表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

01 訳ありの彼

わたし・水無月茜には幼馴染がいます。

無口で素っ気ないけど、とっても優しい人。

学校ではイケメンって騒がれているみたい。

本人は嫌がっているけどね。

彼は一人暮らしをしています。


これは、茜が部屋で宿題をやっていたときのこと。


ピーンポーン


「はーい」


茜はチャイムが鳴ったので、ドアを開けた。

平日の夕方頃にお客とは、珍しいことだ。

ドアを開けるとそこには、


「……茜」

「え?凪……君?」


さっき話していた、幼馴染がいた。

茜は動揺しながらも、彼を招き入れた。


今思うと、彼、鳴海凪との生活はこれがはじまりだったのかもしれない。


ーーーーー


「「………」」


茜と凪との間に、少しの沈黙が流れる。


(……凪君がわたしの家に来るなんて珍しい……何かあったのかな。……それにしても空気が重い!なにこれ付き合いたてのカップル!?)


そう考えていると、凪が話しだした。


「……あのさ。茜の家に……居候させてくれないか」

「へっ?」


突然の言葉に驚く茜。

それもそのはず。

幼馴染の、しかも男に急に居候させてくれ、なんて言われたらどうだろう。

答えは一つ、驚く。


「俺さ、今日家燃えちまって。親父が家を用意してくれるらしいけど、相当かかるらしい。しかもカードとかも燃えて……財布とかスマホはあるけど。……今まさしく一文無し状態に近いから」


淡々と話す凪に茜はなぜそんなに冷静でいられるのか呆れた。

そして同時に凪に寄り添いたくなった。


「まぁ、急に言われても無理だよな。ごめん。こんな事言って……」

「いいよ」


茜の言葉に、凪は驚きを隠せない。


「凪君、困ってるんでしょ?だったら少しでもわたしにできることさせて」


茜の真剣ぶりに、凪は少し頬を赤らめた。


「ん?凪君、熱でもある?顔赤いけど……」


そう言って凪のおでこに手を当てようとする。

すると凪は茜の手を振り払い、言った。


「だ、大丈夫だから……」


そう言った凪の顔は、耳まで真っ赤になっていた。


「そう……ならいいけど……」


その言葉で一段落したが、茜はまだ心配である。

とりあえず、茜はお茶とお菓子を取りに行く。


「……鈍感だよなほんと」


ぼそっと凪がつぶやいた。

それに茜は気づかない。

そして凪はくすっと笑う。


「……全然気づいてない」


二人でいても、普通の生活なんだろうな。

このときの茜はそう思っていた――。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ