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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第四章一部  総力戦ゲーム編
54/83

第52話  危険と真実

今回結構短いです。


「アンタ誰なんだって聞いてるんスけど…!!」

「………ダ…エン……」

 

 そこでイグルスの堪忍袋の緒は切れた。

 

「だぁぁあもう!!声小さいんスよ!!もっと大きい声で喋れ!!」

 

 10分程前から同じような事を繰り返していたので、とうとうイグルスは言った。

 相手は大声を出されて体をビクッと震わせる。

 

「お、大声を出さないでくれ……俺は耳が良いんだ。そんな大きな声を出されると耳がイカれてしまう」

「……ならこのボリュームで話す。改めてアンタの名前は?」

「ダルト・エンパラス……」

 

 ダルトは結構ガタイが良く、茶髪のオールバック。

 ただ黙って立っていれば途轍もない威圧感がある。

 しかし

 

「よし……始めるか」

 

 声が小さいのが玉に傷。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グフッ……あ~…痛ぇ……ガフッ」

 

 アルバシスは瓦礫に埋もれていた。

 体中から血が溢れている。

 

「誰かと思えばお前か。良い様だな」

「……いつの間に、そんな…反抗的になったんだ?」

 

 アルバシスの下に訪れたのはスラン。

 

「……オッサンにやられたのか」

 

 周りを見渡してスランは言う。

 もうそこに本当に部屋があったのか疑ってしまうほどに破壊されている。

 

「やっぱあの人には、勝てねぇな」

「容赦ねぇからな。あの状態じゃ」

 

 アルバシスは内ポケットからボトルを取り出し、中の液体を飲む。

 すると普通に話せるほどまで傷が治る。

 ただ、骨がかなり折れている、もしくは罅が入っているので立つ事は出来ない。

 

「さて、オレの相手はお前なのか?」

「いや、カインを転送したんだがクラウンさんを抑えに来たんだ」

「ふぅん……」(じゃあオレの相手は誰なんだ?)

 

 アルバシスはスランを改めて見てフッと微笑む。

 

「何だよ気持ち悪ぃ」

「いや、昔を思い出していたんだ。まだお前が『聖冠団』第3部隊隊長だった頃の、な」

 

 アルバシスは真剣な表情になる。

 

「『聖冠団ココ』に帰って来い、スラン。いや―――――」

 

 

 

 

「スラニック・シュランツ。オレの弟だろ」

 

 スラン・フォン・フォニム。

 本名スラニック・シュランツ、アルバシス・シュランツの弟は元『聖冠団』第3部隊隊長だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……少し、派手にし過ぎたか」

 

 ダルトの前には血まみれで膝を付くイグルスがいた。

 

「何なんスか今の……」

「……君()召喚士だったんだね。でも、君にはこの力の才能が無いようだ……」

 

 ダルトは部屋を出て行こうとする。

 

「待て……クソッ…!!」

 

 イグルスは朦朧とする意識の中で、ダルトに向かって走り出す。

 そして拳を放とうとする。

 

「君では僕には勝てないよ」

 

 ダルトの裏拳がイグルスの腹にめり込む。

 イグルスは数メートル後ろの壁まで吹っ飛ぶ。

 

「殺しはしない。君はまだ強くなるだろうからね」

 

 そう言ってダルトは部屋を後にした。

 

 

 只今の『アース』vs『聖冠団』の戦績

 6勝2敗3分け:2勝6敗3分け

 残り人数:4対3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所はまた戻ってスラン達。

 

「その名前は捨てたんだ。オレはスラン・フォン・フォニム」

「……そうか。なら一つ教えてやる。第一部隊副隊長には気をつけろ」

「副隊長?何でだ?」

 

 副隊長と言う者は隊長より下。

 と言う事は隊長達の方が気を付けた方が良い筈。

 

「アイツが興奮したら危険だ。だからアイツをオレの傍に置いて監視してるんだ」

「そうか。そいつはアレの事か?だとしたらその忠告はもう無駄なようだ」

 

 スランが後ろを向くと、入口からダルトが入ってきた。

 

「隊長!?そいつにやられたんですか!?」

「いや、別の奴だ……」

「お前が副隊長さんで間違いないようだな」

 

 スランは目を閉じて深呼吸する。

 そしてゆっくりと目を開けて

 

「相手してもらおうか」

(雪龍)

「イグルス……ドンマイ」

(スラン)

「お前がしたんだろ」

(雪龍)

「そうだけど……スラン!頑張ってくれ」

(スラン)

「頑張る、ね。オレにそんな事が出来ると良いんだがな」

(雪龍)

(ここまでクールだとやり辛いな……)

(スラン)

「まぁ、次回もお楽しみに」

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