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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第二章 セーブ『アース』編
18/83

番外編  避けては通れない道

『勇気を胸にいざ行かん』の後日談です。

 今日は2月20日。

 カイン達は日頃任務で出掛けているが今日は休みだ。

 そんなある日の昼前、カインは部屋でゴロゴロしていた。

 するとノックの音が聞こえて来て

 

「すいませんカインさん、入っていいですか?」

「ああ、どーぞ」

 

 この声はカインが行った仕事先で出会った少女―――リル・コークレインだ。

 リルは、はいと返事をしてから部屋に入ってきた。

 近づいてきて、目の前まで来たら正座する。

 そして―――――

 

「カインさん、一緒にお出掛けしませんか?」

 

 何かと思えばそんな事かと心の奥深くで安心したカイン。

 

「そうだな……暇だし、行くか」

 

 一応本当に今日は暇だったか頭の中だけで考え、答えを出した。結局暇だったのだが…。

 それを聞くとリルは、

 

「あ、ありがとうございます!では準備してくるので待っていて下さいね!」

 

 と言って、急いで部屋を飛び出した。

 

「あそこまで急がなくてもな…」

 

 そう呟くとカインも自分の準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一階では上の階でドタドタと走る足音が響いていた。

 

「どうやら上手くいったみたいね」

 

 リリカは少し微笑んだ。

 

(私もリーフを誘ってみよっかな…)

 

 考えるよりもすぐに行動に移しがちなリリカはリーフの部屋に歩いて行った。

 その後、2人が顔を赤くしながら並んで歩いていたのを、見た者は少なくなかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カインとリルは特に行くあてもなく、ただただ歩いていた。

 

「たまにはこういうのも良いもんだな」

「はい!」

 

 元気良く答えるリルに、カインは微笑みながら頭を撫でる。

 そうするとリルは、顔を赤くして驚いた表情になる。

 周りからは、仲良し兄妹にしか見えなかったとか。

 全く似てないけど。

 

「あっ、カインさん!?」

 

 突然前から来た女の人が驚いたようにカインの名を呼ぶと、走って来た道を帰って行った。

 

「え、えーと……誰ですか?」

「…覚えがねぇな。誰だっけ?」

「えぇっ!?」

 

 まさか自分がした質問をそのまま言うとは思っていなかったので、かなり驚く。

 

「しかし珍しいな。俺の事をさん付けで呼ぶなんて」

「はあ…」(私も普段さん付けなんですけどね…)

 

 心の中で溜め息をつくリルだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人は今とある喫茶店に来ていた。

 

「リル、何かしたい事ある?」

「私ですか?私は……」

 

 リルは考える。かなり考える。必死に考える。滅茶苦茶考える。

 ちなみにカインはメロンソーダ、リルはホットケーキを頼んだ。

 

「……いや、無いなら無理しなくて良いんだぞ?」

「すいません……」

 

 見ていられなくなったのか、カインはリルの思考を止めた。

 脳を回転させ過ぎて、沸騰するかもしれなかったからだ。

 というのは勿論ウソ。

 

「別に謝る事じゃねぇよ」

「はい…」

 

 カインは苦笑しながら言うが、リルはまだ申し訳なさそうに言う。

 

「とりあえず買い物でも行ってみるか」

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度はとあるデパートに来ていた。

 

「ん~、何か欲しい物ある?」

「えっと、本が……」

「本か。じゃ本屋だな」

 

 カインはリルの手を取って歩き出す。

 

「え…カインさん?これは…」

「ん?迷子になったら大変だろ?」

 

 そう言ってニッコリと微笑むカイン。

 そのまま二人は手を繋いだまま本屋に向かう事にした。

 

「そう言えばどんな本が欲しいんだ?」

「『一文無しの亀が旅立つ』という本です」

「そ、そうか」

 

 本当に面白いのか謎なのだが、リルが良いと思うなら良いのだろう。

 それは置いといて本屋に着いた所からまたスタートする。

 

「こっちです!」

 

 カインは引っ張られるがままに進む。

 

「あっ、あのっ!」

 

 またもや突然女の人に話しかけられた。

 しかも今度は結構人数がいる。

 手には何かの包みを持っている。

 

「まさか……」

 

 どうやらここまで来て、ようやくこの女の人達が来た意味が分かった、というより感づいたようだ。

 

「リル、大きめの袋を貰って来てくんない?」

「? 分かりました」

「なるべく早く頼むわ」

 

 リルはカインの言うとおり、袋を貰いに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リルはかなり大きめの袋を持って帰ってきた。

 そこには女性の集団があった。

 そしてその中から

 

「うおっ、ちょっ、まっ」

「カインさん!?」

 

 女性の集団の中から聞こえてきたのはカインの声だった。

 聞き間違いかと思ったが

 

「リルか!よし!」

 

 と言ったので間違いなくなった。

 

「ちょっ、落ち着いてくれ!」

 

 カインは女性全員に聞こえるように大きな声で言った。

 というより叫んだ。

 

「俺には彼女がいる!」

『え……えええええ!!!!!』

 

 それにはリルも驚いた。

 そしてカインは女性の集団の間をすり抜けて、リルの所まで行きリルの頭に手を置いて

 

「だから受け取れねぇんだわ」

『ま、まさかその子が…?』

「ひぇっ!?」

 

 と言ったのでリルは変な声を出してしまった。

 女性達は一斉にリルを睨んだが、カインの方に向きなおし

 

『それでも受け取ってぇぇ!!!!』

「なんだってえぇぇ!!」

 

 カイン目掛けて駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~、助かった~」

 

 既に日も傾きかけている時間だ。

 今は本を買い、家に帰っている途中。

 

「それにしてもすごい量ですね」

「あぁ、くれるのは嬉しいんだけど…渡し方がなぁ」

「確かに…」

「それよりもさっきは助かったわ」

「?」

「ノッてくれただろ?」

 

 そこまで聞くとリルは顔を真っ赤にして、唸って(?)いる。

 その様子を見たカインが

 

「ホント、ありがとな」

 

 太陽のように真っ赤な少女を連れて、カインは夕暮れの街を帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家に帰ってから。

 

「カイン君はモテモテだな」

「うっせ」

 

 カインは貰ったチョコを食べながら、嫌味な事を言いながら近づいてきたリーフに返す。

 

「そう言えば俺に『お前と違って』とか言ってたよな」

「………………」

 

 リーフを無視してチョコを食べまくる。

 

「あんなことを「そんなことよりさ」…何だ?」

 

 カインはリーフの言葉をさ遮って黒い笑みを浮かべながら

 

「デートとか行ってないのか?」

「っ!……お前には関係ない!!」

「あるよ、一応兄だしな。言わないなら俺が貰っちゃうぜ?」

「お前にリリカはやらん!!」

「誰もリリカとは言ってないけどなぁ」

 

 カインはやってやったと言わんばかりに笑みを浮かべている。

 リーフは、顔を真っ赤にして黙って部屋に帰って行った。

 

「俺にちょっかい出そうとするからだ」

 

 その後カインは三日で全てのチョコを平らげてしまったとか。

モテる奴なんて…ちくしょぉおお!!!!

もう二度とこんなネタは使わねぇ!!!


…次回からは本編に戻りますのでご安心ください。

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