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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
行間章 メンバーの日常編
73/83

第71話  病人パニック 前編

「ゴホッ、ゴホッ……」

「38.5℃……まだ熱高いな」

 

 ミラの部屋。

 そこにいるのはカインとミラ。

 

「今日一日……と言わず三日間位安静にしとけ、だな」

「ゴホッ、ゴホッ」

 

 とりあえず一度頷く。

 ここまでのやり取りで解るだろう。

 天城ミラ、風邪をひきました。

 まぁカインが言ったのだが。

 

「何かして欲しい事とか…何か欲しい物とかあるか?出来る限りやってやるから」

 

 家に居るのは二人だけ。

 リルとリリカは薬を買いに行っているし、リーフは仕事に出ている。

 アリスに関しては……大抵外に行っている。

 毎日決まって9時に家を出て12時に戻って来て、昼ご飯を食べると1時にまた家を出て5時に帰ってくる。

 何をしているのだろう。

 たまにかなり汚れて帰ってくる事がある。

 と言う事は誰かと遊んでいるのだろうか。

 

「ゴホッ、ゴホゴホッ?」

「おう、何だ?」

「ゴホッ、ゴホゴホ、ゴホッ」

「それはまた今度な。それに幾らして欲しい事と言っても病人が頼む事じゃねぇぞ」

「ゴホゴホ、ゴホッ?」

「当たり前だろ。何考えてんだ」

 

 ……何故か咳だけでカインには通じている。

 恐らく読者には何一つ伝わっていない筈だから、これからは自動翻訳しよう。

 

「で、他には?」

「じゃあ、今日一日は側に居て貰って良い?」

「言われなくてもそうするつもりだ。病人放置なんてしねぇよ」

「……優しいよね、カインって」

「よく言われる」

 

 今、主人公である彼は大嘘を吐いた。

 優しいなどと言われた事は全くと言って良いほどない。

 

「今日一日は私の執事様だね」

「おー、そうだな。つってもいつも俺はお前の執事みてぇなもんじゃねぇか」

「私の頼み事は断れないもんねー」

 

 カインとミラは毎日あるゲームをしている。

 それは、朝じゃんけんをして、負けた方が勝った方の言う事を一日中聞かなければならない、と言う物だ。

 言わば一日版王様ゲームの様な物だ。

 だが殆どミラが勝ってしまうので、先程カインが言ったようになってしまう訳だ。

 尤も、カインは『今度こそ勝ってやる』という精神の下、勝負をやめようと言わないのだ。

 

「それにしても幸せだなぁ。カインと二人っきりだなんて」

「おい、話を逸らすなよ。何かして欲しい事……って無理矢理聞かなくても良いのか」

「なら一つ頼んでいい?」

「最初に戻ったな……言っとくけど頼む事まで最初に戻ったらもう何も聞かないからな」

「……………大丈夫だよ。ちゃんと違う事だから」

「同じ事言おうとしてたよな!スゴイ間があったもんな!」

 

 カインはあっ、と言って口を塞ぐ。

 病人がいる為、大声を出さないようにしていたにも拘わらずあっさりと出してしまった。

 

「で、頼みって何だよ」

「一緒に……寝よ?」

「ああ……って、さっきと大差ねぇよ!!つーかマジでそんな事したらヤベェだろ!いや、しねぇけども!!言い方が可愛かったから思わず了承しそうになったわ!!」

 

 そんなことし出したら本気で止めてやる。

 ……あれ?そう言えば結構前カインのベッドにミラとリルが潜り込んでなかったか…?

 いや、気のせいだ。そう言う事にしておこう。

 

「お前のペースにはまりっぱなしでいけねぇや。病人なんだからもう寝とけ」

「むー!病人病人って何よ!」

「こら暴れるな!それに病人なのは事実だろ!」

「私はもう大人だよ!」

「病人=子供っていう方程式はどうやって出したんだ!?」

 

 暴れるミラをカインが何とか抑える。

 その時だった。

 インターホンが押されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カインが渋々階段を下りて行く。

 居留守を使おうと思っていたが、外に居る人は諦めなかった。

 5秒に1回の頻度でインターホンを押すのだ。

 

「あー、うるせぇうるせぇ。誰なんだよ」

 

 カインは外に居る人物を確認せずに玄関を開けた。

 そこにいたのは…。

 

「申し訳ありません。隊長の看病をして頂けませんか?」

「ゴホッ、ゴホッ」

「ミナス!?それにえっと……」

「ルア・ノールです」

 

『聖冠団』第六部隊隊長と副隊長の二人である。

 しかもミナスに至ってはマスクをしてかなりの厚着で更に顔が赤い。

 完全に風邪をひいている。

 

「あー……何でここに来たの?普通病院行くだろ」

「行きました。その後ここに来たのです」

「行ったんなら家で大人しくしとけよ!」

「私もそう言ったんですが……カインさんの看病が無いと治らない、と愚図るものですから」

「それで連れてくんのもどうかと思うんだけど」

「それに私は他の方々の看病をしないといけないので」

 

 どうやら『聖冠団』では風邪が流行っている様子。

 まだ風邪をひいていない者は殆どいないそうだ。

 カインはとても茶化しに行きたかったが、ミラの看病をしないといけない。

 

「そうかよ。つってもなぁ、うちにも病人がいんだよ」

「そうでしたか。なら尚更丁度良いでしょう」

「あ?」

「その方のついでにうちの隊長を看病してくださ……しなさい」

「アンタそれマジで言ってんの!?つーか何で頼む立場である筈なのに命令してんだよ!!」

 

 結局カインでは、ルアに口で勝てなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミラの部屋。

 布団を敷いてミナスを寝かせる。

 

「あなた風邪ひいたの?情けないわ~」

「アンタもでしょ!」

「いやいや、私のは風邪じゃないから。ちょっと転んだだけだから」

「転んだら熱出すって何!?」

「ゴホゴホうるせぇよ!!」

 

 カインにはちゃんと通じているとはいえ、基本咳をしているだけだ。

 ゴホゴホ言っているだけなのだ。

 

「つーか何で二人に増えちまったんだよ……」

「カインに看病してもらいたかったから」

「折角カインを一人占めしてたのに~!」

「はっ、甘いのよ」

「何を~…!」

 

 ミラとミナスが取っ組み合いの喧嘩を始める。

 

「お前等なぁ……」

「「ビクッ」」

「病人は大人しく寝てろやぁぁあああ!!!!」

「「ご、ごめんなさい!」」

 

 後編に続く。

 

「マジかよ!」

(雪龍)

「後編が終わったら新章突入です!」

(カイン)

「いつも通り出たとこ勝負だな!」

(雪龍)

「ま、まぁそうだね……」

(カイン)

「書いてる途中にいきなり出てきた設定とか書き出したらトンデモナイことになるだろうな」

(雪龍)

「あ、あぁ、うん……」

(カイン)

「新章に関してはラストもあやふやらしいな」

(雪龍)

「大丈夫、なんとかなる、『成せば成る』がモットーだから」

(カイン)

「何も成してねーだろ」

(雪龍)

「……次回もお楽しみに」

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