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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
行間章 メンバーの日常編
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第72話  病人パニック 後編

 リルは寝てしまった。

 いや、病人なのだから寝ていて普通なのだが。

 

「あれから『聖冠団』はどんな感じなんだ?」

 

 唐突にカインはミナスに訊いてみた。

 あのゲームから一週間以上経っている。

『アース』も『聖冠団』もかなり暴れた為、その後処理がどうなっているのか訊いたのだ。

 

「ああ……あれから、第六部隊以外は働き詰めだよ。倒れちゃう人が出る位」

 

 因みに、何故第六部隊、つまりミナスの部隊が例外なのかというと、第六部隊は全員、女性だからだ。

 それなりに働いてはいるものの、流石に働き詰めにはされていない。

 こんな男女差別があっても良いものか、と思う方もいるだろうが、『聖冠団』ではそれは意味をなさないのだ。

 因みに、もう一人例外が居るのだが、一々言わなくとも解ってもらえるだろう。

 

「倒れる人が出るのは流石にマズイだろ……」

「丁度色々と忙しい時期だからさ。しかも今度新部隊を作るらしいんだ」

「へぇ、第七部隊ってか」

「うん、何でも、治療に特化した部隊だって」

 

『聖冠団』の団員には、治療が出来る者がそういない。

 なので、新部隊を作る場合は、新しく団員を増やさねばならない。

 

「面接と実技で判定するんだってさ」

「……勝手な予想だけど、それ全部アルバシスがやるだろ」

「うん!良く分かったね!」

(……アイツ、苦労してんなぁ)

 

 頼りがいはあるが、全く以って働かない上司を持つ者は大変だ。

 更に彼の真面目さが相まって、より苦労する羽目になっている。

 そういう面では、彼と弟は全く似ていない。

 

「そういえばさ、第零部隊って何してんだ?」

「さぁ……隊長があんなだから、どうせまた迷子でしょ」

「……そうか」

 

 第零部隊とは、隊長、副隊長、それに二人団員がいるだけの少数部隊。

 しかし、功績はどの部隊よりも上。

 なのは良いが、殆ど遠征に出ている為、あまり本部に帰って来ないのだ。

 というより、隊長が極度の方向音痴である為に帰って来れない、と言う方が正しい。

 以前のゲームでいなかったのはその為だ。

 

「あの事件の後、一回だけ帰って来てそれきりだから……大体二年ちょっと帰って来てない」

「今回は長いな……」

 

 大体いつも半年位で一度帰って来て、一ヶ月程したらまた出ていく。

 

「つーか、今更だけど『聖冠団』って名前は変えないんだよな」

「うん?どゆこと?」

「あの名前、王国直属だったからそんな名前になったとかどーとか、ってアルバシスに聞いたぞ」

「あー……あの時から独立しちゃったしね」

 

 それでも、あの場所にいられるのは、現団長であるウィンツのおかげだ。

 彼がいる限り、王国側は『聖冠団』をぞんざいに扱う事が出来ない。

 大地を照らす13星座シャイニングゾディアックの称号も伊達ではないのだ。

 

「しっかし、お前も忙しい時に風邪ひいたんだな」

「いや、まぁ、そだね……」

「ん?」

 

 曖昧な返答をするミナス。

 

「何かあんのか?」

「いや、実はあたし、あんまり忙しくないんだ」

「あ?忙しいってさっき自分で言ってただろ」

「だってあたし……仕事は部下に任せてるし」

「サボリ上司がもう一人居やがった!!」

 

 あっ、と何かに気付き口を閉じるカイン。

 同じ部屋でリルが寝ているのだ。

 大声を出したら起きてしまう可能性がある。

 まぁ、起きなかったので今回は良かったが。

 

「はぁ、良かった……」

「カインってたまにおっちょこちょいだよね」

 

 エリサに言わせれば、常におっちょこちょいだと言うだろう。

 

「あーもう、お前も寝ろよ。こっちの熱まで上がりそうだ」

「うん、風邪治ったらまた遊びに来るから」

「それは自分の家で休んでいる奴の台詞だろーが」

 

 ふふっと笑って、ミナスは目を閉じた。

 

(やっと大人しくなったぁ……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 

「じゃっ、帰るね」

「元気でね、ミナス」

「そちらこそ」

 

 この数日間で、ミラとミナスは仲良くなっていた。

 風邪ひき仲間として、どこか通ずる所があったのかもしれない。

 

「いやぁ、カインの看病のおかげで早く治ったよ。ありがとう」

「ゴホッ、ゴホッ」

 

 カインの咳。

 つまり、風邪をひいた。

 というより、風邪が移った。

 

「えっと……風邪が移るとアレだからもう行くね」

「ゴホッ、ゴホゴホッ!」

「カインもどういたしましてって言ってるわ」

「ゴホゴホゴホォォッ!!」

 

 ミナスはじゃあね~、と手を振って行ってしまう。

 カインは咳をしているだけなので、何を言っているかは解らない。

 ただ、最後の台詞は、『言ってねェェッ!!』で、合っている筈だ。

(雪龍)

「次回から新章突入って言ってましたが、もう一個話を入れます」

(リーフ)

「まぁ仕方ねぇよな」

(雪龍)

「え?」

(リーフ)

「主人公が風邪ひいてんじゃ新章なんてやってられねーし」

(雪龍)

「そういうわけじゃ……いや、そういう事にしとこう」

(リーフ)

「じゃ、次回もお楽しみにー、の前に作者からの報告」

(雪龍)

「はいっす、えー、新章の次にまた行間章を入れるんですけど、どんな話が読みたいか、あれば教えてください」

(リーフ)

「もっと簡単に言えよ。話のネタくれって」

(雪龍)

「折角和らげて言ったのに!」

(リーフ)

「では、今度こそ次回もお楽しみに」

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