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第91話 小さい種と大きな種とザッカリー商会との関係

 新入生歓迎会が終わり、選択コース確定し学園生活を謳歌していた。


 クラスメイトとも貴族平民関係なく仲良くなり、薬錬メンバーとはキャンプを通して仲良くなっていった。特に魔導グッズを試してもらうために、いろいろ誓約書を交わし、マジックバッグの所有登録などをし、盗難、契約違反など徹底的に管理した。みんな躊躇することなく契約している。少しは不審や不安がって欲しいわ。


 薬錬コースの先生方も、誓約書を交わすので魔導グッズなどを試させて欲しいとお願いされた。薬草採取の時に、便利なテントやコンロが欲しい、ぜひぜひ自分たちもお願いしたいと懇願されてしまった。


 噂が流れると騎士コースにも広がるのですよ。騎士コースの方は10人〜15人に1つのテントと簡易シャワー、簡易トイレなど演習の時に貸し出しして、試してもらうことにした。上記のものは特に女性騎士にとってありがたいものだということ。そうよね、女性騎士にとって野外演習は大変だから、ぜひ活用して欲しい。


 今はまったりと昼食時間。クラス内で薬錬メンバーとマリアナ、そして平民だがザッカリー商会のバイロン ザッカリーくん

ビリー ジャイルズくん

ロン ドットンくん

チェルシー ロックスさん

ミーガン ディーさんと中庭でランチをしている。


 なぜこうなったかというと、薬錬メンバー、寮生活のモニカとロッティと平民ミーガン ディーさんが仲良くなり、ミーガンさんと平民女性のチェルシー ロックスさん、幼馴染のビリー ジャイルズくんと繋がり、今こうして中庭でランチをする仲になっていた。


「アイリ様、また新たな輸入品が届いたのですが、どういった食べ方をするのかわからないものを祖父が発注してきました。小さい種と大きい種のようなのですが、植えても芽が出てきませんでした。食べても不味かったのです。お心当たりありませんか?」


 ザッカリーくんの祖父は物珍しいものを輸入することが好きなようだが用途がわからないものばかりということで、見せてもらったところ、そうプールで使用した滑り台などゴム製品。ゴムの木を輸入していた。カレーのスパイスも買い取った。


 ザッカリーくんとは商会同士仲良くなり、お昼ご飯も一緒に食べている。時々お兄さまもザッカリーくんと食事を取りにここへ来ている。うちの商会は新参商会のため、ザッカリー商会のような老舗とパイプを持つ方が得策で、お互いWin-Winな関係を構築している。うちは一応貴族であり、貴族の後ろ盾を取ったザッカリー商会は大きく飛躍できるようになった。


 そして今、この種よ、種のようなの形の小さい種と大きな種。お分かりだろうか!コーヒーとカカオですよ。キター、これ。

 種にしか見えないね。これを齧ってもまずいわよ。


 ルーと顔を見合わせて、小声でチョコ。頷き合いました。コーヒーの焙煎で私は濃い味より薄い方が好き。紅茶も好きだがコーヒーの方が好き。カフェモカが好き。

 もうこれはカフェレストランを作れという天啓なのかしら。


「ザッカリーくん。これ、私に売ってください。私が独占で買い取ります。お祖父様にもよろしくとお伝えください」

 ザッカリーくんの手を取って、是非にと懇願した。ザッカリーくん、顔が真っ赤です。

「あ、あの、アイリ様、独占ですか?これがなんだか知っているのですか?」


「たぶん?やってみないとわからない。でもお兄さまに装置を作ってもらわないといけないわ」


「そんな大掛かりなものなのですか?」


「需要があるなら大きい装置、需要がなければ小さい装置で大丈夫なのよ。はじめは小さいものでいいかなぁと思っているわ。あとは人の好みですよね」


「そうなのですか。そういう食べ物なのですか?」


「ザッカリーくん、この種は飲み物になるのよ。この大きな種は食べ物でも飲み物にでもなります」


「えー、この種がですか?」


「まずはこの小さい方の種を飲み物にしないとね。楽しみだわ。本当にあなたのお祖父様は先見の明があるわ。凄いわ」


「アイちゃん、私、こっちの方が先がいい。早く食べたい」

 ルー、チョコにするためにはペースト状にしなければいけないのよ。そこに労力が発生するのよ。コーヒーの方がまだ楽なのよ。


「ルーはお子ちゃまだからコーヒーの味がわからないかもしれないわね。まずはこの小さい種の方が先よ。私はこっちが飲みたい。早く飲みたいのよ。でも、大きい種の方も頑張ってみるわ」


「アイちゃん、よろしくね」


 このやりとりを聞いていたみんなは、ルルーシェさまがお子ちゃまって言っているアイリ様のほうが年下よね?ルルーシェ様はお子ちゃまなのか?などと言っている。私はコーヒーが飲みたい。朝はやっぱりコーヒーがいい。


 帰ったらお兄さまに焙煎機を作ってもらおう。まずはフライパンで煎ってみようかな。


 ザッカリーくんに、今度お兄さまとザッカリー商会に赴くことを伝えたが、ザッカリー商会からモンテスキュー家に伺うと言われてしまった。しょうがないのかな、貴族のところに商会が赴くことが当たり前の世界か。


 家に帰り、いただいたコーヒー豆を厳選、クリーン、フライパンで煎った。コーヒーの匂いだ。私は浅焙煎から中焙煎あたりが好みだが、男性は深焙煎が好きかもしれないから、何種類か作って、ミキサーにかけた。

 サイフォンは作ってある。蒸留機と同じだ。このコーヒーのために本当は作ったのよ。この時が来た。コーヒー。簡単にコーヒーを飲めるようにペーパードリップも作らないといけないわね。ワクワクする。


「アイリ、すごくいい香りがするがなんだ?その黒い液体は?毒か?」


「あら、お兄さまおかえりなさい。ひどーい、毒ではないわよ。コーヒーよ。ザッカリーくんから新たな物を仕入れたの。ザッカリーくんのお祖父様は先見の明があるわ。お兄さまも飲んでみる?」


「い、一応飲んでみようかな」


「これが浅焙煎、こっちが深焙煎。苦味が強いと思うの。どうかしら?まずは香りを楽しんでね。女性はお砂糖とミルクのカフェオレがいいと思うの。でもブラックが好きな人もいるわよ。どうぞ」


「香りはいいな。苦いな、でも後を引く。こっちの方がもっと苦いのか。なるほど、俺はこっちの苦味が強い方が好きだな」

 男性は苦味が強い方が好きみたいだ。


「アイリ、これをザッカリー商会と取引したいのか。あとはなんだ?目が何かして欲しそうだぞ」

 さすがお兄さまわかっている。


「この小さい種と大きな種を焙煎するための機械をを作って欲しいの。それぞれ温度がちがうので、温度別にお願いします。これはいま、こっちの小さい種をフライパンで煎ったの。このぐらいの焦げ目がつくまで、焙煎しないといけないの」

 煎った種を見せてた。焙煎機の絵を描いて、魔道具を作って欲しいことを伝えた。もちろんチョコレートの工程も絵に描いて魔道具を作って欲しいことを伝えた。


「またか、新しいものばかり作っているよ。父上にもこれを飲んでもらおう。俺はこの深みの方が断然好きだな。これはいいよ。紅茶を好む人もいるが俺はこっちがいいな」

「ただ、難点は夜これを飲むと目が冴えてしまうのです。飲み過ぎはいけないのです」


「そうなのか、徹夜にはいいということか?」


「だめですよ、お兄さま体壊します。だから飲みすぎてはいけないのですよ」

 まったく、お兄さまも徹夜ですることがあるのかしら。


 確かに前世、徹夜で研究論文や学会発表の用意の時、ブラックコーヒーをがぶ飲みしていたわね。研究室全員、コーヒーと栄養ドリンクを飲んで頑張ったわね。


 チョコレートも作ってみようかな。


「お兄さま、時間が少しかかりますが、こちらの大きい種の方をしてみますね。そしてザッカリー商会との契約を取って欲しいです」

 クリーンをしてから、焙煎して、殻とカカオに分解させて、ミキサーで攪拌。砂糖を途中で入れ、さらに攪拌。ドロドロしてきた。これを固めれば出来上がりだ。生活魔法の冷却を使って短時間で固めた。どうかなぁ。チョコだ。もう少しゆっくりと攪拌して滑らかにしたかったな。時間がある時にしてみよう。


「お兄さま、これが即席で作ったチョコレートです。もう少し時間があればもう少し滑らかになると思います。どうぞ食べてみてください。これはお菓子となる物です」


「また、黒いな。さっきのコーヒーといい、これはチョコ?というのか。毒じゃないよな」


「もう、毒ではないです。甘いので食べすぎると太りますが、美味しいのです。一応食べてみてください」


「これは女性が好みそうだな。美味しいな。なるほど、これでお菓子ができるのか?」


「そうなのです、お兄さま。クッキー、ケーキ、チョコにナッツなど入れるとより美味しいです。先ほどのコーヒーに入れたりするのもいいです」


「なるほど、ザッカリー商会は有用性は知らないのか。そうなると特許はうちがもらうとして、利益供与は、あっちが7、うちが3でいいか?海の向こうから取り寄せているのだろう。命懸けだからな」


「そうですね、7:3でいいと思います。特許利益はうちが貰いますけどね。あと、この種をモンテスキュー領地で栽培を始めてもいいですね。どうにかして、石英でガラスの温室を作って、これらを育てたいのです。そうすれば、海の向こうから取り寄せなくても自領で賄うことができれば万々歳です」

 お兄さまと私は悪代官と越後屋のようだわね。お主も悪よのう、ウヒャヒャヒャ。


 お父さまに説明をして、朝コーヒーを飲んでもらった。お父さまも濃い方が好きらしい。

 お母さまにはパンケーキのチョコがけを出した。大好評。でも、食べすぎると太ることだけは追加して伝えておいた。


 ルーにもお裾分けしておこう。マジックバッグにチョコをしまっていつでも渡せるようにした。


 今日の夕方ザッカリー商会会頭がくると先ぶれが来た。お父さまも早く帰ってきてくださるらしい。


 コーヒーとチョコを試食してもらう。どういう反応かしら。見た目、黒いからお兄さまのような毒と思ってしまうかもしれないわね。ふふふっ、反応が楽しみだわ。


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