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第55話 領地再び

その日の夜、お父さまとお兄さまと話し合った。

そして収穫に合わせて領地に帰ることになった。


「アイリ、デビュタント前に領地で麦を収穫をするのか。蒸留機?というのか、それを使って,酒が作れるとは。石炭で、発芽した麦を乾燥させるのだな?魔石があるから、そういった天然鉱石は使わないのだ。ほぼ無価値としているのが現状なのだよ。石炭か。それならフルーラの実家にある。無価値と言われて続けていたから、使い所があってよかったよ。それを買い取ろう。そして粉砕する機械を作ろう。粉砕する機械はミキサーや貝殻粉砕機の応用だろうし、他に、ドリガン親方に樽や、発芽させるための工程に必要だ容器や、ろ過装置、蒸留機を作ってもらおう、というかもう作っているだろうな。焼酎は蒸し器が必要なんだろう」


「父上、あの勢いならすぐ作ると思います」


「刈り入れの前に一度領地に行くぞ、アレクセイ」


「そうですね父上」

そうです、また、男のロマン?この場合は違うが、並々ならぬ熱意が見受けられます。初めての試みだから、失敗するかもしれないのに、やる気に満ち溢れている。その蒸留機で、私はネイルと精油とフローラルウォーターを作るのだよ。君たちわかっているのかな。


私たちが領地に戻る時、お母さまからのお小言が入った。


「アイリちゃん、くれぐれも日焼けはしないこと。デビュタント前なのに、まったく行かなくてもいいでしょう?ミリー、アイリに日焼けさせないようにお手入れと、体の隅々までのマッサージを充分にするように。わかりましたね」


「は、はいぃ、奥様。しっかりとアイリ様のお手入れをさせていただきます」

ごめんね,ミリー。


ドリガン親方と親方の伯父、ドルストロが、一緒に行くということだ。挨拶をしたが、豪快な人だった。ドリガン兄弟の親代わりの人らしい。精密機械などが得意みたいだ。何気にドリガン兄弟たちは優秀だなぁ。


そして、また領地へ。


快適な馬車の旅。


小麦、大麦が一面黄金に輝いている。おおー。私の麦が収穫を待っている。


「こんなに実っているなんて。信じられない。あの土地が、こんなに見違えるなんて」

お父さま,涙声になっている。そっとしておこう。


成功しているのよね?まだ収穫しないと、中身がスッカラカンってこともありえるので、油断できない。



屋敷前にはロイド達が出迎えするために待っていた。

「お帰りなさい、旦那様、アレクセイ様、アイリ様」


「出迎えご苦労。皆も元気だったか」


「はい、大忙しですが、充実した毎日を過ごしていました」


「そうか,そうか」


そして、旅の疲れを癒すためゆっくりとその日は寛ぐこととなった。私はすぐ寝ました。


次の日から始動です。前もって製造する場所を作り、装置を行程順に置く。寝かせるための貯蔵庫も地下に作ったらしい。本当に力の入れようが違いますね。


「まずは大麦の刈り取りは一部終わってます。言われた通り,粒にしました。悪そうな粒は取り除きました」

ロイドも心なしかウキウキした声だった。みんなだね、ウキウキしているのは。


それからの工程は魔道具です。

ウイスキー、水に浸した発芽〜蒸留、濾過まで。そしてタルに移して寝かせる。

焼酎、麦を蒸して、発酵、蒸留、濾過、水を加える。


私はビールがいいのよ。炭酸を作らないと。鍾乳洞のは微炭酸だったから、強炭酸を作りたい。


魔道具と魔法はすごいのね。魔法がない世界の人たちの労力はどこに?と思うほど、ずるいわー。


工程さえ分かれば、魔道具でサクッと。熟成もできてしまうのかしら?


お酒チームと、農作業チーム。それはもう頑張りました。土魔法士さんたち、いつもありがとう。領内の雇用はこれで大丈夫かしら?


お酒の方は今回、試作、あくまで試作なのよね?量をどのぐらい作ったのかしら?

私は農作業チームなので、お酒はお父さまとお兄さまにお任せしてしまった。冷静沈着のロイドがいるから、暴走はしないと思うけど、お酒工房に行ってみようかしら。


そして、お酒工房では、試飲していた。試飲の量なの?これ。


「みんな、何しているの!まだ、作りたてでしょ!熟成させてこそ、旨みがでるのにそんなに飲んではダメでしょう。お父さま!」

私は手を腰に当て、仁王立ちして言った。


「すまんすまん、ついつい試飲でな、飲んでしまったよ。これはうまいぞ。なぁ、ドリガン殿、ドルストロ殿」


「いやー、嬢ちゃん。まだ、熟成?させなくてこんなにうまいなら,熟成させたらどれだけなのか想像がつかんよ。いやー、ずっと飲んでいられる」

いや、ずっと飲まれても、量が少ない?よね?すぐ無くなるよ。やめて!


「お父さま、まさかと思いますが、あの収穫した大麦全部使いました?」


「えっ、あー、このウイスキー?という名前か、あとショーチューだったかな、を作ったぞ」


「えー、こちらにあった袋まで使いましたか?」


「おー、あるなら作ってしまえと言って作ったぞ。だから、予定より多くできてよかったよ」


「何がよかったよ、ですか。私が別なものを作ろうとしていたのにひどい」


「アイリ、これが第一歩と思って穏便に。なっ、アイリ」


「お兄さまも飲んでたでしょ!」

お兄さまもみんなも顔が赤いよ。ロイドまでも赤い。キッと睨んだが、微笑まれただけだった。全く、私の計画が台無し。ぷんぷんだよ。


「嬢ちゃん、この蒸留機の使い方はこれでいいのか?」


「そうですね、あとは材料を大麦ではなく、とうもろこし,ジャガイモ、ライ麦にすれば、また別のお酒になりま、あっ」

口を塞いだが間に合わなかった。


「なんだって、材料を変えれば別のお酒も作れるのか?」


「モンテスキュー侯爵殿。この機械、別の材料を使えば違う酒ができるとよ。色々試したいな!」


「アイリ、本当か!別のお酒もできるのか。それはいい。だが材料があるかだな」


「ジャガイモでもできるらしい。ショーチューもジャガイモを使っても作れると言っていたな。蒸留機を増進しないとな。色々な酒が飲めた方がいい。よーしゃ、やるぞ」

また、やる気が出てしまったドリガン親方とその仲間たち。

お兄さまがツカツカとやってきて、お酒のことを迂闊にドリガン親方にいうんじゃないと言われてしまったよ。トホホ。


その後言わずもがな。


魔法ってずるいということがわかったお酒造りでした。


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