第77話 とうとう学園入学
アグリ様達との領地視察やジェイシス様が管轄されている部署の子育て支援策の協力、ジェイシス様との食事いわゆるデートですが、なぜか交流は進んでいる?周りの人たちがジェイシス様に協力的な状況の為、あれよあれよという間にジェイシス様に会うこと幾多。うーん、未来が視える。視えるぞ。
それらを経て、本日、学園入学です。第二の高校生活の始まりです。
フォールズ国立セントロイズ学園。ドーンとした門構え。ただし貴族用。平民用はもう少し小さく外れの方にあるらしい。同じ学園に通うのだから、そんな分け方しなくても良いのではと思うが、貴族は馬車、平民は乗合馬車で来るので、手前で降ろされるから、門の場所が違うらしい。大商会の子息子女たちは、平民用の門を使用しているが、大商会の方々は平民の門の方が空いていて、ご貴族様の挨拶など面倒ということで喜んで平民の門で良いらしい。確かにその方がスムーズよね。貴族門は馬車が連なっている。
私たちは郊外なので、早めに邸を出ている。学園に近い貴族ほど、ゆっくり来て、そして門のところで渋滞となっているのが毎日。
「アイリ、大丈夫か?俺は生徒会の方に行ってしまうが受付して教室を教わって、入学式が始まるまで教室で待機だからな。道草して遅れるなよ。ふらふらっと校内探索して迷子になるなよ」
「お兄さま、私もそこまで子供ではありません。迷子になりませんよ。大丈夫です」
胸を張って豪語した。そんな子供じゃないわよ、まったく。過保護だわね。
お兄さまと別れた後、受付、教室を教わった。Aクラスだった。マリアナとルーはまだかな。同じクラスかなぁ。お兄さまが生徒会準備があると言っていたので、少しだけ早く来た。早く来すぎたかなぁ。ちょっとだけ、ちょっとだけ散策しようかしら。木々や、花々もあり、自然豊かな学園だなぁ。あそこの木の下で寝られそう。お弁当を広げて、ピクニック気分を味わうのもいいかも。
そうして、歩いていると上からガサガサと音がしたので見上げると、そこに木から降りられない女の子がいた。
同じ入学する子かしら?
「大丈夫ですか?降りられますか?」
「げっ、悪役令嬢アイリじゃん」
?悪役令嬢?私が断罪されるのはマリアナとロベルト様の小説?だった?よくわからないけど。
でも、この子は何?何の話?この子も転生者?
「あのー、降りられないのなら職員呼んできますが?」
「あんたには関係ない。大丈夫、大丈夫、そのうち助けてもらえるから〜。私のダーリンに」
よくわからないけど、助けてもらえるなら放っておこう。
「それでは、帰りますね、ごきげんよう」
「悪役令嬢がうるさいわね!とっとと消えな。私のダーリンが迎えに来れないじゃないの」
よくわからないけど、帰ろう。誰かくるのだろう?
マリアナとルーがいた。
「ごきげんよう。ルルーシェ様、マリアナ様」
「「ごきげんよう、アイリ様」」
淑女としてバッチリよ。オホホホホでも言おうかしら。みんなAクラスだった。一緒でよかった。
ルーにこそこそっとさっき遭遇した出来事を伝えた。
「なんですって、それはもう一つの隠された愛の真実の方のヒロインよ。私とアイちゃんは断罪確定で、ヒーローはあなたのお兄さまのアレクセイ様よ」
「えっ、お兄さま?だってお兄さま婚約者いないわよ。断罪って、また私たち2人だけ?」
「そうよ、この話は私がジェイシスお兄さまを好きすぎて、色々と近寄る令嬢を拷問したりするじゃない。それを見かねた国王陛下が、王命で貧乏侯爵のアレクセイ様と婚約させるのよ。貧乏モンテスキュー領地に幽閉状態。アイリ様のワガママ放題の件も相まって、心も疲れきったアレクセイ様が子猫を助けようとして、木に登った女性、男爵の隠し子のヒロインを助け、癒され愛を育んでいく。それを知った私がヒロインを、そしてアイリはロベルト様好きだから、マリアナ様を拷問しようとして、未遂に終わり私たちはジェイシスお兄さまとアレクセイ様に断罪される。そして、2人は領地を盛り立てて幸せに過ごすというベタなストーリーよ」
あれ、待っていたのはお兄さま??お兄さま、今生徒会よ。
「ルー、お兄さま呼んできた方がいいかしら?」
「放っておけばいいのよ。でも、悪役令嬢と言われたのなら転生者?」
「でも、口が悪いわよ。かなり。私のダーリンとも言っていたけど大丈夫かしらね?」
「アイリ、だいぶその子、お花畑な頭しているわね。逆に気をつけましょう。私たち断罪組なのだから」
「そうね。近寄らない方がいいわね。君子危うきに近寄らず、よ」
それから、3人で教室に行き、入学式の説明を聞いた。移動の先導は生徒会の人たちだった。Aクラスの先導はお兄さまだった。あれ、お兄さま助けに行かないの?あの子待っているのにね。降りられたかな。
カイデール殿下は挨拶があるため、レティと一緒にすでに会場入り。Bクラス、Cクラス、Dクラスにも、生徒会メンバーが先導する。
生徒会メンバーは、カイデール殿下を中心に錚々たるメンバー、私にとっては食いしん坊メンバーだが、生徒会による学園生活について説明があるので、壇上に整列している。やはりイケメン揃いで、平民の子たちはキャーキャー言っている。あの方かっこいい、あの方とお話したい、あの方、第二王子様だって、本物の王子様だ、などなど。
まずい、私、最近、アイリの年齢に精神が寄ってきたと思っていたが、こう16歳の子たちの中にいると、16歳の子たちを甥や姪のような目で見てしまっている。
私だってピッチピチの16歳になるんだー。
「アイちゃん、何、拳を上げているの?」
「いやぁ、こうも16歳って若いんだなぁと思って、私もピッチピチの16歳になるのよーと心の中で叫んでいたのよ」
ルーが可哀想な子を見るような目だった。
「アイちゃん、今時ピッチピチなんて言わないわよ。それ昭和の人だよ」
「私は昭和の生まれよ!」
「あ、うん。アイちゃん、まぁ頑張れ。私も入院が長かったし、この世界で人付き合いしてこなかったから、人間関係が怖いわね」
ルーは、王女様で2歳上だから、どう思われるのか、一目置かれてしまうのかなぁ。でも、私たちがいるから大丈夫よ。みんなで楽しく高校生活を過ごさなくては。部活動ないのかしら。テニスクラブを作る?エースを◯◯◯のスコートなんて貴族は履かないわよね。髪の毛はみんなお◯夫人のような縦ロールだから、雰囲気はいいわよね。あたくし、と言ったり、よろしくてよ!って言いたい。
「アイリ、何,ニヤニヤしているのよ?」
「妄想していたの。クラブ活動ないのかしら?ルーはテニス部入部していたのでしょ?テニスクラブを作って、あたくし、とかよろしくてよ!って言ってみたいなぁと妄想していたのよ」
「それって、だいぶ昔のテニスのアニメよね?」
「だいぶ昔って。うわぁ、これぞジェネレーションギャップというやつね。恐ろしいわぁ」
「2人して何話しているの?全然訳のわからない話をしていたわよ」
マリアナごめん、前世のアニメの話をしてました。
「マリアナ、この学園ってクラブ活動とかあるのかなぁとルーに聞いていたのよ」
「刺繍クラブとか錬金クラブ、騎士クラブ、馬術クラブなどがあったはずよ。私のお兄さまは錬金クラブで、お姉さまは刺繍クラブだったわ。たぶん、生徒会から説明があると思うわよ」
「静粛に!これより入学式を始める。静粛に」
これから、入学式が始まる。校長先生は髭が長い人かしら?4クラスの旗が空中に浮いて、幽霊がふわふわ浮いているのかしらね。
あっ、私たちローブ羽織ってないわ。そこから違ったわ。
校長先生の挨拶から始まる。耳がとんがっている?エルフ?お綺麗な顔立ちをして、スマートに騎士の制服のような出立,佇まい。ずっとガン見していられる出立だった。
「諸君!フォールズ国立セントロイズ学園入学おめでとう。この学舎で、〜」
などなどお話は続いていた。
もうすぐ終わりそうという時に、バーンとドアが開いた。みんな後ろを振り返った。そこにいたのは木に登って降りられないあの子だった。
「ちょっと、誰も助けに来ないじゃない!何してんのよ。私のダーリン、なぜ迎えにきてくれないのよ!」
みんなザワザワしてきた。
だれ?私のダーリンって?なにあの女?えっ?ここの生徒?などなどヒソヒソと囁かれた。
「オホン、静粛に!そこの女生徒、君はここの生徒か?名前を言いなさい!」
「はぁ?私のことを知らないの?ここのヒロインよ。ヒロインの私を知らないなんてありえなーい」
ヒロインって何?頭がおかしい人?怖いわなど先ほどより大きな声で呟かれる。
「君はここの生徒ではない。即刻出ていくように」
えっ?まさかのここの生徒じゃないの?ルーを見て2人でハテナマークがでた。まぁ、あのおかしな子に付き纏われては最悪だから、とりあえずここの生徒じゃなくてよかった。
結局、あの子はなんだったのだろうか?今後、何かしら影響を及ぼすのか、それともこれで終わりなのか。
お兄さまがいる壇上を見ると、なんだあれは?みたいな雰囲気になっていた。運命は感じてなさそうな雰囲気だよね。あんなの連れてこられたら困るよ、お兄さま。




