1.暑くて暑くて、死にそうだ
暑い。何故夏はこうも暑いのか。
毎年の事ながら、「暑い」「死ぬ」「溶ける」という単語が脳を占める割合が高くなる程度には、そしてそれがつい口をついて出てしまう程度には暑い。
札幌もいよいよ夏を迎え、じわじわと気温が上がって最高気温が30度を超す日も珍しくなくなってきており、大変辟易とさせられる。
いっそ、絶望すら感じるくらいだ。
冬は冬で何故冬はこうも寒いのかと震えながら怒り、「寒い」「死ぬ」「滑る」と一人で騒ぎ立てているので別段寒さに強いということもない。
つまり筆者は暑さにも寒さにも弱いという、極めて現代的なか弱い人間なのである。
……もちろん、暑さや寒さに強い人間などそうそう居るものではないと思うのだが。
さて、外の暑さも相当なものだが、一番の問題は家であった。
──暑い。家の中が。
筆者の家(というよりも部屋)にはエアコンなどという気の利いた文明の利器はなく、更にはこの部屋のつくり自体と家具の配置もよくないためにか、風の通りが頗る悪くて排熱がうまくいかない。
そうであるので、気を付けないと(仮に気を付けていたとしても)室内には大変な熱気が篭る。
玄関を開けると「瞬時に熱風がお出迎え」なんて状態にもなるため、室内よりも室外のほうが涼しく過ごしやすいという事もあり、折を見て時間を作っては、図書館の最下層へと引き篭もったり、夜は散歩のついでとばかりに外へと涼みに出掛ける。
今はそんな生活サイクルを送っている。
そんな中で見つけたのが、今回お薦めとして紹介する”お洒落な過ごし方”が出来る(※あくまで筆者基準で)『絶好の宵涼みスポット』なのである。
基本料金は無料である。
だって大通公園だから。
札幌やその近郊にお住まいの方であれば、馴染み深く最早説明の必要もない場所なのかもしれないが、一方で名前だけ知っていて全然足を向けたも事もない人や、そもそも札幌なんぞ知らん!という人も多かろうと思うので、念のため書き添えておくと、JR札幌駅から南へ徒歩10分~15分程進んだ先にある東西に渡って幅広に西1丁目から西12丁目まで長く伸びる、『緑地帯』兼『遊歩道』兼『憩いの場』。
それが大通公園である。
(ちなみに西1丁目には札幌のシンボル・テレビ塔が、西13丁目には札幌市資料館という文化財があり、その間にある大通公園を挟んで東西から向き合う形で立っている)
各エリアごとに微妙に趣が異なり、場所によっては遊具や遊べる巨大アートが置かれた本当に公園のようなエリアや、季節によっては薔薇が咲く薔薇園のようなエリアもあり(この薔薇庭園も夜訪れると、水路を真ん中に置いた庭の設計も含めてなかなかロマンティックで幻想的な気分になれるうえ、中心部から離れているため比較的静かで人が少ないのでお薦めである。)訪れる人も時間帯やエリアによって特色があるようで面白い。
また、かなり頻繁に何がしかのイベントを開催しているので、人が大勢集まりやすいのも特長だろうか。
さて、そんな大通公園であるが、夜になるとまた場の雰囲気もガラッと変わる。
昼は近くの会社員、お年寄り、子連れ家族、観光客、学生……とカラスと鳩と雀少々が大通公園の主な利用者だと思われるのだが、夜のメイン利用者のベースは若者で、そこに中年、老人、観光客が入り混じっている。そんな感じだ。
夜の利用者達は夜陰の中で、──カップルで、友達同士で、或いは仲間と──、語り合ったり、酒盛りしたり、スケートボードやダンスの練習をしたり、遊んだり等皆それぞれ、思い思いにのびのびと過ごしている。
これが夜の大通公園の筆者の大枠の印象である。
もちろん、筆者も含めたそこから外れる者も多数存在しているので、上記が全てというわけではないのだが。
そんな大通公園の宵涼みスポット。
大通公園であれば、どこでも好きに座って勝手に涼めばいいのだが、それだけではきっとつまらないし表題に掲げた”お洒落”からは少し遠いだろう。
無論、一人静かにベンチに座ってぼぉーっと過ごすのも決して悪くはないのだが、やはりここに何か+αを……というのが人情というものではなかろうか。
例えば、そう──音楽なんかがあると丁度いい。