3.bon"D"gon
大通公園西3丁目エリアをテレビ塔側に向かって進むと、大通公園西2丁目エリアがある。
大通公園には噴水のあるエリアがいくつもあるが、2丁目エリアにあるのは北側(JR側)から遊歩道に面した形で遊歩道に沿って延びる壁泉である。
(ちなみに壁泉とは、建物や壁面の一部に設けられた、水が流れ落ちて水の幕をつくるよう装飾された人工の滝のことである。これも涼しげでお洒落。)
噴水への通水が止められる21時以降。
3丁目から入ってすぐの、この2丁目壁泉側の遊歩道上の薄暗闇の中で、足元の辺りのある一点を、提灯のような温かみのあるオレンジ色のまぁるい灯りが、ぼんやりと照らしている。
少し離れていても分かる優しい灯り。
それが彼らがいる目印だ。
アメリカノウゼンカズラが上から覗くこの壁泉の左側は、ベンソンの水飲み場というちょっと特殊な形をしたポートランド市から寄贈された水飲み場がある。
そのためかその場所は少しばかり開けていて、まるで誂えたかの様なちょうど良い舞台のように、そこにすっぽりと納まる形で彼らは演奏している。
(もちろん毎回ここと決まっているわけではなく、全然違う場所で演奏している事もあるのだが。)
彼らはインストゥルメンタル。つまりボーカル(歌唱)のない楽器演奏のみで音楽をやっているバンドである。
基本はエレキギター(多分)かトンコリというアイヌ民族の弦楽器(五弦琴とも訳されるらしい)とドラム(持ち運びしやすい小型のものに見える)の編成で、二人組で演奏している。
たまにこの二人編成に、南国の太鼓のような楽器だったり、大きな笛のような、けれど紐のようなもので音を出しているような気もするので違うような……、そんな不思議な楽器を扱う奏者とベース奏者が加わって四人で演奏しているところを見たことがあるし、最少ではギター一本で一人で活動している姿も目にしたことがある。
この辺は「トライバルインストゥルメンタルジャムバンド」というインスタグラムに掲載している紹介文にある通り、民族学的な音楽を楽器演奏のみでジャムセッション(ミュージシャン達が集まって即興的に演奏をする)をするバンド、という事なのかもしれない。
このような形態で、週に二度ほど時間と天気の都合がつけば路上ライブ活動をしているようだ。
しかしその週に二度が「いつ」なのか「どこ」なのか分からないので、出会せたらラッキー。
人数がいつもより多ければスーパーレア、といった風に筆者は勝手にみている。
また扱っている楽器からして、路上ライブとしては珍しくなかなか他では聴けない部類に入るのではないかと思うのだが、路上ライブ界隈をよく知らないのであくまで筆者の中では、という事にしておく。
筆者は音楽の素養がなく、説明として適切なのか判断はつかないが、基本的に分かりやすいメロディラインがあるような感じではなくて、メロディはあるがその主張は大きすぎないとも言え、どちらかというとリズム重視や強調する楽曲が多めという印象が強い。
主旋律がトンコリの場合、トンコリの一度に出せる(聞こえる)音色の艶やかさや深みのある豊かな響きから、ぐるぐると回転しながら展開して広がっていくような曼陀羅感、もしくは万華鏡っぽさのある豪華絢爛な曲となり、対してギターが主旋律となる場合は、風景や情景があるような曲……。
例えば、うららかな午後のビーチ沿いだったり赤茶けた荒野・岩砂漠、風を切って走ったり飛んだりするようなサイバーパンクやSFチックな感じだったり、雨の路地裏や建物、窓を伝う雨筋を感じさせるチルアウトミュージックだったりと、その音や旋律で見せるイメージの幅は多彩だ。
(とは言っても、筆者の音楽印象の引用元はゲームやアニメ、映画・ドラマによるものなので、合ってるのかどうかは若干心許なく全然違うのかもしれない。)
ギターもしくはトンコリが、音階をパラパラバラバラと行きつ戻りつする規則的な旋律がお洒落で、そこにそれを支えるドラム及びリズム隊のリズムが合わさって格好よく、そしてどことなくシティ味(都市部の路上に音楽が合っている)を感じるというのが、素養のない人間の音楽的印象と感想である。
もしここまで読んでbon"D"gonに興味を持ってくれた方がいるならば、是非インスタグラムがyoutubeなどで演奏している動画を見て頂けると嬉しいし、より分かりやすくなるかと思う。
後書きにyoutubeへのリンクを載せておくので、興味がある方は是非に。
ギター・ベース・ドラムで演奏、個人的にお薦めの曲
https://www.youtube.com/watch?v=YJ1sgDZWQBw
トンコリ・ドラム・ベース・太鼓の四人で演奏
見えづらいがドラムの後ろにベースがいる
https://www.youtube.com/watch?v=wjaVID8HAAc