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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第三章 千年万華鏡編
35/83

第33話  死の力より ~本当は四人で~

「いやぁ、危ねぇな。オレの『空域』が吹っ飛んじまった」

「惜しい。もう少しであなたもズタズタにできたのに」

「はっはっは、テメェじゃ無理だ」

 

 シルゴートは地面に膝を着く。

 先程の技で輝力を使い果たしたらしい。

 

「後はお願いしますよ」

「へいへ―――っ!!」

 

 レイルはとてつもない殺気を感じて振り返る。

 そこには両手に銃を持っているリーフがいた。

 

「アイツは……俺にやらせてくれ」

「あぁ?テメェじゃ無理だ。すっ込んでろ」

 

 リーフはレイルの顔面すれすれに弾を放つ。

 弾は壁に着弾すると、壁を大きく抉った。

 

「こいつは俺にやらせろ…!!」

「なっ…!!」(こりゃただの破動じゃねぇ。まさか……)

 

 リーフはスラークの10m程前に立つ。

 すると、スラークは鼻で笑った。

 

「貴様のようなガキが私の相手か?」

「ああ、そうだ」

「笑わせてくれる。私に勝てるとでも……」

 

 リーフは何も言わず、左手の銃で弾を放つ。

 速さは避けられないわけではなかったが、問題は大きさだった。

 直径30m程で、スラークは避けられずに直撃した。

 

「があっ!!…はぁ、はぁ…」

「年甲斐もなくシャシャッてんじゃねぇよ」

「ガキがぁ…!!」

 

 スラークはよろよろと立ちあがる。

 

「あれが……リーフの破動?」

「いや、ありゃただの破動じゃねぇ」

 

 エリサの問いにレイルが冷静に答える。

 

「ただの破動じゃない?」

「ああ、正確には輝流でもねぇ」

「じゃあ、あれは何なの!?」

 

 レイルはエリサを落ち着かせ、話し始める。

 

「オレも見るのは初めてだが……あれは『死力』だ」

「死力?」

 

 今度はリルが尋ねる。

 エリサも知らないのだがリルの方が早かった。

 

「死力は輝力ではなく、人の命を使うんだ」

「人の命を!?」

「ああ、本来死力を使ったものは……死ぬ」

 

 エリサとリルは驚いて声も出ない。

 要するにリーフは死んでしまう、というのだ。

 

「そんな……」

「助ける方法はないの!?」

「無茶言わないでくださいよ」

 

 レイルの代わりにシルゴートが答えた。

 

「彼は自分で選んであの力を使っているんですよ。それで死んだって彼のせい……でしょ?」

「アンタねぇ…!!」

 

 エリサは手を強く握る。

 

「やるんなら相手しますよ?輝力が尽きかけているとはいえ、ただの魔術師には負けませんから」

「シルゴート、その辺にしとけ。嬢ちゃんも、な?」

 

 エリサは握っている手の力を強めた。

 自分が何もできない事に腹が立っているのだろう。

 

(そろそろ体に変化が起きる筈だが…)

帝王の即決断罪エンペラージェットキャノン!!」

 

 リーフの左手の銃からかなりの速さで銃弾が発射される。

 それはスラークを捕え、壁に高速で激突し爆発する。

 

「左は相殺、右は破壊…」

「何ですか?それ」

 

 エリサの呟きにリルが尋ねる。

 

「リーフの銃の……使い方って言うのかな。左手の銃で敵の技を相殺し、右手の銃で破壊する」

「えっ、でもまだ……」

「ええ、左であの強さ……右で撃ったらどうなるの…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちや!!カイン!!」

「誰が待つかよ!!」

 

 カインとスウェルは廊下で追いかけっこをしていた。

 どちらも遊びとは思っていないが。

 

「何で俺が行っちゃいけねぇんだよ!!」

「大人の事情や!!そんくらい分からんかい!!」

 

 その時、カインは少し前の壁が崩れているのを見つけた。

 それを見るためにカインは足を止めた。

 

「やっと……諦めたか…」

「いや違う。見ろ」

 

 そう言ってカインは崩れている壁の下の辺りを指差す。

 そこには何かはよくわからないが、穴だらけの死体があった。

 

「これは……」

「見てみ!あっちにも誰かが倒れとるで!」

 

 そう言ってスウェルは反対側の壁(だった場所)の向こう側を指差す。

 そちらには銀髪の青年が倒れていた。

 こちらはまだ息がある。

 

「おい!大丈夫か!!」

「お前は……リーフの仲間か…?」

「リーフを知ってんのか!?」

「そうか……リーフは、僕を…許してくれるかな…」

「おい!答えろよ!!」

 

 カインがそう叫んだ瞬間、青年の体が光り出す。

 それに合わせて青年は苦しそうに顔を歪める。

 

「うっ!ぁぁぁあぁあぁああ!!!」

「大丈夫か!?」

「これは…!」

「どうしたんだ?」

「まさか……死力を使ったんか」

「死力?何だそれ」

 

 スウェルは死力についての説明をする。

 それを聞いて、カインは目を見開く。

 

「って事は……リーフは!?」

「リーフ…僕は…君に、酷い事をした…」

「あ!?俺はリーフじゃ…」

 

 カインの肩をスウェルが掴み、首を横に振る。

 その動作を見てカインは黙る。

 

「僕は…自分の、弱さを、棚に…上げて……ぐっ!」

 

 青年がまた苦しそうにする。

 すると、青年の足が消えかかる。

 

「僕のせいで…君を、苦しめて…」

 

 青年の頬に一筋の涙が流れる。

 

「ごめん…!」

 

 青年の声が震えたものになる。

 それと同時に足が完全に消え、胴体が消えそうになる。

 

「ごめんよ、リーフ…!!」

 

 胸の辺りまで消えた。

 

「僕は、本当は…四人で…」

 

 とうとう声も出なくなるが、口は動いていた。

 口の動きだけでカインは何が言いたいのか大体は分かった。

 青年の体は全て消えてしまった。

 

「……カイン」

「リーフも辛い過去を背負ってたんだな……」

「せやな……」

 

 二人の間に重く、冷たい空気が通っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リーフ、聞こえているかい?

 君には八年前から心に重荷を背負わせていたんだね。

 僕が弱いせいで……本当にごめん。

 

 もう、僕には何もできそうにない。

 先にセルシアの所に行ってるね。

 でも、君の力の一部となって君を護り続けているから。

 今更こんな事って思うかもしれないけど、何があっても僕はリーフの味方だよ。

 

 本音を言うと、贅沢を言っているように聞こえるかもしれないけれど。

 もしかしたら君を更に苦しめてしまうかもしれないけれど。

 最期の言葉だから聞いて欲しいんだ。

 

 ―――僕は、本当は四人で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 ずっと笑っていたかったんだ…。

(雪龍)

「さて、今回の話はかーなり重たい話でしたね」

(カイン)

「作者の力量不足のせいで大したことなくなったけどな」

(雪龍)

「そんな事言わないでよ…」

(カイン)

「まぁ、諦めなかったら良い事あるって」

(雪龍)

「まさかのアメとムチ!?…まぁ、いいや。今回の話で少しでも感動してもらえたら嬉しいかぎりです」

(カイン)

「だから無理だって」

(雪龍)

「もしかしたら―――」

(カイン)

「絶対ない!!!」

(雪龍)

「…グレるぞ」

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