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Sacred Flame of Darkness  作者: カラクリ/あわぞー
第二章 セーブ『アース』編
13/83

第13話  軽いと重いは紙一重?

「えっ!?」

 

 早速だが今回一緒に行くのはトルージュ・ニルシレスという女性。

 腰くらいまである長い桃色の髪が特徴。

 別に何も変わった事はない。

 だが待ち合わせ場所にはもう1人来ていた。

 そっちの方にリルは驚いたのだ。

 それは

 

「レッ君!?」

「や、やぁ…リルちゃんとカイン君」

 

 そう、そこにいたのはレッ君ことレックス・セルベシアだった。

 どこか浮かないような顔をしている。

 

「今回はレッ君も一緒か?」

「うん…まぁね」

「元気が無さそうですけどどうしたんですか?」

 

 リルは首を傾げながら尋ねた。

 だがレックスは何でもないとはぐらかす。

 そんな様子を見たカインが

 

「お嬢様を置いてこんなぺちゃくちゃお喋りして良いもんなのか?」

「はは、お嬢様ね……上手い事言うじゃん、カイン君」

 

 と少し楽しそうに言った。

 それを聞いてレックスは苦笑して俯いてしまう。

 これは重症だなと肩を竦めるカイン。

 そんな気持ちを知ってか知らずか(おそらく知らない)トルージュはレックスに後ろから抱きついて言った。

 

「ちょっとレックス様しっかりしてくださいませ!婚約者として恥ずかしいですわ!」

「婚約者!!?」

「いや、あの、その、ね……」

 

 レックスがはぐらかした事により少し不機嫌になってしまうトルージュ。

 

「ラブラブなのは分かったから早く行こうぜ」

「何処をどう見たらそう見えたのか、教えてもらっていい?」

「で、今回は何するんだ?」

「無視しないでほしいな~」

 

 カイン、リル、トルージュの三人は任務の内容を聞きながら行ってしまう。

 

「僕の立場ってこんななの?」

 

 レックスだけは置いて行かれかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな、結構楽そうじゃねぇか」

「そうですか?私はちょっと…」

「まぁトルージュがいればの話だけど」

「?」

 

 一行が思い思いの感想を述べている今回の仕事とは

 

「まぁ今までよりかはマシだろ、引越しの手伝いなんて」

 

 そう、引越しの手伝いだ。

 もっと細かく言うと家具を引越専門セーブ「クロネコ〇マト」のトラックまで運ぶのを手伝ってほしいのだとか。

 

(あれ?この仕事に僕って必要?)

 

 一人自分の必要性に悩むレックス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一行が歩き始めて10分ほどで到着した。

 何故こんなにも早く着いたのかというと、カイン達の住んでいる町と同じ町―――つまり距離はそんなに無かったのだ。

 

「あなた方がお手伝いの方々ですね。今日はお願いします」

 

 今回の依頼主は若い夫婦だった。

 夫婦はカイン達を家の前で迎えてくれた。

 

「えーと、お手伝いというより全てするつもりで来たのですけれど」

「「「えっ!?」」」

 

 てっきり皆で協力しながら―――などと考えていたリルと若い夫婦は眼を見開いて驚いた。

 

「……本当に全部任せていいのですか?」

 

 はい、と涼しい顔をしながら頷くトルージュ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「運んでもらいたいのはこの部屋と隣の部屋にある荷物全てです」

「任せてくださいな」

 

 部屋へ連れていくと夫婦は行ってしまった。

 

「あのー…ほんとに四人だけでやるんですか?」

「そうですわよ?何か?」

「まぁリル、トルージュに任せとけって」

「はぁ…」

 

 少しまだ不安なリルを全く気にせず、トルージュはレックスの方を向き

 

「私がんばりますわ!見ていてくださいね!」

「あ…うん、がんばってねトルっち」

「は、はい!!」

 

 トルージュは少し頬を赤らめながら気合いを入れる。

 どうやら本人は本気でレックスの妻になりたいと思っているのだろう。

 トルージュは荷物に近寄り触る。すると荷物が光りだす。

 

「一体トルージュさんは何をしているんですか?」

「ん?ちょっとそれ持ってみ」

 

 リルは言われるがままに荷物を持ってみた。

 無理だと思っていたが、かなり軽々と持てた。

 

「これがトルージュの能力だよ」

「中身を失くす能力ですか?」

「いや、近いけど違う。あいつは数少ない特異輝流士だ」

「特異輝流士?」

 

 聞いた事のない言葉だったので、オウム返しをしてしまった。

 

「シゼルディアスには、原流士や魔術師……とにかく色んな能力に分類されるんだけど、特異輝流士はどれにも分類されない能力で―――――」

 

 長い説明で目を回しそうなリル。

 その様子を見てまだ半分位なんだけどと苦笑するカイン。

 

「それで、あいつの能力は改造リモデリング、物質の重さ、質量それから形まで変えら…」

「ちょっとカイン!!」

 

 説明中に急に怒鳴られたので少し驚いて振り向くと、そこには怒りを露わにした表情のトルージュが立っていた。

 

「さっきから私の事をあいつ、あいつと呼んで!私の名前はあいつではありませんわ!!」

「あぁ…ごめん」(そんな事か…)

 

 カインは内心安心した。

 

「まぁまぁトルっち、早く終わらせちゃおうよ」

「はい!レックス様!」

 

 トルージュはニッコリと微笑み荷物を持っていくレックスについて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全部終わったのは30分後。

 トルージュのおかげでかなり早く終わった。

 

「さっ、終わったし、帰ろっか」

 

 終わった途端レックスは元気になった。

 だが、彼の思うように行く事は無かった。

 

「レックス様……私疲れましたわ……」

「ああ、うん、僕も疲れた」

「なので、これからデートしましょっ!」

(どういう理屈!?)

 

 トルージュはそんな事お構いなしに、レックスを引き摺ってどこかに行ってしまった。

 トルージュの能力は、人間、というか生物には効かないのだが、レックスの重さを変えたのか、と一瞬思ってしまう位の引き摺り方だった。

トルージュ・ニルシレス

Trouge.Nilciress

【特異輝流士:改造主/20歳/162㎝/45㎏】

腰まで届く長い桃色の髪の女性。

どこかの貴族のような上品な喋り方で語尾に~ですわ。をつけるのが口癖。

レッ君と何があったのかはまだ分からないが、当人は婚約者だと思っている。

決め台詞は「舞い踊れ、改造主(リモデラー)の名の元で」

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