第69話 『アース』だけじゃない
タイトル思いつかなかった…。
シルゴート・ファリス。
大地を照らす13星座の山羊座。
彼は今、スウェルの所に居た。
隣りには黒髪で黒コートという黒ずくめで、しっかりとした体の長身の男性がいる。
「何やねん、折角『メンバーの日常編』やっとんのに、2つ目からメンバー以外が出てもうたやん」
「新しい蛇遣い座に懐かれてしまっているのは知ってますよね」
「おぉ、あんな可愛らしい子に好かれるなんて何したんや?」
「ただ、名前を暗記しただけなんですが……」
彼女にとっては初めての経験であった為、嬉しかったのだろう。
「それで、その子がどないしたんや?」
「いえね、彼女の懐きっぷりが尋常ではないんですよ。それはもう……口には出せない事まで……」
「そ、そうか……」
一つだけ言うと、一度襲われかけたそうだ。
最近の子は怖いね。
「ほんでここに避難してきたわけやな?」
そうです、と頷く。
「貴女くらいしか匿ってくれる方が知り合いに居ないんですよ」
他の大地を照らす13星座のメンバーなら、先程の話を聞いた途端大爆笑するだろう。
彼らはそういう人達なのだ。
「それはエエんやけど……何でカウリーがおんの?」
カウリーと呼ばれた男性は、いつのまにかソファに座ってお茶を啜っていた。
「……俺と同じ力を持つガキに会いに来た」
「ああ、デルスか。って二つしか変わらんのやけどな」
「何処に居る?」
「家におるんとちゃう?住所教えたるから行って来たらどうや」
「そうさせてもらおう」
スウェルは住所を書いたメモをカウリーに渡す。
カウリーはそれを受け取るとさっさと出て行った。
「これからどないするん?」
「そうですね……『アース』のメンバーに剣士って居ませんか?」
彼、シルゴートも剣士だ。
少し手合わせしたいのだろう。
「おるにはおるけど……アンタの相手にはならへんで?」
「それはそうでしょう。僕より強い剣士なんてこの世界には存在しませんし」
これは自他共に認めている事。
シルゴートの実力は13星座のメンバーはよく知っている。
世界最強の剣士を選べと言われたら、誰もが迷いなくシルゴートと言うだろう。
世界最強の輝流士を選べと言われたら、誰もが迷いなくロアールと言うと思うが。
「ただ、金の卵が見つかれ、ばと思っているんですよ」
「金の卵なぁ……美味しいんやろうか」
「食べてみてはどうですか?」
「……ごめん、やっぱ遠慮させてもらうわ」
スウェルとシルゴートは佐祢丸家へと向かっていた。
「如月……どこかで聞いた事のあるような……」
「着いたで」
スウェルは引き戸を勝手に開けて、中に入っていく。
シルゴートは一瞬躊躇したが、スウェルの後について行った。
「佐祢丸~」
「何奴じゃ!!」
そう言って佐祢丸はいきなり部屋から飛び出し、斬りかかってくる。
しれをシルゴートが面倒そうに手に持っている鞘に納めたままの刀で受け止める。
「むっ、お主剣士か!ならば覚悟!」
「魚座、貴女の所のメンバーは頭がおかしいんですか?」
「ちゃうちゃう、数人おかしいだけや」
おかしいのが居る事は否定しないらしい。
「佐祢丸!あたしや!スウェルや!」
「ん?ああ、ボスか、少々待ってくれ。今コイツを斬り伏せて……」
「そいつはあたしの知り合いや!!」
「そうなのか?これは失敬」
そう言って佐祢丸は刀を鞘に納める。
「……駄目ですね」
「何か言ったか?」
「この程度の剣士ならゴロゴロいますよ。全然駄目です」
「何じゃと…?」
佐祢丸の頭の中かで何かが切れた。
「決闘じゃぁっ!!拙者と決闘しろぉっ!!」
「……身の程知らず、という言葉は貴方の為にあるような物ですね」
「うるさい!決闘―――」
「うるさいのは貴方です」
シルゴートはいつの間にか佐祢丸の後ろに居て
「ぐはっ……」
佐祢丸はいつの間にか斬られていた。
一方で、カウリーサイド。
彼はメモにある住所、つまりデルスの家に来ていた。
「……俺のレプリカ…力を感じないな」
「おや、誰かと思えば……」
カウリーは声のする方に振り返る。
そこにはデルスが居た。
「……あまりに弱い力だったから気付かなかった」
「所詮は貴方の力の一部しか受け取れていませんからね」
「あの実験、まだ続けているのか?」
『人工輝流士製造計画』。
デルスが開始したこの計画。
「いえ、寧ろ逆です」
彼はこの世界からこの計画は根絶しようとしている。
大きな代償がある事が解ってしまったから。
「そうか、なら俺も協力してやろう」
「良いんですか?」
「元からそう言うつもりで来た。もしまだ続けていると言ったら迷わず殺すつもりだったがな」
「そうですか」
カウリーはそれ以上何も言わずにその場を去った。
カウリー・グランホーン。
大地を照らす13星座の牡牛座。
13星座の中で最も寡黙で、最も凶暴な暴れ牛。
それが彼だ。
「さて、どうしますかね……」
「シルゴート!!」
「えっ?」
佐祢丸を突いていたシルゴートを呼ぶ声。
それはシルゴートにとってはあまり聞きたくないものだった。
「何でこんな所にいるのYO!」
「ア、アルティス……」
アルティス・ベグラ・クルメナ…(以下略)
大地を照らす13星座の蛇遣い座。
13星座の中で最も難解で、最も無邪気な道化。
それが彼女だ。
「何故此処が…?」
「牡牛座に聞いたNO!」
「裏切られた……」
別に最初から組んでいた訳ではないが。
アルティスはシルゴートをズリズリと引き摺って行ってしまった。
「仲良くな~」
スウェルはそれを手を振って見送る。
そして
「……コイツどないしよ」
佐祢丸を突いてみるが起きない。
「……まぁエエわ」
そう言いつつもちゃんとリリカを呼んで治療させたとさ。
(シルゴート)
「はぁ、はぁ……ここまでは来れない筈」
(雪龍)
「シルゴート!?こんな所まで来たの!?」
(シルゴート)
「すいません、少々匿って下さい」
(アルティス)
「シルゴート!逃げないでYO!」
(シルゴート)
「なっ、こんな所まで……」
(雪龍)
「行っちゃった……えっと、次回もお楽しみに。感想待ってます」




