上居たら、続編考えます。
これは、活動報告と同じ内容なので、そちらに答えて頂いても構いません。
よろしくお願いします。
あ、これは活動報告では言ってませんが、答えが無かった場合は自動的に⑥になります。