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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第二章 セーブ『アース』編
16/83

第15話  静かなる音 前編

一部削除兼変更しました。

「今回はいつもとちょっと違って人探しや」

 

 スウェルは突然そう言った。

 それは待ち合わせ場所に行った時の事。

 何故か待ち合わせ場所には、スウェルがいたのだ。

 

「何であんたがここに?」

「今回探してもらうんは『アース』の二大不可視輝流士の一人なんや」

 

 スウェルはカインを当然のように無視した。

 二大不可視輝流士と言うとかっこよく聞こえるが、ただ単に神出鬼没なだけらしい。

 

「そこでそいつを探してもらいたいんや」

「なるほどな、でも何処にいるんだ?まさかとは思うが世界中探し回れとか言わねぇよな」

 

 確かに世界中探せというのは無理だ。

 そんな事一生かけても無理だ。

 

「そんな事は言わへんよ、大体の居場所は分かっとる」

「何処なんですか?」

「今はグリマキスっちゅう街におる」

「何でそんな事分かるんだ?」

「GPS!」

 

 元気よくそう言った。

 というより分かっているなら自分で行けばいいのではないのか?そう聞くと

 

「メンドイもん」

 

 だそうだ。

 適当すぎる。こんなのでよくボスとしてやっていけたものだ。

 

「まぁ行ってくるわ」

「頼んだでー」

 

 そう言って手を振るスウェルに背を向け二人はグリマキスに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろどんな感じの奴か言っとこうかな」

 

 今二人はグリマキスまで後少しという所まで来ている。

 そこで、カインが言ったのだ。

 

「まだ街に着いてませんよ?」

 

 そう、後少しというところまで来てはいるが、まだ街には着いてはいない。

 

「今回探す奴はとてつもなく耳が良いんだよ」

「とてつもなく?」

「ああ、街に入っちまったら聞こえちまうかもしれねぇからな」

「そんなにですか?」

 

 とてつもないにも程があるのではないだろうか、と思わせるくらい耳が良いらしい。

 それこそリルよりも。

 

「ごめん、流石に言いすぎたわ」

 

 流石に嘘だった。

 

「それでどんな人なんですか?」

「えーと、赤髪でヘッドホンしてる奴」

「いつもヘッドホンしてるんですか?」

「ああ、なんでも聞こえすぎて嫌だからとか言ってたな」

 

 かなり大まかに言ったが、それだけで大丈夫なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人はグリマキスに着いた。

 

「こっからは手分けして探そうと思う」

「でもそれじゃあ見つかったとしても、今度は私達が会えなくなるんじゃないですか?」

 

 グリマキスはあまり大きくない街だ。

 だからと言って、簡単に会えるほどの大きさではない。

 

「それは大丈夫だ」

 

 そう言ってカインはポケットから何かの機械を取り出す。

 

「これは通信機だ」

「通信機?」

「このボタンを押すと俺の方に居場所が送信される。俺からリルにもできる」

 

 カインは通信機をリルに渡した。

 

「じゃあ、俺はあっち行くわ」

 

 カインはじゃあなと言って向こうの方に行ってしまった。

 それを見送ってリルもカインとは逆の方に歩き出す。

 

「「あ、名前言う(聞く)の忘れた」」

 

 二人は同時に思い出した。

 だが、時既に遅し。

 こんなので大丈夫なのやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――カインサイド―――――

 

「赤髪のヘッドホンした奴知らねぇか?」

「知らんなぁ」

「そうか、ありがとな」

 

 さっきからこの連続だ。

 恐らく30回ほどこんな事をしている。

 そしてまた

 

「赤髪のヘッドホンした奴(以下略)」

「知らないぞ」

「そうか、ありがとな」

 

 やはり知らなかった。

 

(あぁ、だりぃなぁ……)

 

 こんなので見つかるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――リルサイド―――――

 

「すいません、赤髪でヘッドホンをした人見ませんでしたか?」

「あぁ、それならあっちいたよ」

「ホントですか!ありがとうございます!!」

 

 いきなりビンゴだった。

 やはりカインとは日頃の行いに……いや、何でもないです。

 

「これなら見つかるのも早いかもっ」

 

 そう言い、リルは走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リルは今路地裏に来ていた。

 

「あれ?ここ何処だろう」

 

 ここに来るのは初めてなので迷子になっていた。

 周りをキョロキョロと見ながら歩いていると、誰かにぶつかってしまう。

 

「あっ、すいません」

「すいません?そんなもんじゃすまねぇなぁ」

 

 結構在り来たりなパターンだ。

 

「慰謝料払ってもらおうかぁ、ざっと3000万(キュール)で勘弁してやるわ!!」

 

 (キュール)というのはこの世界でのお金の単位である。

 1円=1キュールと思ってもらいたい。

 つまり3000万円よこせと言っているのだ。

 

「そ、そんなに持ってません!!」

「それなら身体で払ってもらおうか。嬢ちゃん結構な上玉だしなぁ」

「えぇ!?」

 

 男は下卑た笑いを浮かべながらリルの腕を掴む。

 リルも必死に抵抗するが、大人の男の力に勝てるはずもなく、つかれて行かれそうになる。

 

「やめてください!」

「やめろって言われてやめたりしねぇよ」

 

 そのままつかれて行かれると思っていたが、男は急に立ち止まる。

 

「女の子苛めて楽しいのか?」

「あぁん?誰だ兄ちゃん」

 

 男の前に立っていたのは赤い髪でヘッドホンをしている青年だった。

 

「オレの事探してるっぽいからついてきてみたらこんな事になるなんてな……お前等悪いな」

「まさか、あなたが…」

「何だ?知り合いか?」

 

 どうやら赤髪の青年は一部始終を見ていたらしい。

 

「兄ちゃんが3000万(キュール)払ってくれるんならこの子を返してあげても良いぜ?」

「そんなに持ってねぇよ。金欠なんだ」

 

 青年は左足を上げ、それを下ろした瞬間に男の懐に入り込み、殴って気絶させる。

 あまりに早すぎたのでリルには見えなかった。

 

「オレに用があるっぽいけど何?」

「え、えーと…」

「こんな所にいたのか、スラン」

 

 いつの間にかいたカインが青年―――スランに話しかけていた。

 

「なるほど、カインが探してたのか」

 

 スランは納得し、腕を組み壁にもたれかかる。

 

「いい加減帰って来いってとこか?」

「そんなとこだな。一緒に来てもらうぜ?」

「まぁ良いけどな。一つ条件がある」

 

 そう言うと組んでいた腕を離しリルの方を指差す。

 

「その子が新入りだろ?」

「そうだけど?」

「じゃあ、その子がオレの能力を当てれれば帰ってやる」

 

 こんな事を言いだした。

 

「ただまぁ、ヒントはやる」

 

 そう言うとリルに向けていた指を上に向けた。

 

「一つ、耳が良い事」

 

 そして指をもう一本立てて続ける。

 

「二つ、さっきの高速移動、以上」

「それだけじゃ無理だろ」

「す、すいません……」

「リルが謝る事じゃねぇよ」

 

 リルが本当に申し訳なさそうに謝る。

 

「リル?そうか君が…」

 

 スランは何かを考え込むように下を向いた。

 そして

 

「まぁいいや、メンドイしさっさと帰るわ」

 

 そう言うとスランは消えた。

 実際には消えたように見えるスピードで去って行っただけなのだが。

 

「……気まぐれな奴」

「まぁ良いじゃないですか。私達も帰りましょう?」

 

 リルがそう言い歩き出したのでカインもそれについて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはスウェルの部屋(アース本部)

 

 

「帰ったぞ」

「帰ったぞやないわ!何しとってん!」

 

 スウェルはスランにいくーきなり怒鳴りつけた。

 だがそんな事は気にせずスランは続ける。

 

「さっきカインと新入りに会った」

「……どやった?」

「別に。ただあの子……」

「やっぱ気付いたか」

 

 一呼吸置いてスウェルは続けた。

 

「今度また、あの子らと一緒に仕事行ってきてくれるか?」

(スラン)「おい」

(雪龍)「何?今回はスラン?」

(ス)「オレもしかして次回も出るのか?」

(雪)「でしょうね、前編ってぐらいだもん」

(ス)「あっそ、じゃあな」

(雪)「えっ?もう終わり?…帰りやがった…」

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