第46話 千手の真槍
10日間も投稿できず、すいませんでした!
しかし今後もこのような事が続くと思います。
本当にすいません。
カレンはレックスを壁に寄り掛からせて座らせて、ユーレンの居る方に向きなおす。
「アンタに会ったら言いたい事があったんだ」
カレンは槍を構えて言った。
「絶対倒す!!」
ユーレンは表情を全く変えず、無言で手袋をした右手を出す。
そしてゆっくりと手袋をはずす。
「俺を倒す…か。やれるものならやってみろ」
手袋の下から出てきた手は、人間の様に肉や皮がついたものではなく、鉄で作られた義手だった。
「おい、どういうこった?」
カインは誰もいない部屋で言う。
「何で誰もいねぇんだ?」
本来なら誰かいる筈、いやこの際言ってしまおう、アルバシスがいる筈だったのだ。
今所用で居ないのだ。
カインは怒って部屋を出ていった。
その頃アルバシスはというと、
「ここで止まってもらおうか」
今アルバシスの前にいるのはクラウン。
「何?君には用ないんだけど」
「こっちはあるんですよ。これ以上壁壊されると困るんですよ」
「さっきも言ったよな?オレ遠回り嫌いなんだ」
アルバシスは「しかしね…」と溜め息をつく。
それを見てクラウンはというと、
「なら力ずくで止めてみなよ」
そう言ってクラウンは煙草を吸い始める。
それに反してアルバシスは煙草を消す。
「ここで戦うとまた壊れるんでちょっと移動させてもらいますよ」
眼帯を取り一瞬で先程までカインがいた部屋に移動する。
カインがいると思っていたアルバシスは少し驚いた。
「……そんな本気にならなくてもオレ位なら倒せるんじゃないんですか?」
クラウンが煙草の煙に包まれる。
そして煙が一瞬にして消えると中から、金髪オールバックの強面の男性が現れた。
「この姿に戻るのも何ヶ月ぶりだろうな」
「そんな何ヶ月ぶりのをオレなんかに使うんですか」
「オレなんかに、か。テメェ第一部隊の隊長兼副団長だろうが」
「そうですけどね……」(果たしてどこまでやれるかな……)
「その手……アンタ……」
右手だけではなく、左手も同じく鉄で出来ていた。
「俺は人に作られた殺人兵器。故に嬉しさ、哀しみ、怒り、楽しさ等の感情や痛み等の感覚は持ち合わせていない」
それを聞いてカレンはクスクスと笑う。
「何がおかしい?ヒューマノイドが『聖冠団』の隊長をしている事か?」
「違うわよ……」
「アンタを倒すには動けなくなるまでボッコボコにすれば良いってことでしょ?」
「……感情が無い俺にでも解る。つまらない冗談だな」
カレンはユーレン向かって駆け出す。
それと同時にユーレンは左手を筒の形に変える。
「武器手腕―――筒型」
(自分の体を変形させた…!?)
「発射」
左腕から放たれる砲撃を躱すカレン。
カレンは『魔錬具強化改造』をし、炎を灯す。
「砲焔葬!!」
近付くのは難しいと思い、灯した炎を放つ。
しかし、左腕からの砲撃で撃ち落とされる。
「はぁぁああ!!」
「武器手腕―――剣型」
今度は右手を剣の形に変え、槍を受け止める。
そして左手の筒で球を放つが、カレンはそれを上手く躱す。
「ふむ、そろそろ殺すか」
ユーレンが上着を脱ぐと、背中から大きな紫色の一対の翼が現れた。
「武器手腕―――爪型」
ユーレンは凄まじいスピードでカレンに向かって飛んで行き、カレンの肩を爪で切り裂く。
カレンの肩から血が噴き出す。
しかしユーレンの脇腹からも血が噴き出した。
「へぇ、ヒューマノイドでも血が出るんだぁ……まさかオイルだとか言わないわよね?」
「……下らんな」
ユーレンが目を閉じるとカレンの体に無数の切り傷ができた。
「なっ……!?」
「まさかとは思うが見えなかったか?」
「くっ…!」
カレンは槍を支えにして何とか持ちこたえる。
体は一瞬のうちにボロボロになってしまった。
全ての力を使ってアレをやるしか勝ち目がない。
(ふぅ………よし!!)
カレンは集中し、深呼吸をしてこう言い放った。
「魔錬具破動改造!!!」
カレンの槍が光り出し、複数に分裂する。
その内の一本を掴み軽く振る。
「これが私の破動。その名も『千手の真槍』」
「……ほう、破動を使えるとはな」
ユーレンは大して驚かず、両手を横に広げる。
すると顔が鉄の様になっていき、完全に人間の形をした機械となった。
「これで俺の全身が兵器となった。逃げ場は無いぞ」
「そんなの元からいらないわよ!」
カレンは槍を思い切りユーレンに投げつける。
振ったり、突き刺したりすると思っていたユーレンにとって、かなり意外な行動であった為、回避が遅れ肩に突き刺さる。
「まだまだぁ!!」
カレンが別の二つの槍を一本ずつ両手に持ち、ユーレンに向かっていく。
ユーレンは無理矢理槍を引き抜き、へし折る。
「全身兵器―――聖騎士型」
ユーレンの体が鎧のようになっていき、頭を兜で覆った完全防御の状態になる。
右手にはいつの間にか少し長めの剣が握られている。
ユーレンが変身して数秒後、金属がぶつかる音が幾度となく響く。
目にも止まらぬスピードとはこういうのを言うのだろう。
二人は集中力を研ぎ澄ましているのでスピードについていけるが、周りで見ている者がいたとしたら全く見えないだろう。
「ここだぁっ!!」
カレンが隙を見つけ、脇腹を突き刺そうとする。
しかし、鎧にはじかれ突き刺さらなかった。
代わりにユーレンがカレンを斬り上げる。
躱そうとするが頬に掠る。
カレンは一旦距離を取って態勢を立て直す。
(流石に強いわね……)
「中々にしぶとい奴だ」
「女の子にそれは無いんじゃない?」
「残念ながら俺にとって性別などどうでも良い」
「私はどうでも良くないっての」
カレンがジト目でユーレンを見る。
ユーレンはそれを無視し、剣を自分の体に取り込み、今度は大鎌を出す。
「次で本当の終わりだ」
「アンタの、よね?」
カレンはニヤッと笑い槍を地面に突き刺す。
すると、その槍が宙に浮かび、分裂する。
その数は名の通り千はあるだろう。
「逃がさない。いや、逃がす隙を与えない。行け、『千手の真槍』」
カレンの言葉で千もの槍が一斉にユーレンに向かって飛んでいく。
カレンは勝利を確信した。
しかし、激しい金属音が響き槍が地面に落ちる。
槍の山の中から、鉄の壁が現れた。
その壁が消えるとその中には当然ユーレンがいた。
「全身兵器―――鉄壁の盾型。惜しかったな」
「いや、これで良いのよ」
そう言うとユーレンを中心として半径5m位の円が光り出す。
よく見ると、円周上には等間隔に7本槍が地面に刺さっていた。
「『千手の真槍』はただ槍が増えるだけが能力じゃない……」
「槍で囲んだ者を強力な力で破壊する」
「貫く……」
「鋭き槍術によって!!」
円の光が大きくなりユーレンを包む。
光の中では大きな雷が迸った。
ユーレンは仰向けで横たわっている。
「っ……動けん」
痛み等は無いが流石に体が言う事を聞かない。
そう、カレンが勝ったのだ。
「ははっ……有言実行、ってね」
只今の『アース』vs『聖冠団』の戦績
4勝1敗1分け:1勝4敗1分け
残り人数:9対7
(雪龍)
「何か初めて戦闘らしい戦闘を書いた気がする」
(エリサ)
「アンタの技量でよくそんな事が言えたわね」
(雪龍)
「仕方ないじゃん!難しいんだもん!」
(エリサ)
「はいはい、わかったから。次回は私なのね?」
(雪龍)
「そう言う事。頑張ってね~」
(エリサ)
「では次回もお楽しみに」
(雪龍)
「感想待ってまーす」
(エリサ)
(久々に言ったわね……)