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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第六章  咎めの闇編
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第75話  死んだ筈の

「アイツ等と会うのは久し振りだ」

「今回は会う予定はないぞ」


 二人の男が、大通りを歩いている。

 フードを被っていて、顔は分からないが、声からして男だというのは間違いない。


「私達の目的は魚座ピスケズだ。用心しておけ。バレンシーから連絡が無いという事は、やられたか捕まったか……どちらにせよ、奴は無事ではない」

「わーってる」


 二人は、どうやらスウェルの下へ向かっているらしい。

 そして、口ぶりからすると、バレンシーの仲間のようだ。

 つまり、『闇の幻影(ダークネスシェイド)』のメンバー。


「ボスに何か用か?」


 二人の前に立ちはだかるのは、スラン。

 ヘッドフォンを外している。


「ボスの部屋の方で大きい部屋がしたから行こうと思ったんだが……お前等の仕業か?」

「………久し振りだな」

「何言ってんだ。質問に答えろ」

「耳が良いのに声じゃ分かんねーか?」


 そう言うと、片方の男がフードを取る。

 その男の顔を見て、スランは驚愕した。

 短い白髪に蒼い目、しかし、左目の色素が少し薄く水色。

 左目の下には蒼い牙の様な模様がある。


「お前、何で……!?」

「もっかい言うぞ。久し振りだな、スラン」

「会う気はないという話をした途端これか」


 もう片方の男もフードを取る。

 こちらは長い白い髪に、金色の目。


「お、お前等……!!」

「スランがここまで取り乱すのも珍しい」

「カメラ持ってくるんだったな」

「そんな……嘘だろ……」

「嘘だろ、はひでぇだろ」


 男は笑ってこう言った。


「お前の、お兄ちゃんだろ」

「それこそ嘘だろうが」

「……そう言う所、変わってねぇな」


 スランは少し落ち着いて、苦笑して言った。


「―――――団長、それに、シエン」


 彼等は、死んだ筈の、『聖冠団』の前団長と前副団長、フライス=テンペストとシエン・パルミアだった。

 いや、ただのそっくりさんかもしれない。

 先程言ったように、彼等は三年前のあの事件で、死んだ筈なのだから。


「何でアンタ等が……生きてる……?」

「いや、元から死んでないし」

「は……?」











 カインの家。

 カインは自分の部屋に居た。

 ベッドに横になっている。

 と言っても、寝ているわけではない。

 今の時間は午後の三時過ぎ。

 流石にカインでも起きている。


「………なんか、胸騒ぎがする」

「どうしたの?」


 ガチャッと音がして。ミラが部屋に入ってくる。

 鍵はしていたのだが、やはり、彼女の前では意味を成さないようだ。


(……プライバシーはどこに行っちまったんだ?)

「胸騒ぎって、何があったの?」


 ミラが真剣な表情で再度尋ねる。

 カインはそこそこ小さい声で呟いたつもりだったが、聞こえてしまっていたようだ。


「別に、何でもない」

「ふーん、そっか」


 ミラは目を閉じて腕を組む。


「って、言いたい所なんだけど、そんな深刻そうな顔されて言われても困るよね」

「……俺そんな顔してた?」

「うーん………この家に住んでる人じゃないと分からないんじゃない?」

「そうか、俺もまだまだだなー。てか、今更だけど、勝手に鍵開けて入ってくんなよ」

「本当に今更だね。もうこの癖は治せないよ」

「治せ。治すんだ。お前ならできる」

「うん、それは良いとして」

「良くねぇ」

「何があったの?」


 カインは何でもない、と言おうと思ったが、ミラの目がそれを許さなかった。

『話を逸らすな』と、訴えかける目だ。


「………本当に何でもねぇよ。つーか、胸騒ぎって、何かあるもんじゃねぇだろ。勘に近いもんだ」

「まぁ……そうだね」

「ちょっと外行ってくるわ。んじゃ」


 そう言って、カインは部屋を出ていった。











 外に出たは良いが、する事が全くないので、とりあえず大通りを歩いている。

 気分転換、と言えば聞こえがいいが、プラプラほっつき歩いている、と言えば聞こえが悪い。


「こんな事ならミラを連れてくるべきだったかなー……」


 言って、すぐに頭の中ですぐに訂正する。

 あのまま話していると、ボロが出そうで、ミラから距離を取ったのだ。

 まぁ、出るようなボロなどあるかどうかも分からないが。


「何か妙に人が居ないな……」


 カインは周りを見渡して言う。

 少し歩くと、赤い髪の青年―――スランが倒れていた。

 それを見て、何かあったのかと思い、カインは走り出した。


「おい、スラン!どうしたんだ!?」

「…………カイン……」


 スランは全身ズタポロで、至る所から血を噴き出している。


「……すぐに、ボスの、所に……行け………」

「ボスより先にお前をどうにかしねぇといけねぇだろ!!」

「端的に言うぞ……オレは、フライスと、シエンに…やられた……」

「はぁ!?意味解んねぇ事言うな!!」

「早く、ボスの……所に……」


 そう言うと、スランは意識を失った。


「どうなってんだ……!?」


 カインはスランを背負い、家へと急ぐ。

 幸い、あまり遠くまで来ていなかったので、すぐに到着した。

 到着した後、リリカを呼んで、スランを引き渡した。

 リリカは、動揺していたが、すぐに治療を開始する。

 休む間もなく、カインはスウェルの下へと走り出した。











「はぁ、はぁ……!!」


 カインが到着した時には、スウェル、アポン、それにカインはまだ知らないが、ネラが居た。

 壁が崩れていて、血だまりが出来ている

 三人は、入ってきたカインを一度見ると、再度俯いてしまう。


「おい、何があったんだ……?何でアポンがいるんだ?その壁はどうした?その血は何だ……?」

「……何でもないわ。はよ帰り」

「何でもねぇ訳ねぇだろ!!何が―――――」

「何でもないて言うてるやろ!!」


 スウェルはカインの言葉を遮るように叫んだ。

 だが、カインは物怖じなどしない。


「……スランがやられた」

「なっ……!!」

「スランは、自分をやったのは、俺が居た時の『聖冠団』の団長と副団長だって言ってた」

「……それが?それがどないしたんや」

「そいつ等はもう………死んでんだよ」


 その言葉に、今度はアポンとネラも驚く。


「短い白髪と長い白髪の二人だ。ここに来たのはそいつ等なのか?」

「………確かにそいつ等はここに来た」

「じゃあ……」

「けど、ここを襲撃したんは別の奴や」


 そう言って、スウェルはカインに、ここで何があったかと『闇の幻影』の説明をする。


「………その、『闇の幻影』ってのに、フライスとシエンが……」


 カインの頭の中には、『何故』の二文字が渦巻いていた。

 何故彼等が生きているのか。

 何故彼等がスランを襲ったのか。

 何故彼等が『闇の幻影』にいるのか。


「これ以上アンタに話す事は無い。もう帰り」

「いや、もう一つ訊かねぇといけない事がある」

「………何や?」

「何でそんなに、暗いんだよ」


 今回、死傷者は出ていない。

 いや、スランが深手を負ったが、それを伝える前から空気が重かったのだ。


「アンタには関係ない」

「関係ねぇなら教えろよ。別段、困るような事じゃねぇんだろ?」


 正直、これ以上何かを聞いた所で、理解はできないだろう。

 許容量をとっくに超えてしまっている。

 だが、今度の話は、そんなに難しい話ではなかった。


「……大地を照らす13星座シャイニングゾディアック蟹座キャンサーが―――――」


 難しい話ではないが




「死んだんや」


 重い話ではあった。

(雪龍)

「よし、大声で叫ぶぞ」

(カイン)

「ん?」

(雪龍)

「感想くださぁーーーいッ!!!」

(カイン)

「うるさっ!何だよ、普通に頼めよ」

(雪龍)

「いやいや、普通に頼んでも面白みが無いし」

(カイン)

「今まで普通に頼んでたろうが」

(雪龍)

「新鮮味を出す為だよ。あ、もうネタ切れだから終わるよ?」

(カイン)

「自由過ぎんだろ!」

(雪龍)

「行間章のネタも待ってますよー」

(カイン)

「マジで締めんのかよ!次回もお楽しみに!」

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