第73話 進みゆく関係と甘すぎる誘惑
ジェイシス様がお帰りになり、また家族会議です。
今度はジェイシス様も領地にいらっしゃるという話。そして料理人を貸していただける件を話をした。
「公爵様も来るというのか?それも裏方の手伝いなんて、させられるわけないだろう。公爵様も王族のスペースだ。料理人を貸していただけるのはありがたいが」
「お父さま、ジェイシス様にお断りしていただけないのですか?」
「言えるわけないだろう。公爵殿は絶対王族と同じスペースだ。裏方を手伝ってもらうなんてムリだ」
断れないの、お父さま。ダメかぁ。お父さま、血圧が上がりそうですね。
「あと、アイリ、アグリ様が先に領地を見てまわりたい、結界魔法をどの範囲にすれば良いかや、どこに転移するかを教えて欲しいと言ってきた。アレクセイと一緒に領地に転移してもらえないか?そしてアグリ様を案内して欲しい」
アグリ様と先に転移?転移できるの私。そのままそこにいて良い?
「いや、アイリ,まだ話があるからそのまま領地にいては困る。領地のロイドに指示して帰ってきておくれ。アグリ様も、数日滞在して状況を把握するらしい。頼むぞ」
領地に居てもいいではないか。
それから、ジェイシス様から食事に誘われた。
「今日、一緒に食事ができて嬉しいです。アグリ様と領地に行くというのは本当ですか?」
情報がはやいわね。何かいるの?
「はい、アグリ様がどの範囲の結界魔法と転移をどこにするかを調べたいそうです。そのためにお兄さまと一緒に領地に行くのです。初めての転移魔法でドキドキです」
「そうですか、アグリ様がわざわざ言いに来たのですよ。番殿を借りますね、一緒に領地に行って案内してもらうのですと、ニコニコしながら会いにきたのですよ。まったく」
「アグリ様、何故わざわざ言いに行ったのですかね。暇人なのですか?」
「アグリ様を暇人と言えるのはアイリ嬢だけかも知れませんよ。まぁ、嫉妬させようときたのかも知れません」
「嫉妬ですか?嫉妬するような要素がないと思うのですか?」
手を握りしめられた。熱っぽい視線です。
「私はアグリ様が転移であなたに触れることが狂おしいほど嫉妬してますよ。私の方が貴女に触れたいし、貴女のそばにいたいのですよ」
ここは個室。誰に聞かれる訳でもなく2人だけの空間だった。あれ?従業員は?
「ここでは2人だけですよ。ありがたいことに邪魔をしないように番と2人きりにしてくれるのですよ」
なんのサービスですか,それは。この甘い空間をどう乗り切れる?いや乗り切れなかった。
何故かというと今お膝の上にいます。どうしてこうなった?食べさせてあげると言って、お姫様抱っこされ、この状態。
「あの、重いのでおろしていただけるとありがたいです。ダメですか?」
「羽のように軽いですよ。大丈夫です。何を食べますか?この料理は美味しいですよ。はい、アーン」
羽のように軽い、小説で出てくるフレーズ。
こ、これは、口を開けるしかないシチュエーション?ニコリと微笑まれました。口を開けて食べさせてもらいました。お腹より胸がいっぱいよ。
「あ、あのジェイシス様,食べてないですよね。食べてください」
「それでは、そのお肉が欲しいですね」
私が食べさせるの?女は度胸よ。
しっかり食べさせました。残すのはいけないのです。結局デザートまで一緒に食べましたよ。
「このデザート美味しいです。ジェイシス様もどうぞ」
「そうですか、美味しいですか」そう言って、私のく、く、唇にそっとキスした。
「甘いですね」
そして,また,深く長く続いた。私、足に力がはいるかしら?
「ジェ,ジェイシスさ、ま。あ,あの、なぜジェイシス様はデザートを食べていないのに口の中が甘いのですか?」
ジェイシス様は、おでことおでこをくっつけてニコニコしながら衝撃なことを言った。
「貴女も甘いと感じているのですね。嬉しいです。甘いのは番の習性で、お互い思い合っていれば甘く感じるのですよ。少なからず貴女が私のことを思ってくれていることがすごく嬉しいです」
先ほどよりももっと長く続いた。
「はぁ、早く貴女と番たい。早く一緒に暮らしたい」
耳元で囁かないでー。
「あ,あのジェイシスさま、お父さまが領地にお越しくださいと申しておりました。ただし、王族がいるスペースでお願いしますと申しておりました」
「貴女と一緒ではダメですか?」
「ダメです。王族がいる方にお越しください」
もう、耳元で吐息混じりで喋らないでよ。
「それでは、私との時間を取ってもらえますか?それも長い時間、貴女といたい、ダメ?」
ダメ?と甘えてきてますが?
「多分取れると思うのですが」
「たぶん?」
「いえ、取ります、取りますから、首を舐めないでください」
「私はこのままがいいのだが、帰らないといけませんね。帰りますか?帰りたいですか?」
この方は誰?甘い甘いこの人は誰?
「か、帰ります」
そして、お姫様抱っこして,そのまま馬車へ行った。お支払いは?顔を見上げれば、チュッとして大丈夫ですよ、とのことです。いいのかな?
馬車に乗っても同じ体勢。
「あのジェイシス様、もうそろそろ、椅子に座りたいです。ダメですか?」
「ダメですね。貴女が領地にアグリ様と行かれてしまうので、今貴女を補填しているのですから」
ぎゅっと抱きしめられ、また、先ほどの状態に戻りました。絶対私腰に力が入らないような気がする。
「もうすぐ着いてしまうか。アイリ、足に力が入りますか?」
ニコニコしながら言わないで!わかっていて言っているの!もう。
「足に力が入らないのをわかっているのなら、馬車では会話だけでお願いします」
「フフッ、それはムリかな」
魅惑の微笑みです。
「髪の毛などは乱れていないから大丈夫だよ。唇が赤いだけかな?」
膝から降りて立とうとしたが,よろけてジェイシス様の方に倒れた。やっぱり足に力が入らない。もう。
馬車を手前で止めた?
「少し、足が復活してから戻りましょう」
「今度は絶対こんなことしません」
「こんなことって?」
ムキー、甘々ジェイシスからイジワルジェイシスだ。
「もう、絶対今回のような事はしません、わかりましたか?」
「ふふふっ、善処するよ?」
足腰が復活し、馬車を降りて部屋にダッシュ。こんなところを家族に見られたくない。恥ずかしい。
部屋に戻れた。ベッドにダイブ。あー、今日のは何?甘すぎる。ベッドでもがく私に、ミリーが、お風呂いかがいたしますかと聞いてきた。
お風呂入ろうと。
「アイリ様、数日首までのドレスを着用した方がよろしいかと思います」
「どうして?」
「あの、私が申し上げることは烏滸がましいのですが、番様は、やはり独占欲が強いのでしょうか?」
「どうしたの?ミリー」
「すみません、あのここが赤くなっているのですが」
「ふぁーー、赤い,これって、あーー」
あの時だ、首がなんとなくちくっとしたような気がしたけど、その後舐められたから、そちらに意識が向いてしまった。
「そうね,少し襟足を高くすればいいかしら」
「そうですね」
「ごめんね、ミリー」




