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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第五章  『せせらぎの宿』編
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第65話  風呂でのマナーより人間としてのマナーを守ろう

皆、レッ君やイグルスみたいな人になっちゃ駄目だぞ。

 ここは『せせらぎの宿』の露天風呂。

 

 読む前にまず一つ忠告しておこう。

 混浴だとかポロリだとかいう展開は決してない。

 

 そんな事を言った所で危険を冒す輩はやはりいるもので…。

 

「この隙間を…こうして……」

 

 この台詞だけで誰だか解る方がいたら凄いものである。

 まぁ、こんな事をする者は『アース』には多くないのだが。

 

「うーん…ミラちゃんやエリサちゃんはスレンダーで良いけど…本命はやっぱりカレン―――んぐぁっ!」

「レッ君が頭から槍生やして倒れましたー」

 

 そう、レックス・セルベシア、この男こそ危険を冒した内の一人である。

 だがどこからか飛んできた槍が頭に刺さり退場。

 

 

「レッ君のバカめ…。あんな乳女よりリリカとかアイシュさんとかの方が―――な、何だこれはぁああ!!」

「イグルスさんが灰まみれになって倒れましたー」

 

 イグルス・ルイセンバーン、この男もまた危険を冒した内の一人である。

 だが彼も何故か灰が纏わりついてきて退場。

 

「まさかアイシュのは、はだ……ぶふぉっ!」

「今度はヒルグさんが妄想して鼻血出して貧血で倒れましたー」

「ウブ過ぎんだろ!!」

 

 ヒルグ・エニージオ、彼は別に危険を冒したわけではないが、妄想し過ぎて退場。

 彼に関してはただただ「ドンマイ」と言う外ない。

 

 

「いつ、ボスに危険が迫るか解らない。常に守―――息が…!?」

「アダンさんが酸欠になって木から落ちてきましたー」

 

 アダン・ソマルス、彼にはやましい気持ちはなく、ただ純粋にスウェルを見守ろうとしていた。

 だが残念ながら場所が悪かった。

 突然彼の周りの空気が薄くなり、酸欠となって木から落ちてきて退場。

 

「ったく、もう少し落ち着けないもんかね」

「久し振りなので浮かれているんでしょう」

 

 クラウンとデルスの大人二人は落ち着いて湯につかっている。

 

「そういやいつもはしゃぎまくるカインはどうした?」

「あぁ、彼を含め殆どの方があちらにいますよ」

 

 デルスが指差した方を見る。

 

「いてぇ!!」

「ぐぁっ!傷に染みる!!」

 

 まだ全員傷が癒えていないので湯に浸かったら傷が染みるのだ。

 因みに女性陣はリリカに治癒してもらったおかげで男性陣の様な事にはなっていない。

 

「いやぁ、悲惨ですねぇ」

「ただバカなだけだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 女性陣side

 

「レッ君が覗くのは既に恒例になってもうたなぁ」

「そんな恒例は結構ですよ!」

 

 スウェルの言葉をカレンは必死に否定する。

 先程レックスの頭に刺さった槍は言うまでも無いだろうがカレンの物だ。

 

「アダンさんにも困ったものですわね」

「あ~…守ろうとしてくれるのはありがたいんやけど場所は選んで欲しいわな……」

 

 トルージュは先程アダンのいた木を見て言う。

 これも言うまでも無いだろうが、アダンが酸欠になった原因はスウェルにある。

 彼女の能力を使えばその程度容易い。

 

「でもヒルグは流石よね。アイシュも幸せ者ね」

「そ、そそそそんな事……///」

「よっしゃ!第一回好きな人談義やろか!」

『えぇぇえ!!?』

 

 スウェルの言葉に全員叫ぶ。

 隣りの男性陣には何が起きたのか解っていない為、どうしたのかと聞いて来た。

 勿論声をそろえて『何でもない!!』と言ったが。

 

「ミラとトルージュとアイシュと…リリカはもう解りきっとるからエエわ」

「「えっ!?……ふぅ」」

「「え~…」」

 

 アイシュとリリカの二人は一旦は驚いたが、談義に関わらず済んだのでホッとする。

 ミラとトルージュははカインの好きな所を熱弁したかったのだろう。

 

「ほんならエリサから行こか」

「えっ?わっ、私!?」

「あたしが思うにカインやと思うんやけど……」

「アイツではないです」

「アイツではないって事はおるんやな?」

「あっ……///」

「ミラ、トルージュ、頼んだで」

「了解」「了解ですわ」

 

 エリサ、連行。

 

「次は~…リルちゃん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃の男性陣。

 

「おい、やめとけって」

「うるさい!モテ男に何が解る!!」

「そうっすよ!これに関してはカインさんでも止められないッスよ!」

 

 復活したレックスとイグルスが覗こうと必死に画策中。

 カイン達は呆れて、彼らの事は無視すると決めた。

 

「何々~?リルちゃんの好きな人…?」

(リルの好きな人…?)

 

 カインは耳だけをイグルスの方に向ける。

 ここからは男女交互に会話だけを聞いて行こう。

 

 

「そやなぁ、リルちゃんの好きな人は~…リーフか?」

「ち、違います!」

 

「ん、リーフじゃないのか……」

(リーフはリリカがいるもんなぁ)

 

「ほんならレッ君とか?」

「それも違います!」(これって最終的にはバレるような…?)

 

「レッ君でもないと」

(レッ君はトルージュがいるし…)

 

「うーん……やっぱカインか?」

「えっ、あっ、やっ、その……ち、ちがっ///」

(解りやすっ!)

 

「へぇ、カインさんだったんスか~」

「ブフォッ!!」

「カイン!?」

 

 リーフはカインが突然噴き出した事に驚く。

 その時、中と外を繋ぐ扉が開かれた。

 

「何、お前ら。覗きとかやってんのー?正直流行らねぇぞ」

 

 アポンだった。

 しかも服は脱いでいない。

 

「な、アポンさん何で…?」

「ウェルちゃんに『変態がおったら知らせてな』って頼まれたからだよ。おーい、ウェルちゃーん、変態いたぞー」

 

 アポンが言った瞬間、イグルスとレックスを残して他の全員は颯爽と中へと逃げ込んでいく。

 アポンは「じゃあな」と扉を閉めて更に鍵まで閉める。

 

「カレン、やってエエで?」

「了解しました。『千手の真槍(ラスト・ランス)』」

 

 その日の天気は、晴れ後槍だったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれからおよそ1時間後。

 カレンは星を眺めていた。

 

「…………ん?あれは……レッ君?」

 

 カレンの視線の先にはレックスがいた。

 手には大剣を持っている。

 どうやらカレンは気付かれていないようだ。

 

「魔錬具強化改造―――…」

 

 大剣には変化はなかった。

 レックスは悔しそうな顔をする。

 

「レッ君」

 

 カレンは近付いて声を掛けてみた。

 肩をビクッと震わせ、こちらを見る。

 そしていつもの笑顔を見せた。

 

「なーんだ、カレンか。脅かさないでよ」

「レッ君……」

「見てたんでしょ?この通り使えなかったよ」

 

 そう言って大剣を地面に突き刺す。

 

「……私の事、恨んでる?」

「何で?恨む要素なんて微塵も無いよ?」

「でも私のせいで輝流が…!」

「言っただろ。カレンのおかげで今の僕があるんだ。あの時あのままだったら僕は正気に戻れなかった」

 

 レックスは大剣を持って歩き出す。

 そしてカレンの横まで来るとカレンの肩に手を置いた。

 

「ありがとう」

 

 レックスはその後、何も言わずに行ってしまった。

 

「………どういたしまして、って素直に言えないわよ」

(雪龍)

「えー、この『せせらぎの宿』での話を第五章にしました」

(カイン)

「ってことはこれが終わったらすぐ新章か?」

(雪龍)

「いや、第五章が終わって行間章に入ってからその後新章に入るよ」

(カイン)

「ふーん、行間章って俺の出番少ないらしいから興味無いんだけど」

(雪龍)

「新章になったら一杯出番作るから」

(カイン)

「……まぁ良いや」

(雪龍)

「という事で次回もお楽しみに~。感想待ってまーす」

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