第86話 薬師錬金コースの面々
1年生の選択コースが決まった。
1年の薬師錬金コースを選択した人数は22人だった。過去最高人数だと喜んでいた先生、先輩方。
特に女性は、私、ルー、それからシャロン、モニカ、ロッティ、他Bクラスのデボラ ノーラン アボット伯爵令嬢もこちらのコースを選択していた。
シャロン達3人は、家をどうせ追い出される。仕事口を見つけなければいけない。文官の道は狭き門。ならば魔力があるのでポーション作りなどして稼いだ方がいいという結論になったらしい。単独コースだけでは心許ないということで。第二選択コースは、モニカは刺繍を極めたいので淑女コース、シャロンとロッティは文官コースを選択する。
私はというと薬師錬金コースの他、魔道具コースを選択した。ルーは薬師錬金コースと淑女コース。Bクラスのデボラ様は私と同じ薬師錬金コースと魔道具コースらしい。
今日は概要と今後の予定を聞いた。恒例のお泊まり薬草散策がある。2ヶ月後なので準備はしっかりするようにとのことだった。テント、寝袋などは今後のために自分用を準備した方が良いとのことだった。もちろん学園にも貸し出しはあるのでそちらを使っても良いとのこと。野営には、自炊をする。キャンプだぁ。
「ルーは王族だからいけないよねぇ。寝袋とかテントは各自で用意するのですね」
「えっ、私行くわよ。キャンプ大好きだったのだから、絶対行くわよ」
みんなびっくりしていた。王女様が野営なんてと思っているのだろう。
「結界魔道具があればいいのよね。あと、私テントは持っているから、女の子みんなで泊まればいいかしら」
ルーに小さい声で、断罪や国外追放になった時のために、お父さまとお兄さまに魔道コンロと魔道具シャワーとテントなど作ってもらい、すでに用意してあるのよと説明した。
「アイリ、見せて。テントどういうの?」
ウキウキ顔のルーだった。
みんな、なぜテントを持っている?と不思議な顔をしていた。
「アイリ様、テント持っているのですか?まじで!どういうテントか見せてほしいなぁ。基準に合わないとせっかく持っていても役に立たないと困るからな」
トニー先輩が心配して尋ねてきた。後輩思いなのよね。世話焼きだし。
「ここの教室だと狭いので、外に行きますか?」
「そんなに大きいのか?」
みんなで外にでた。
「私、生活魔法の収納があるのでそこにしまってあるので出しますね」
「ほー、生活魔法の収納があるのか。便利でいいよな。俺は火属性だから、野営で火はつけられるぞ」
トニー先輩は火属性なのね。私は生活魔法の着火だけどね。
収納から道具を出した。テント、ベッド、魔道シャワー、魔道コンロ、簡易トイレ、テーブル、椅子などなど。
テントも10人ぐらい入れるテント。
みんなポカーンとしていた。
「どうぞ、中には入ってみて」
みんなを促す。
「どう?お父さまとお兄さまに魔道具テントなど作ってもらったの。これでね、うちの可愛い可愛い弟達とテントで寝るのよ。ご飯は、バーベキューしたり、朝方早く起きて虫取りに行ったりするのよ」
「アイちゃん、これすごい、すごいわ。キャンプできるじゃないの。それも快適。バーベキューできるの?今度、これでキャンプ行こう?すごい。楽しそう」
背中をバンバン叩かれて興奮気味のルーだった。王女様、言葉が乱れておりますよ。
「そうだよ、ルー、ウチの庭でキャンプしよう。多分うちの可愛い可愛い弟達も一緒にキャンプすると思うのよ。いつくる?今週空いている?」
かくいう私も、お母様に聞かれたら怒られる言葉を発している。
「えっ、行っていいの?行くよ。アイちゃん?タウンハウスって王都じゃないの?」
「あー、うち貧乏だったから、少し離れた郊外にあるのよ。庭も広いし。そうだ、みなさん、一緒にどうですか?男性陣は、男性陣用のテントがあるのでどうですか?トニー先輩たち?」
「えっ?き、貴族の家だよな。俺たち行っていいのか?」
「テントで過ごすから大丈夫ですよ。お風呂入りたい場合は屋敷の方になりますけど、簡易シャワーでいいならそこで賄えますよ」
「「「それでお願いします」」」
「下着と次の日の着替えだけ持ってくれば大丈夫ですからね」
「アイリ、いいの?私たちまで」
シャロン達が恐る恐る聞いてきた。
「シャロン、モニカ、ロッティ、デボラ様と先輩がた。大丈夫ですよ。シャロンの家に迎えに行こうか?あれが行かせないように邪魔が入ると困るから」
「ありがとう。お願いしていいかしら?」
こうして全員で野営練習会と称するキャンプを決行することにした。
トニー先輩たちに、中央を炊事場にして、学年ごとのテントでいいか聞いた。
「そうだな、3学年混合がいいかな。野営を後輩に教える意味でも混合にしようと思う。1年は混合でもいいか?俺たち先輩が野営の極意を教えるぞ」
私が用意するテントなどで野営の極意が伝わるかなぁ?私は便利と快適が1番なんだけどなぁ。まぁ、いいか。快適が1番よ。
家に帰り、2ヶ月後に薬草採取の野営があるので、それの練習のため週末庭でキャンプをすることを伝えた。
「また、アイリ突拍子もないことを考えたな。あのテントなどでは快適すぎないか?大丈夫か?」
「多分普通とは違うけど、交流会みたいなものにしたいかなぁと思ったの。だからキャンプするの」
「えっ、じゃぁ、俺たちも一緒にキャンプしていいか?いつものメンバーだけど」
「ダメよ、今回は薬師錬金コースの面々なの」
「いいじゃないか、トニーとか来るんだろう。あいつ生徒会のグレアムと仲がいいんだよ。それじゃー生徒会メンバーにするからさ」
「もう、またそうやって人数が増えていくんでしょ。会費だけ集めてね」
「ああ、わかったよ。楽しみだなぁ」
こうして野営練習会と称するキャンプが我が家の庭で行われることになった。さて人数は何人になるでしょう?




