【番外編】矢場がやばくて江戸時代 その1
今回は札幌とも北海道とも、縁も何も関係のない話を書いていこうと思う。
筆者は昔から、某配信サイトで生配信を視聴している。
視聴しているというよりも、今では作業用BGMと化しているので、視聴しているとはいえないのかもしれないが、長く続いてしまっている趣味……、いや日課が生配信をつけるという行動になってしまっているのだ。
さて、去年の話である。
残念ながら川の事故で亡くなられてしまったが、大阪にとある配信者さんがいた。
彼の経歴はなかなか変わっていて、運営していたメイド喫茶のメイドに下克上を起こされたため急追配信者に転身し、そこからメイド喫茶をもう一度立て直そうと再起を図る……そういう変わった背景を持つ配信者さんだった。
炎上をうまく力に変えて短期間で視聴者を増やし、大多数だったアンチをファンに、もしくは中立にまで変えていったバイタリティのある人で、実に惜しい人だったと今でも思う。
ところで、彼の配信には大阪の街を歩きながら映すというものがあった。
繁華街とかアーケード街で配信していた時の事だったと思うのだが、そこには弓で的を射る遊戯施設があったのだ。電光で煌々と照らし出されたその遊技場は、さながら縁日にあるような射的場のようであり、繁華街にあるにはちょっと不釣合いな、不思議な場所のように思えたのだ。
おそらく外国人観光客向けの施設なんじゃないかと当時思ったのだが、印象として縁日射的のイメージが頭に強くあったため、採算は果たして取れるものかどうか……ふと考えてしまったのだ。
……が、その時はそれ以上深く考えず、「都会には色んなものがあるのだな」程度に流して、その遊戯施設の事はすっかりと忘れ去ってしまった。
月日は流れて今年の8月16日。
一昨日の事である。
とあるまた別の男性配信者が、東京にあるであろう弓で的を射る遊戯施設で配信していたのを、筆者は偶然に見かけたのだ。
その遊戯施設は「半弓道」と壁に書かれており、弓道用の袴を着た若い女性がこの配信者に、弓の持ち方から指の掛け方、引き方なんかを懇切丁寧に教えていた。
それはもう、手取り足取りといった具合である。
その姿を配信で見て筆者は、なんだか既視感のようなものを覚えた。
「弓」「射的場」「繁華街」「若い女性」。
こうしたものが、モヤモヤぐるぐると頭の中で渦を巻いて……そうして一つの記憶からとある光景が筆者の中で形作られた。
そしてピィーンと何か、点と点が線で繋がるようなものが思い起こされたのだった。
その2へと続きます