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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第四章二部  炎の子の過去物語編
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第56話  覚悟を決めて

 カインは廊下をトボトボと歩く。

 容姿は18歳の時と大した変化はなく、背が少し低いという所以外は全く一緒と言っても良い。

 

「ふわぁ~……あー、眠ぃ」

「第二部隊隊長がそんな事を言うな。下の者に示しが付かんぞ」

 

 カインが欠伸をして言うと、前を歩いている青年が言った。

 青年は白い長い髪に、整った顔立ち。

 因みに先程起こしにきた者ではない。

 

「良いじねぇか。大体いっつも起こすの早ぇんだよ。後、3時間は寝てても大丈夫だろ」

「大丈夫な訳が無いだろうが」

 

 二人は団長室の前まで来る。

 青年がノックをして扉を開く。

 中には既にカインを除く第一から第六までの隊長達がいた。

 

「あっ、カイ~ン!おはよー!」

「ああ、あはよう」

 

 カインに挨拶し、飛びついて来たのは第六部隊隊長、ミナス・タイク。

 当時14歳。

 

「お前はいつも遅い。いい加減にしろ」

「へーへー、悪かったな」

 

 そう言ってきたのは当時第五部隊隊長、ユーレン・セルシリー。

 当時15歳。

 

「オレだって眠ぃんだからさっさとしろよ」

「俺がさっさとしても寝れる訳じゃねぇぞ」

 

 カインに不満を漏らしたのは当時第四部隊隊長、シン・エイルハーン。

 当時17歳。

 

「……何だコレ」

「身代り人形だってさ」

「何でコイツはこれで許されんの!?」

 

 身代り人形を使ってサボっているのは当時第三部隊隊長、スラン・フォン・フォニム。本名スラニック・シュランツ。

 当時19歳。

 

「そいつのサボリ癖は死んでも治んねぇから仕方ねぇ」

「オイ、バカ兄貴ならどうにかしろよ」

 

 スランを庇った(?)のは第一部隊隊長、アルバシス・シュランツ。

 当時20歳。

 

「さーて、一人を除いて全員揃った所で用件を伝えようかな」

 

 イスに座っている青年は当時団長、フライス=テンペスト。

 短い白髪に蒼い目、しかし、左目の色素が少し薄く水色。

 左目の下には蒼い牙の様な模様がある。

 当時23歳。

 

「……何の話だっけ?シエン」

「私が答えられる訳がないだろう。知らん」

 

 カインを連れてきた青年は当時副団長、シエン・パルミア。

 当時21歳。

 

「えーっと…………………………あっ、あの事だ」

「長かったな、オイ」

「今日呼んだのは他でもない。次期団長の件についてだ」

『……は?』

 

 ここにいるフライス以外は何を言ってるんだ?という目で見る。

 当のフライスはハッハッハッと笑っている。

 

「何で次期団長なんて決めるんだ?」

「良い事聞いたな、アル」

 

 フライスは笑うのを止め、真剣な表情でアルバシスを見る。

 

「この前正式に(バカ)王様から辞令が来た」

 

 小さくバカと聞こえたが誰も聞かないフリをした。

 それにしても突然辞令とは何事だろうか。

 

「どうやら王様には息子が三人いるらしいんだが、その末っ子に団長をやらせろぉって言われてさ」

「あぁ?そいつ呼んで来い。『聖冠団』舐めてんじゃねぇぞ」

「オレに言うなよ。オレは断ろうと思ってんだがな」

「だが良いのか?それを許す程甘くないだろう?」

「そこなんだよ」

 

 フライスははぁ、と溜め息をつき背もたれに体を任せる。

 そして何か言い案はないか、と目で訴えかけてくる。

 しかし、ここの隊長達からはまともな答えは期待できない。

 

「その王子ボコれば良いんじゃね?」

「全員討ち首になんだろーが」

「……暗殺は?」

「絶対駄目だろ」

「なら城ごと全員燃やすか」

「お前ら思考が野蛮過ぎるだろ!!出来るわけねーだろッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは食堂。

 時間は後数分で正午になる。

 あの後ずっと良い案は無いかと頭を捻らせたが、結局出て来なかった。

 というのも、頼りの綱であるアルバシスとシエンですら何も出て来なかったのだから仕方ない。

 

「ぁあ~、腹減った~……」

「あたしもペコペコだよぉ……」

「ふん、テメェらまともに頭を使ってねぇくせに」

「お前もだろうが。てか俺は朝飯も食ってねぇんだぞ」

「それはカイン、お前が起きるのが遅かったからだ」

「だから7時は早ぇんだよ」

 

 カイン、ミナス、シン、ユーレンの四人は昼食を取り、その後自室に帰っていった。

 正確に言うとミナスはカインの部屋に行ったのだが。

 仕事をしないのか、という疑問についてはこう答えるしかない。

『今現在、彼らに仕事は無い』と。

 本来、『聖冠団』は国の治安を守るのが仕事なのだが、大抵の事は下っ端達が済ませてしまう。

 隊長及び副隊長の仕事は、『対輝流士の戦闘』である。

 

「ねーねー、カイン、何して遊ぶ?」

「んー、そうだな……外にでも行くか?」

「うん!」

 

 だが、ここまで自由な隊長達は『聖冠団』に今までいなかったらしい。

 これでは緊急の時に大変だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ!カイン元気か?」

「元気かって昼までずっと一緒に居たろ」

 

 廊下を歩いていたカインとミナスの向かい側から来たのはフライス。

 因みにフライスは誰にでもこのように接するので、男女両性に人気がある。

 

「これからどっか行くのか?」

「ああ、外に行こうと思ってな」

「カインとデートなんだぁ」

「おっ、羨ましいな。オレもこれから遊びに行くんだ」

 

 それは団長としてどうなんだろうか。

 隊長が遊びに行くというのとは格が違うだろう。

 

「たまには息抜きも必要だしな」

「お前は息抜き過ぎて酸欠になっても知らねぇぞ」

「ハッハッハッ、お前が言うなよ」

 

 どっちもどっちである。

 というよりこんなので『聖冠団』が成り立っているから凄いと思える。

 

「じゃあな、楽しんで来いよ」

 

 そう言ってフライスは去っていく。

 玄関は三つあるのだが、街に行くならカイン達が今から行く所が一番近い。

 

「あの人いい加減玄関の場所位覚えれば良いのにな」

「だよねー。でもああいう所が良いんじゃない?」

「そう………なのか?」

 

 カインには良く分からないが女子から言うとそうらしい。

 二人はそんな事は置いといて外へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フライスは廊下を歩いていた。

 先程カインに言ったのは殆どウソだ。

 本当は城に行くのだ。

 

「オレも覚悟を決めにゃならんな」

 

 フライスは出入り口の前に立つ。

 そこは城に行くのに一番近い玄関だった。

ついに始まりましたカインの過去編。

まずはキャラとか紹介とかその他諸々です。

次回から急展開に次ぐ急展開!


…になると良いなぁ。



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