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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
行間章 メンバーの日常編
70/83

第68話  通じたのだから

やっぱこういうの苦手だよー!

……え?なら得意なのは何なんだって?



……(つまらない)ギャグ?

「レッ君がどうしたって?」

「レックス様の様子がおかしいんですわ!」

 

 トルージュが怒鳴る。

 突然カインの家に押しかけてきたのだ。

 因みにトルージュと話しているのはリーフとリリカである。

 

「何とかして下さいませ~!!」

 

 突然押しかけてきて怒鳴り、終いには泣く始末。

 

(どうすりゃいいんだ?てかカインとリルは?)

(二人一緒に出かけてるわ。何か家に居たら休めない気がする、とか言って)

(……あいつ予知でも出来んのか?)

「聞いてますの!?」

「ああ、はいはい、聞いてる。で、具体的にはどうおかしいんだ?」

「私に……とても優しいんですわ」

「「………はい?」」

 

 リーフとリリカは同時に首を傾げる。

 二人は今こう思っている筈だ。

 ……それのどこがおかしいんだ?

 

「いや、レッ君は大抵優しいだろ」

「そうなんですけど、今までとは違うんですの」

「……具体的には?」

「この前なんて私が荷物を持っていたら持ってくれたり、デートも快く受けてくれたり……」

 

 二人は今こう思っている筈だ。

 ……こいつのろけ話をしに来たのか?

 

「それの何がおかしいんだよ。のろけ話しにきたなら即刻帰れ」

「だって可笑しいではありませんか!普段なら嫌がるのに!!」

 

 二人は今こう思っている筈だ。

 ……嫌がられてんの、解ってたんだね。

 

「つーか、お前が言うおかしくなったレッ君にどうしろって言うんだ?」

「それは勿論、治して欲しいですわ」

「嫌だよ面倒くせぇ。他の奴に頼め」

「………はぁ、そうですわよね。どうせ私の頼みなんて誰も聞いてくれませんわよね。『他の奴に頼め』ですか。はぁ、貴方達が最後の頼みの綱だったのですけれど……仕方ありませんわね……」

 

 トルージュは言いながら玄関に向けて歩き出す。

 ため息交じりの声が震えている。

 リリカはこんな状態のトルージュを見ていられなくなってしまった。

 後数秒耐えれば部屋から出て行っていたが、その数秒が耐えられなかったのだ。

 

「ト、トルージュ!わかったわ!どうにかするから!」

「リリカ!?」

「本当ですの!?」

「勿論よ!悩める女の子の頼みだもん!」

「えぇ~……」

 

 リリカは、レックスがおかしくなってしまった原因を探る事となった。

 何故かリーフも同伴で。

 というより別におかしくなった訳ではないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両側にたくさんの商店が並ぶ道を一組のカップルが歩いていた。

 一人は長い桃色の紙を揺らす、顔が真っ赤な女性。

 もう一人は目に掛かるか掛からないか位の長さの金髪で、いつも以上に笑顔の青年。

 言うまでも無くトルージュとレックスである。

 今、二人は手を繋いで歩いている。

 

「やっぱレッ君おかしいわね」

「どこがだよ。普通だろ」

「いや、おかしいわ。だっていつもならトルージュが先導するのに、レッ君が先導してるもの」

「あ~確かに。てか、お前楽しがってねぇか?」

「そんな事ないわよ~」

(ならその笑顔は何なんだ……)

 

 リーフとリリカは建物の陰からこっそり二人の様子を見ている。

 

「てかこっからどうすんだよ」

「私に任せて。アレを使うわ」

「こんな所でアレを!?……ってアレって何だよ」

「見守る」

「既にしてるだろ!」

 

 リーフは馬鹿馬鹿しいと溜め息を吐く。

 その時、何かに気付いた。

 

「レッ君、大剣持ってねぇな」

「あ、本当ね」

「珍しいな。アイツ大抵武器持ってんのに」

「忘れただけでしょ」

 

 そう言われたがリーフは納得できなかった。

 言っていなかったが、花見の時にも大剣を持って来ていた。

 なのに今日は持って来なかったのか。

 

「当初の予定通り様子を見ましょ」

 

 当初の予定。

 それは二人が別れた後、レックスに話を聞いてみる、という単純な物だ。

 ……別れた、と言ってもそう言うアレではないよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おかしいとは言わないまでも、確かにレックスはいつもとは違った。

 とりあえず優し過ぎたのだ。

 いつも優しいのだが、今日は別格だった。

 

「じゃっ、またね、トルージュ」

「はい、レックス様」

 

 挨拶をした後、二人は別れた。

 

「……リリカ、トルージュを連れてこい」

「え?……判った」

 

 リーフには何か考えがあるのだろう。

 そう思ったリリカは何も言わず、トルージュを追いかける。

 

「さて、俺は……っと」

 

 リーフは勿論レックスを追いかける。

 

「レッ君!」

「ん?ああ、リーフじゃん。どうしたの?」

「トルージュから、お前がおかしいって聞いてな」

「僕がおかしい?」

 

 レックスはとぼけてみせる。

 いや、本当に解っていないのかもしれない。

 

「お前、何があったんだ?」

「別に何も―――――」

「大剣を持ってないの、関係あんのか?」

「………鋭いね」

 

 誰にも言わないでね、と念を押して話し始める。

 

「僕の裏の顔、アレを封じる為に輝流を媒介にしたんだ」

「それって……」

「うん、今の僕には輝流が使えない。だから、大剣を持っている必要が無いんだ」

「……それに何の関係があるんだ?」

「うーん、自分ではおかしくなったって自覚はないんだけど、トルージュが言うんなら間違いないんだろうね」

 

 レックスは苦笑して頭を掻く。

 

「僕ね、裏の顔のせいで手のつけられないやんちゃ者だったんだ」

 

 やんちゃ者、と言っているがそんな生易しいものではなかっただろう。

 かなりの罪を犯している筈だ。

 

「そんな僕がやっとの事であれを抑えられたのって、トルージュと出逢ったからだと思うんだ」

「出逢ったから?」

「そう、彼女は僕の裏の顔を見ても全く動じなかったし、怖がりもしなかった。心の奥底に眠ってた僕が、そんな優しい人を傷つけたくなかったんだろうね」

 

 そんな事で、と思う人もいるだろうが、それでも真っ当な理由になるのだ。

 優しさは時に、闇を光に変える力を持つ。

 

「でも、完全に抑え切れていたわけじゃないんだ。だから、彼女を傷つけてしまうかもしれない。そう思ってた」

 

 ここまで聞いてリーフは得心が行った。

 今までが、変だったのだ。

 最近が、普通だったのだ。

 

「それで今まで距離を置いていたのか」

「そうしようとしてた、って方が正しいかな。だって彼女は優しいんだもん。僕から離れるどころか近付いて来たよ」

「ふぅん、でも、そう言う事は本人に言った方が良いんじゃねぇか」

「今更、言えないよ」

「そうでもねぇだろ」

「えっ…?」

 

 リーフが後ろを見て言う。

 レックスもそれにつられてリーフの後方を見る。

 そこには、桃色の女性がいた。

 

「レックス様……」

「トルージュ……もしかして、聞いてた」

「はい、全て聞いていました」

「そっか、ゴメンね」

「謝ること、ないですわ」

 

 レックスは空を見上げて深呼吸をする。

 その瞬間に、リリカはリーフを掴み、高速で物陰へと移動した。

 

「……トルージュ」

「……はい」

「結婚しよう」

「…………………え?」

 

「「えぇええぇえええ!!!??」」

 

 トルージュよりも先に、物陰に隠れている二人が大声を出してしまった。

 レックスの突然のプロポーズ。

 誰よりも驚いている筈のトルージュはただただポカンとしている。

 

「レ、レレッ、レック、レックス様……」

「君が好きだ」

 

(ちょっ、アイツ突然過ぎんだろ!普段女の子に話しかけまくってる癖に、こういうタイミングヘタクソだなオイ!)

(リーフだってどうせ下手でしょ!静かにしてよ、良い所なんだから)

 

 これ以上聞くのはどうかと思うのだが…。

 

「あぁごめん、別に今すぐじゃなくても良いんだ。僕が伝えたい事は、伝えられたから」

 

 そう言ってレックスは踵を返し歩き出す。

 しかし、トルージュがレックスの腕を掴んで引き留めた。

 

「自分だけ言いたい事を言うなんて卑怯ですわ」

 

 今まで、どれ程想いを伝えてきただろう。

 けど、それは伝わっていないのだと、勝手に思っていた。思い込んでいた。

 正直な所、一緒に居られればいいと、それだけを望んでいた。

 一方的な想いで良いと思っていた。

 それだけで幸せだったのだから。

 でも今は、そう思ってはいない―――――

 

 

「―――――こちらこそ、お願いします」

 

 

 想いは、通じたのだから。

(雪龍)

「もっと甘~いのが書きたかったよぉ!」

(リーフ)

「あれがお前の限界だ。仕方ねぇよ。経験無いもんな」

(雪龍)

「……ない。何でないんだーーーぁっ!!!」


少々お待ち下さい



(雪龍)

「落ち着きました。さて、今回どうでしたか?」

(リーフ)

「どうでしたか?じゃねぇよ。無茶苦茶じゃねぇか」

(雪龍)

「え、何このアメとムチ。何で急にムチ繰り出してんの」

(リーフ)

「よーし、では、次回もお楽しみに」

(雪龍)

「無視すんなよ!てか勝手に終わらせんなよ!このやり取り久々だな!!」

(リーフ)

「感想も待ってます」

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