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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第五章  『せせらぎの宿』編
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第66話  木製人間の逆襲 前編

 カインは廊下が騒がしいせいで目を覚ました。

 既にリーフは部屋にはいない。

 

「うるせぇなぁ……うちのメンバーは静かに出来ねぇのか…?」

「誰かーーッ!!」

「リル…?」

 

 廊下からの声はリルだった。聞き間違える筈はない。

 だが自分の耳を疑ったのは確かだ。

 リルは大人しい為、こんな大声を出す事など滅多にないからだ。

 

「ったく、リルまでアホ共に感化されちまったのか…?」

「誰かーーッ!!」

 

 扉を勢いよく開いてリルが飛び込んでくる。

 

「誰か、誰かッ!!」

「おいリル、『誰か』しか言わなくなってんぞ?大丈夫か?」

「カ、カインさん!」

「そのカインさんだけどどうしたんだ?」

 

 爆音という目覚ましのおかげでカインはいささか機嫌が悪い。

 というよりこの部屋はカインとリーフの部屋なので、カインが居た所で驚く事ではない筈だ。

 

「大変なんです!根っこが!」

「根っこ?根っこが何なんだ?」

「根っこが……」

 

 

 

 

 

 

「襲ってくるんです!!」

「は…?」

 

 リルの言葉と共に壁一面が吹き飛ぶ。

 そこから出てきたのは大量の巨大な根っこだった。

 根っこは不気味に蠢いている。

 

「えーっと…?」

「ど、どうしましょう!?」

「どうしましょう、ってこりゃあ……」

 

 カインはリルを抱きかかえる。

 

「逃げるだろォッ!!」

 

 そして走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人は厨房に隠れていた。

 

「おい、あの根っこは何だ?それに皆はどうしたんだ?」

「どちらもわかりません……」

「まぁ、根っこの方は大体の予想はつくんだが……」

 

 カインはこの騒動の原因はアポンだと思っている。

 カインの知っている限りのアポンの能力は『木を操る事』。

 この能力さえあればあの巨大な根っこを操る等造作も無い。

 

「だけどなぁ……アポンが突然こんな事するか…?」

「原因を考えるのも良いですけどまずは他に誰かいないか捜しませんか?」

「そうだな。今思えば根っこが来ても燃やせばいいだけだし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人はメンバーを捜す為、一部屋ずつ回っている。

 それにしてもカインの能力は根っこに対してかなり有効だった。

 相手はただの木の根っこだったので簡単に燃える。

 どの位燃えるのかと言うと

 

「勢い余って宿屋ごと燃やさないでくださいね?」

 

 と、リルに真面目に言われた位だ。

 流石にカインでもそこまでは無いだろう。多分。

 

「誰も見つかんねぇなぁ。帰ったのか?」

「それは無いと思いますけど……でもアポンさんすらも居ないとなると……」

 

 色々考えた結果、ある一文が頭をよぎった。

 

(私今、カインさんと二人きりだ……///)

 

 考えただけで恥ずかしくなり、頬が紅潮する。

 

「……ん、リル?顔真っ赤だぞ?」

「え!?あ、い、いえ、何でもないです!!」

「何も言ってないんだが……でも確かに暑いな」

「へ…?」

「いや、さっきから炎使いまくってるから暑くなってきたよな」

 

 彼は色々と勘違いをしているらしい。

 

「え、えっと、あっちの部屋も捜しましょうか!///」

「あっちはさっき見たぞ?」

「そ、そうですね!では、行きましょう///」

「リルが暑さで朦朧としだした……こんなリル見たことねぇ……」

 

 とりあえず来た方向に戻ろうとするリルを方を掴んで引き留める。

 

「えっ、カ、カインさん…?///」

「もしかして熱あったのか?なら無理しなくて良かったのに」

 

 そう言うとカインはリルを背負った。

 リルはあまりの緊張により失神する。

 

「……こんなすぐ寝るとは思わなかった。よっぽど疲れてたんだな」(昨日は色んな事がありすぎたからな……)

 

 そう、皆様はお気づきだろうか。

 昨日は『聖冠団』の一件があった日。

 メタフィクショナルな発言をさせてもらうと、現実世界では5ヶ月近く経っているにも拘わらず、この世界では1日しか経っていないのだ。

 これで疲れない方が逆におかしい。

 

「ゆっくり休むんだぞ」

 

 彼の勘違いは解決してはいないのだが。

 

「おいカイン!こっちだ!」

「アポン…?のぉっ!?」

 

 足に細い根っこが絡みつき、カインを激しい力で引っ張る。

 

「くそっ!ヤベェ…!!」

「全く以ってヤバくねぇよ、ボケ」

 

 根っこが足から離れる。

 カインが恐る恐る上を見上げるとアポンが仁王立ちをしていた。

 

「アポン、お前……」

「呼び捨てにしてんじゃねぇ、と言いたい所だが今は良いや。何だ?」

「あの巨大根っこ。テメェの能力だろ。何やってんだよ」

「半分正解で半分外れだ。あれは木製人間ウッドドールが暴走しただけだ」

「お前がちゃんと制御しねぇからだろ?」

「ちげぇよ。楽しようと思って増やし過ぎたら流石に制御できなくなったんだ」

「より性質たち悪ぃよ!!」

 

 あくまで彼には罪悪感は無い。

 

「それより他の奴らはどこにいるんだ?」

「あいつ等は……」

 

 アポンの表情が暗い。

 まさか…。

 

「嘘だろ…?」

「……すまない」

 

 つまりそう言う事だ。

 全員、あの根っこの餌食になってしまったという事。

 

「マジかよ……」

「ん……」

「リル!」

 

 リルが目を覚ます。

 今となっては『アース』メンバーはカインとリルだけ。

 年下の少女だと言っても仲間がいればいくらか安心できるものだ。

 

「……本当にボスとかクラウンまでやられたのか?」

 

 カインでも止められるような物に、彼女達の様な高位の輝流士がやられるものなのか。

 その疑問がカインの頭をよぎったのだ。

 

「ああ、二人とも、突然の事で何もできずに……な」

 

 その後アポンは「本当にすまない」と謝る。

 こんなアポンを見たのは初めてだろう。

 

「カインさん?一体何が…?」

 

 リルが不思議そうにカインの顔を覗き込む。

 そのリルの後ろに巨大根っこが迫って来ていた。

 

「リル!危ねぇ!!」

 

 リルを突き飛ばし、根っこを燃やす。

 その時だった、全ての面の壁を破壊して巨大根っこが姿を現した。

 

「っ……万事休すか」

「本当にそんな言葉使う奴初めて見たよ」

 

 アポンがカイン達を庇うようにして立つ。

 アポンが手をかざすとカイン達は木に覆われる。

 

「アポン!?何だよこれ!!」

「こうなったのはオレの責任だ。テメェ等だけでも助けねぇとウェルちゃんにあの世で怒られる」

「ふざけんな!出せよ!!」

「まぁオレ、あの世とか信じてねーけど」

 

『せせらぎの宿』でこんな事になるとは、誰一人として思ってもいなかっただろう。

 残されたるは―――――二人のみ。

(雪龍)

「すいません、遅れました!」

(カイン)

「俺は良いんだけどさ。このまま行ったらお前が卒業するまでにこの話終わんのか?」

(雪龍)

「卒業って来月だよ!?無理でしょ!」

(カイン)

「いや、高校の」

(雪龍)

「高校の!?……たぶん終わるよ」

(カイン)

「自信ねぇのかよ!」

(雪龍)

「えっと、次回で『せせらぎの宿』編終わらせて、行間章が7,8個位で、第六章があって、多分行間章があって、第七章、最終章と続く予定だから……終わると思うよ」

(カイン)

「まだ半分位じゃねぇか?」

(雪龍)

「大丈夫さ!例え高校卒業までに終わらなくても完結させる!」

(カイン)

「頑張ってくれよ」

(雪龍)

「おうよ!では、次回もお楽しみに」

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