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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第二章 セーブ『アース』編
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第14話  償いの電撃

「今日一緒に行く人ってどんな人なんですか?」

 

 リルはカインに尋ねた。

 カインもそれに対しいつも通り適当に答える。

 

「今日のは……俺の苦手の奴だな」

「そうでしたか、それは残念ですねぇ」

「きゃっ!」

 

 突然の後ろからの声に驚くリル。

 そう言えばこの前もこんなことあったなぁ、とかなんとか思う。

 

「げっ、聞いてやがったか、デルス」

「いえ、偶々聞こえてしまっただけですよ」

 

 デルスと呼ばれるこの人は、黒いコートに身を包んだ紳士の様な雰囲気の男性だった。

 歳は20代後半くらいだろう。

 

「あの…初めまして。私はリル・コークレインです」

「おや、これはご丁寧に。私はデルス・エンバルザーと言います」

 

 人にご丁寧にと言っておいてなんだが、デルスも中々丁寧な口調で自己紹介をした。

 

「自己紹介も済んだ事だし、行きますか」

「そうですね、カイン君は私の事が苦手なようですしね。早く行って早く終わらせましょう」

「その癇に障る言い方はどうにかなんねぇの?」

「これは失礼しました」

 

 そう言い、笑って先に行ってしまう。

 それにカインとリルもついて行く。

 

「ほんとあいつは苦手だわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一行はとある研究所の前に来ていた。

 

「そろそろ何すんのか教えろよ」

 

 デルスはここに来るまで任務について何も言わなかった。

 

「その前に2人は『人工輝流士製造計画』というのをご存知ですか?」

「んだそりゃ?」

 

 カインは知る筈が無いと言わんばかりの返答をする。

 

「『人工輝流士製造計画』というのは名前通り人間の手で輝流士を造る計画の事です」

「なるほどな…それで?」

「その計画は被験者に大きすぎるリスクがあったので中止されていたのですが、また始まっているという噂が流れてきましてね」

「それがここだと?」

 

 はい、と頷くデルス。

 

「それよりさっき、噂がどうたら言ってたけど…」

「いえ、一応仕事ですよ。ただ少し私情も入ってますがね」

 

 カインは納得したようで、どうやって侵入するんだ?と聞く。

 以前のような強行突破はしない。

 そう思っていたカインだったが

 

「もちろんあなたの大好きな強行突破ですよ」

「好きではねぇよ!!」(もちろんって……普段の俺ってどんなふうに思われてんの?)

 

 ちょっぴり不安になるカインだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一行は今通路を歩いている。

 研究所内は明るく、周りが見えないということは無かった。

 

「そう言えば、さっき言ってた私情って何のことなんですか?」

 

 リルは気になっていた事を聞いてみる。

 その質問に対しデルスは真剣な表情で答えた。

 

「『人工輝流士製造計画』は私が始めたのです」

「!?」

「じゃあ何で今その計画をぶっ壊そうとしてんだ?」

「……先程も言いましたが、リスクが大きすぎたためですよ。私の場合嗅覚が無くなりました」

 

 デルスは辛そうな顔をして続ける。

 

「自分の身体で実験を?」

「はい、ですが嗅覚なんてましな方でしたよ。視覚、聴覚、更には記憶や心を失う者まで出た」

「だから中止したのか」

 

 一行に重い沈黙が圧し掛かる。

 

「おや?誰か来ましたね」

「ヒャッハー!!グハハハハ!!」

「な、何?」

「被験者ですね。恐らく理性を失っている」

 

 男は叫びながらこちらに突っ込んできて、おかしくなったように腕を振り回す。

 

「失敗作か?」

「死ねッ!!ヒャハハハハ!!!」

「いっその事、安らかに眠ってもらいましょう」

 

 そう言うとデルスは手を前に構える。

 するとデルスの手からバチッという音と共に電気が出てきた。

 

電撃の槍(サンダーランス)!!」

 

 手から出てきた電気を槍の形に変える。

 

「すごい…」

「デルス・エンバルザー、あいつは電気を自由自在に操れる」

 

 カインはいつも通り簡単に説明を終わらせる。

 簡単過ぎて詰まらない。

 

「説明が終わったようなので行かせてもらいましょう」

「逝く?ヒャハハハ!!テメェだけで逝きナァ!!」

 

 デルスはそんな言葉を無視して、武器を構え男に突っ込んでいく。

 

永久とわに眠れ」

 

 

「償いの電撃で」

 

 

電撃の槍乱舞(サンダーストライク)!」

 

 デルスの電撃により男は絶命した。

 

「また被害者が出てしまった……急ぎましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「動かないでください!」

 

 一行は研究室まで来た。

 そこには十人ほどの研究員たちが何かの装置―――恐らく輝流士を造るための装置―――の中に入っている男を見ていた。

 

「誰だ!お前達は!!」

「それ以上喋らないでください。私は今かなり機嫌が悪い。それとも―――――」

 

 デルスは手から電気を出し、続けた。

 

 

「ここで死にたいですか?」

 

 ゴミを見るような眼で。

 それに恐れをなした研究員たちは大人しく拘束された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一行と研究員たちは外に出た。

 そしてカインの炎で研究所ごと燃やした。

 

「では私はこれで。この屑共を二度とあんな事が出来ないようにして差し上げないといけませんから」

 

 デルスは丁寧な口調ながらもそう言った。

 

「そっか、じゃあまたな」

「はい、さようなら」

 

 こうして三人は別れた。

 デルスは一呼吸置いて

 

「さて、どうしてほしいですか?」

 

 振り返りそんな事を言ったんだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人達、どうなるんでしょうか」

「さぁ、デルスの事だから何でもしそうだな」

 

 二人は夕焼けの中を帰っていった。

デルス・エンバルザー

Dels.Embalzer

【性質:電撃/27歳/男/185㎝/70㎏】

丁寧な口調の紳士の様な男性。

『人工輝流士製造計画』を始めた人物。だが、リスクの大きさに危機を感じ計画を中止した。尚自ら被験者となり、輝流を手に入れた代わりに、嗅覚を失った。

常に冷静で滅多なことでは感情を露わにしない。

決め台詞は「永久(とわ)に眠れ、償いの電撃で」

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