第85話 新入生歓迎パーティー
新入生歓迎パーティは生徒会が主催するパーティだ。
フォールズ国立セントロイズ学園
この学園は貴族と試験を突破した優秀な平民が通う学園である。入学してから1ヶ月弱。クラスメイトの顔と名前が一致するようになり、どの選択コースを選ぶかが定まってきた時期だ。
生徒会長のカイデール殿下の挨拶、生徒会面々の紹介から始まった。
このパーティで面白いのは一つのテーブルに1年生から3年生まで混合で組み合わされている。もちろん貴族平民入り混じっている。マナーが覚束ない場合、どうしたらいいか教える場でもあり、わからないことを先輩達に教わる場でもある。それぞれのテーブルに生徒会役員、学年役員など配置されているため、その人たちを中心に会話をしたり、途中チーム対抗のゲームをしたり、楽しく過ごした。
私のチームには、3年生はちょうど薬師錬金、騎士、文官の先輩。2年生は淑女、文官、騎士。1年生はAクラスの私、Bクラスの男の子、Dクラスの男女だった。生徒会の担当は書記のグレアム ロックスさんだった。
「モンテスキュー侯爵令嬢様、今回妹がドレスのレンタルサービスでお世話になりありがとうございました。妹が楽しそうに毎日の学園生活のことを話をしていて、いつもあなたのことや王女殿下様のことを話さのですよ。こちらは逆に粗相がないかドキドキしてしまうのですがね。ですが、本当にこのような機会を与えていただきありがとうございました」
「いえいえ、そう畏まらないでください。みんなが楽しく過ごしていくことが大切なのですから。こちらも兄がお世話になっています。どうか皆さん、堅苦しくモンテスキュー侯爵令嬢様と呼ばずに、アイリと呼んでくださればありがたいのですが、だめですか?」
「あははは、アレクから聞いてはいたが、貴族の型に嵌っていないのですね。アイリ様は。こちらこそグレアムと呼んでください」
「グレアム様で良いですか?」
「いえ、私は平民なのでグレアムでいいですよ」
「ではグレアム先輩でよろしいですね」
「あの、我々はロックス先輩でいいですか?名前呼びは無理です」
おっ、みんな話し始めてきた。グレアム先輩が1年生に質問してきた。
「もう1年生はコースは決めたのかな?」
みんな思い思いのコースを言った。
私はもちろん薬師錬金コースを取ることを伝えた。
3年生の薬師錬金コースに進んでいる、トニー ハート様と話がしたかった。
「アイリ嬢はやっぱり薬師錬金コースかぁ。よかったよ。俺のことはトニーでいいよ。薬師ギルドのドーソン副ギルド長からさ、アイリ嬢はどうなんだ、来るのか?来ないのか?来なかったら何としてでも勧誘してこいってうるさく言われていてさぁ。こうして話せてよかったよ。ドーソン副ギルド長が是非是非来てほしいってさ。ちなみに1年Aクラス担任はドーソン副ギルド長の息子だよ。あっちは魔道騎士所属だったけど」
そういえば、担任ドーソンだったわね。息子なんだぁ。
「トニー先輩、ドーソン副ギルド長様によろしくお伝えください」
「おうよ、これから薬草採取や錬金など一緒に行動することが多くなるからよろしくな。薬草採取など野営の泊まりがけがあったりするが大丈夫か?」
「泊まりがけの薬草採取があるのですか?楽しそう。行きたいです。あれでも、ルー、あ、いえルルーシェ王女殿下はダメですね?」
「えっ、王女殿下様も薬師錬金コース?まじで!そこはどうなんだろうなぁ」
とりあえず話しやすそうな先輩でよかったぁ。薬草採取で泊まりがけかぁ。楽しそう。
「トニー先輩、薬師錬金コースは女性はいるのですか?」
「いるよ、3年に2人、2年に1人。1年は何人入ってくれるかなぁ。今のところ2学年で12人なんだよ。少なくても志が高いものばかりだから議論していて楽しいよ」
12人かぁ。今年の1年生は何人だろうなぁ。
それからチーム戦のゲームはチーム内で仲良くなるきっかけとなった。グレアム先輩を中心に団結して、みんなで考え答えていく。グレアム先輩は策士だね。体力勝負は騎士コースの人にお任せだ。
チーム対抗戦は上位を勝ち取った。
さて最後はダンスだってー。私、壁の花になって良いかなぁ。婚約者がいる人は婚約者と居ない人はいない人同士で踊っていいらしい。
私はマリアナとルーを探して一緒に壁の花になろうと考えた。マリアナはロベルト様がいたわ。ルーは王族だから帰ったのかな。どうしようかなぁと思ったら、シャロン、モニカ、ロッティがいたので一緒におしゃべりをした。
そこへシャロンの義妹と元婚約者がきた。
「あら、お義姉様、そのドレスがレンタルサービスで借りたのかしら。誰が着ていたのかわからないものをよく着られるわよね。ドレスのデザインも古臭いのではないの?私は、ふふふっ、フランクが贈ってくれたドレスよ。ねぇ、フランク」
「あ、あぁ」
気まずそうな態度ね。
「皆さんも同じようなものなのかしらね。お二人は、あの安い寮に入ってますよね。お義姉様が仲良くしている人を調査してみたら、あの安い寮だったなんて笑ってしまうわ。あははは。お義姉様もあの寮に住めば良いのでは、お似合いよ。毎朝、一緒の馬車で学校に行くことが嫌なのよね」
私が後ろにいることが見えていないのか。どうしようもない性格だな、この女は。この女に鞍替えしたこの男も同じようなものか。シャロンにとって婚約破棄はよかったと思うよ。さて助けようかな。
「シャロン、モニカ、ロッティ、安心して。シャロンのは王妃様のドレスだから。モニカのはロベルト様のお母さまの結婚前のドレスだし、ロッティはうちのシルキースパイダーのドレスだから着心地がいいと思うのよね?着た感想はどう?」
「え?アイリ?これ王妃様のドレス?えー?」
「これ、ダスティール侯爵夫人の若い時のドレス?」
「え??これシルキースパイダーのドレス?え?え?」
3人混乱しているよね。ここでのレンタルドレスは全て高価なのよね。言えなかったけど。
「ごめん、あまりにも高価すぎるのはデザインを変えてお返ししたのよ。でも、こちらは結婚前に着用していたドレスだから、気にしないでと王妃様やダスティール侯爵夫人が仰っていたから、レンタルドレスにしたのよ。着心地はいいでしょう。デザインは私とテオドール様が考えたデザインだし、素材はピカイチだと思うのよ。最高のデザインだと思ったけどダメだったかな?」
「何言っているのよ、アイリ。こんなに素敵なドレスを作っていただいたのよ。ダメなわけないじゃないの。このドレスを古臭いなどと思っている方がおかしいのよ」
シャロン、ディスってますね。私も追随しよう。
「よかったわ、これらのデザイン全て、私とテオドール様が考える最高のデザインと思っていたからそんなにおかしかったのかしらと内心ショックだったわ。えーと、シャロンの妹さんなのかしら?挨拶がないからわからないけど、これらのレンタルドレスのデザインや素材があなたにとって質が悪く見えて申し訳なかったわ。あなたのことよく覚えておくわ」
扇子をバサっとして顔を隠した。周りはなぜかシーンとして私たちの会話を聞いていたみたい。私、悪役っぽくできたかしら。
「アイリ、どうしたのだ?」
あら、お兄さま登場しちゃったじゃない。
「うーん、レンタルドレスのことやデザインをよく思わない方がいらっしゃったので、もう少し考え直した方がいいのかしらと思ってしまったのです」
「借りているもの達は感謝しているよ。それもデザインが最先端だから嬉しいという言葉は聞くが、そういう輩もいるということか。なるほど」
お兄さまは、フランクという男を見た。蛇に睨まれたカエルのようだ。
「ロ、ロザリー、もう帰ろう。早く」
「ま、待ってよ,フランク」
慌ただしく、この場を去っていった2人。ふう、あれがシャロンの義妹か。あれに似た母親なのだろう。最悪だな。
「アイリ、ごめんなさい。義理の妹とはいえあんな態度で本当に申し訳ございません」
「シャロンが謝ることはないわよ。あんな態度をこの場でできるということは家ではかなり酷いだろうと予測ができるわ」
ほんと最悪な家族と一緒のいなければならないシャロン。この学園にいる時ぐらい煩わしさを取り除き、楽しく過ごしていってほしい。そのために、私が盾にでもなりましょう。あれ?これはマーガレット様の夜会の盾になると同じか?私は盾役が多いのかな?タンクか?
その後お兄さまとダンスをして、パーティーは無事終了した。先輩たちや他のクラスの友達もでき楽しかった。
さぁ、選択の薬師錬金コース,楽しみだなぁ。




