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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第四章二部  炎の子の過去物語編
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第58話  LOST

「全員、スランを逃がす事を第一として考えろ」

 

 フライスは全員の前に立ち、言った。

 この中で音速で移動できるスランが一番逃げるのが可能な上、冷静な為状況を正確に伝えられると思ったのだ。

 横でソール=Sが怪訝そうに見ている。

 

「オレも協力してやんヨ」

「はぁ?お前は逃げねぇのか?」

「ジョーダンかましてんじゃねぇヨ。誰が逃げるカ」

 

 ソール=Sの表情には怒りが見て取れた。

 

「オレ様を駒にした挙句、使い捨てにしやがるとハ……どう刻んでやろウカ…!!」

「それよりまず命を守れよ」

 

 スランはフライスの後ろ姿を目に焼き付けて音速で走り出した。

 自分がまた戻って来た時、彼はまだ―――――

 

「くそっ!考えるな!」

 

 目の前に兵が立っていた。

 

「邪魔だぁぁあぁああぁぁああ!!!!!!!!」

 

 スランは自分の持てる力を全て拳に乗せ、兵を殴り飛ばした。

 そして一心不乱に走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スランが本部に帰って来れたのは走り始めて15分後だった。

 流石にずっと走るのは無理だったので休憩しながらだったが、かなり早く帰って来れた。

 

「おい!シエン!!どこだ!!」

「珍しく五月蝿いな。というより貴様依頼に行ったんじゃなかったか?」

 

 シエンが耳を抑えて近付いて来る。

 

「その事なんだが……嵌められてたんだ!!」

「……やはりか。だが、それを承知で貴様を連れて行ったのだろう?」

「そうなんだが数が問題外だったんだよ!!」

 

 シエンはどの位だったのか尋ねる。

 

「約五千だ…!!」

「五千だと!?アイツ一人の為にそんなに……」

「とにかく全員連れて早く行こう!」

「……ああ」

 

 その後、シエンは今本部に居る者全てを引き連れて丘へと向かった。

 隊長、副隊長、その他約三千人全てを引き連れて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 丘に付いたのはおよそ50分後。

 つまりスランがここを発って1時間と少し経っていた。

 

「何だ、これは……」

 

 シエンが着いた時には血溜まりしかなかった。

 生きている者どころか、死んでいる者すらいなかったのだ。

 

「おいおい!どうなってんだ?団長はどこ行ったんだ!?」

 

 シンが周りを見渡して言う。

 流石に死体一つ見当たらないというのは不自然過ぎる。

 

「既に処理されたのか…?そうだとしたら誰に……」

「処理されたって言っても何千人もいたんだろ?そんな数をたかだか1時間でどうにか出来ねぇだろ」

 

 全員冷静を装っていたが、内心かなり焦っていた。

 フライスの強さを信じているからこそ、生きているだろうという希望。

 死体一つ見つからない不自然さから来る不安と絶望。

 その感情が入り混じっていた。

 

「……ここに居ても仕方ない。帰ろう」

「おい!団長はどうすんだよ!!」

 

 カインがシエンの胸倉を掴む。

 

「見つからないんだ。それなのに居ても仕方ないと言ったんだ」

「テメェ…!!少し遠い所に居るかもしれねぇだろ!!」

 

 そこまで言うと、カインの腕をアルバシスが掴む。

 

「お前も解るだろ。近くにアイツの輝力どころか気配すら感じないのを」

「それは俺達が感じれてないだけで―――――」

「いい加減にしろ!!現実を受け止めろよ!!アイツはもう死んだんだよ!!」

「……テメェ、今何つった…?」

 

 カインはシエンを離しアルバシスに向き直る。

 

「死んだ?アイツが?ふざけんなよ」

 

 カインは踵を返し、歩いていく。

 少し歩くとカインの身体から炎が溢れてきた。

 赤い炎ではなく、青い炎でもなかった。

 その炎はどす黒い炎だった。

 

「カイン、お前その炎は…!?」

 

 アルバシスが言うと、黒い炎は消えた。

 

「この依頼、王からの直々のモンだって言ってたよな?」

「あ、ああ。そうだ」

「カイン…。貴様まさか」

 

 カインは何も言わず歩いていく。

 そのカインの方をシエンが掴む。

 

「王を殺す気か?」

『!!』

 

 シエンの言葉に全員驚愕する。

 

「離せよ」

「話す訳がないだろうが。王の下へは私が行く」

「うるせぇよ…!!テメェらじゃもう信用なんねぇ。俺が行く…!!!」

「………落ち着け」

 

 シエンは輝力で鎖を作る。

 その鎖がカインに巻きついていく。

 

「おい!ほどけよ!シエン!!」

「少し寝てろ」

 

 シエンが言うと、そこでカインの意識が途切れた。

 

「帰ったらカインを部屋に入れて出すな。もし出たら『聖冠団』総出で捕えろ」

「何もそこまでしなくても……」

「そこまでしないと本当に王を殺しに行くだろうが」

 

 シエンはカインをアルバシスに任せて歩き出した。

 

「話は私とスランで付けに行く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは城の一室。

 

「ええ、『聖冠団』が乗り込んでくるでしょう。その時は…頼みますよ?」

「かしこまりました。この―――――」

 

 

 

 

「ブライソル・サムレングスにお任せを」

皆さん、この急展開に付いて来れてます?

ここで出てきたブライソル・サムレングス。

…誰?って思った人、前の方を読み返してみようか。


ところで今回の最後、城の一室とかで話をしている描写がありますが、あれはカインとリルには見えていません。

見えているのは『聖冠団』のメンバーが居る所だけです。


今回はこの辺りで終わります。


では、次回もお楽しみに。

感想待ってまーす。

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