第41話 総力戦ゲーム開始
門に兵らしき者はおらず、中にはすんなり入れた。
中にはいきなり階段があり、上には左目に黒地に☓印のしてある眼帯をした赤い髪の男がいた。
「アルバシス…!!」
「久し振りだな、カイン」
アルバシスと呼ばれた男は一度溜め息をつき、煙草を吸い始めた。
「これから『聖冠団』vs『アース』総力戦ゲームを始める!」
「何のつもりだ……!!」
「質問は受け付けねぇ。こっちだってやりたくもねぇのに無理やり団長の娯楽に付き合わされてんだよ」
アルバシスはまた溜め息をつく。
だがまた真剣な表情に戻し、話を続ける。
「ルールは簡単。お前達があの少女を取り戻せたらお前達の勝ち、取り戻せなかったら俺達の勝ちだ」
「ただ取り戻しゃ良いわけじゃねぇんだろ?」
スランの問いにアルバシスはフッと鼻で笑う。
「相変わらずお前は頭が切れるな」
「相変わらず?」
エリサがスランを見る。
スランは先程と変わらず無表情でアルバシスを睨んでいる。
「途中で第一から第六部隊の隊長と副隊長が待ち構えている」
「要するにてめぇら全員ぶっ倒せばいいんだろ?」
カインの言葉に『アース』のメンバーの全員の顔が真剣になる。
「……今からオレが適当にシャッフルする。誰かと戦いてぇって奴いるか?」
「……ユーレン」
「「!!」」
カインとスランはカレンを見る。
カレンの目には怒りの感情が見て取れた。
「何でお前その名前を知ってんだ…?」
「ちょっとした因縁があんのよ」
カインの問いに平然とした態度で答える。
その時アルバシスは煙草の火を手で消した。
「あんま時間掛けたくねぇんだ。他にはいねぇか?」
もう誰も何も言わない。
「なら始めるぜ。シャッフルスタート」
そう言いアルバシスは眼帯を取った。
アルバシスの左目が赤く光り出すと全員が一瞬で消えた。
「はぁ、俺はまだ出番ねぇし歩いて行くか」
「やっほー」
アルバシスが歩こうとしたら目の前に黒髪の青年が現れた。
「何やってんですか。あの子の様子は?」
「ずっと寝てて暇なんだ。だからちょっと様子見に来たんだけど……遅かったかな?」
「貴方に限ってそんな事ないでしょ。ずっと見てましたね?」
「バレたか。さすがアル君」
青年はテヘッと言いながら頭を掻く仕種をする。
童顔なので見る人が見れば可愛いと思うだろう。
「ま、貴方は部屋でノンビリしといて下さいよ」
「えー、暇じゃん」
アルバシスは溜め息をつき、左目に眼帯の上から左手をかざし、手を閉じる。
そして手を開くと手の中に黒いピン球程の球が現れた。
「コレを握りつぶせば画像が映るようにしておきました」
「おっ、サンキュー」
そう言って青年はこの場で黒い球を潰そうとした。
「ちょっ、部屋で見てください!」
「え~、仕方ないなぁ……」
そう言うと青年が一瞬光り消えた。
アルバシスはまた溜め息をつく。
「溜め息ばっかついてっと幸せが逃げちまうよな……」
アルバシスは煙草に火を付け吸い始めた。
「カイン…何でこんな事に……」
「ねぇ、そこの眼帯君」
アルバシスは声を掛けた者の方に振り返る。
そこにはクラウンがいた。
「アンタ……ゲームに参加すんのか?」
「別にする気はないよ。ただここにうちのボスが来てないかい?」
「さぁな、オレは知らねぇがいるとすれば団長の所だろ」
「そうか」
そう言うとクラウンは正面の壁に向かって歩き出す。
そして壁まで来ると手を当てる。
「おい、アンタまさか……」
「遠回りは嫌いなんだ。教えてくれてありがとう」
すると壁は大きな音を立てて爆発した。
「マジかよ……」
アルバシスは溜め息をついて自分のいるべき場所へと向かった。
(やっぱ意識しねぇとクセは治んねぇのかな……)
少し遠くで爆発音が聞こえた。
その時また溜め息をついてしまった。
(意識してもこんな状況じゃ一生治んねぇか)
アルバシスは正直こんな面倒な事は早く終わらせたい。
こんな争いのゲーム等尚更だ。
(しかもよりによって『アース』とはな……)
その時のアルバシスはどこか悲しそうだった。
(雪龍)
「この章は次回見せ場がある人を呼びまーす」
(リアン)
「成る程。だから僕は呼ばれたんですね」
(雪龍)
「一番目なんだから頑張ってね!」
(リアン)
「やれるだけやりますよ」
(雪龍)
「まさかあんな技があるなんてね」
(リアン)
「次回もお楽しみに」
(雪龍)
「えっ、無視?」