第25話 苗を買いに街へ行く
執事のジェラードに相談し、街の野菜の種や苗を売っているお店に行きたいことを伝える。
ここに呼べば良いではないかとなったが、自分で見て、選びたかった。鑑定も使えるので、前世の野菜や果物が同じ名前なのかどうかなど、見て回りたかったのである。
午前中、侍女のミリーと図書館へいった。司書さんに植物図鑑がある場所を教えてもらい、何冊か選び机で読んでいた。そこへ、この図書館の館長さんが挨拶に来た。どうして、挨拶なんかにきたのかしら、と思ったらお父さまのお友達だった。この前のお酒の試飲会に参加していた方だった。館長室に案内され、植物のことをおしえてもらった。
「アイリ嬢は植物に興味があるのかい。そうかそうか。とくに何をしたい、何が欲しいというのはあるのかい」
「私のうちの領土は塩害に悩んでいます。何か解消したという文献があるかしらと思い、図書室に伺いました。あとは、どんな野菜や果実がどの気候や土地に適しているのか、実は欲しい植物や野菜があるかも調べにきました」
「ほほぉ、アイリ嬢は勉強熱心じゃな。塩害を克服したというものはない。なぜなら、塩害は解消できないからだ。残念だが。野菜や植物のことを聞きたいなら、いつでも私を頼ってきなさい。」
「ありがとうございます。ザインツ様。ぜひ、頼らさせていただきます。」
「ほっほっほ。いつでもきなさい。名前を言えばどうしてもらうようにいっておくぞ」
「その時は、なにかお菓子などを持ってきますね」
「アイリ嬢の料理は美味しかったからな。楽しみにしているよ」
やりました、良い相談相手ができたー。今後図書館に行くのもいいわね。
午後、街の市場に行く準備をし、お兄さまを待っていた。
「また、街に行くのか?今度はどこにいくのだ」
「今回は野菜の苗を見つけに、街まで行くのです。楽しみです。食べ物もおいしそうなものがあれば食べたいなぁと思っています」
「おっ、いいな。この前フリル、パーシバル、リンドと一緒に街に遊びに行った時、美味しいものがいっぱいあったぞ」
「お兄さま、街に遊びに行ったのですね?」
「あー、あいつら、街に行くのは自由だから慣れたもので、楽しかったよ」
「アレクセイ様、危のうございますので、無断で街に行くのはおやめください。旦那様に許可をいただいてから、行ってください、お願いします」
「わかったよ、今度からお父さまに許可をもらうよ」
「お兄さま、美味しいもの紹介してくださいね。肉が食べたいなぁ」
「そうだな、色々見て回ろう」
「やったー」
「ぼっちゃま、お嬢さま、くれぐれもはぐれないようにお願いします」
「「はい」」
お兄さま、ぼっちゃまって言われちゃってるよ。
苗店には、さまざまな苗があった。
まずはジャガイモ、さつまいもの苗を探す。イチゴもあった。
ナス、トマト、玉ねぎもあった。ラタトゥーユができるじゃないの。買って良いのかと、ジェラードの方を向くと、頷いてくれた。やった、苗が買える。それに付随して、柵や肥料なども買った。
あとで聞いてみると、リバーシや魔道具、料理レシピの売り上げがすごいらしい。やっぱり、異世界でリバーシは売れる。これ絶対。
領地に還元できればよいが、まだまだ足りない。徐々にである。一歩一歩やるしかない。
苗を買い、屋敷に持ってきてもらうことを約束し、いざ、街の散策。肉肉肉。甘いものもあればいいなぁ。
歩いていると、いい匂いがしてきた。肉だー、串肉だ。
お兄さまとジェラード、護衛騎士の分を買い、みんなで歩きながら食べた。はしたないと言われようが、買い食いである。塩加減が絶妙で美味しい。
お好み焼きみたいなものもあったが、これも塩味だな。この世界は塩味ばかりが多い。
甘いものは、りんごのコンポートや果物そのまま冷やして売られていたり、クッキーなどもあるが,硬い。ボソボソしている。
砂糖は高いのでそんなには使えないのか。貴族のお菓子「初めて食べた時、砂糖を食べているかのように甘かったのに。極端すぎる。もっと手軽に買えるお菓子を売り出さないとね。
雑貨や洋服なども見て回った。平民の市場調査である。うちの商会は平民も視野に入れている。特に女性をターゲットに考えたい。少しはおしゃれをしてもいいのではないか。髪飾りや小物類を平民でも手に入る値段にしていきたい。
夕方には苗が届いていた。明日から苗つけ頑張るぞ。
翌朝、いつもルーティンをし、いよいよ苗つけ。
いちご、レッドベリーはプランターみたいな箱で、栽培でいいよね。いつでも摘めるように。ブルーベリーの木も植えた。レッドベリーもブルーベリーも実がついたら、カイルとレオンといちご狩り、ブルーベリー狩りができる。楽しいだろうなぁ。
そして、じゃがいも、さつまいも、玉ねぎ、ナス、トマト、きゅうり。きゅうりの苗は店主からのいただきもの。きゅうりも植えてみなー、ということでもらった。
以前作った畝に苗を植えていった。トムズや他の庭師たちと一緒に植えた。ナスとトマトは同じ種類なので、離して育てないと。あと、大豆ととうもろこしも植えた。一画だけクローバーと菜の花みたいなものを植えてみた。休耕地。
これで輪作していけばなんとかなるのでは。試験実施。先は長いぞ。領地で、試したいのになぁ。
腰がいたい。生活魔法の耕作があって、体力がついたといっても、畑仕事は別の筋力を使うので、きっと明日は筋肉痛だろう。これもいい運動だ。苗を植えた畑をみて、爽快な気分。しかし、貴族の邸宅の庭の一画。奇妙な光景だね。ふふふふ。
お兄さま、帰ってきてびっくりするかなぁ。庭に苗。
「トムズ、この苗たちが大きくなり、身をつけたところを想像してみて。あはは、貴族の庭に野菜畑。面白いよね」
「ははは、そうですね。私はいつも、花や木など庭の手入れをしていたのですが、これからは野菜も手入れしますね。わははは」
私に対して、トムズは最初のオドオドしていた頃に比べて、臆することなく話すようになった。
「トムズ、ごめんね。忙しくなっちゃうね。でも、これが成功したら、いっぱい食べましょうね。美味しい料理を作るわ」
「この野菜たちも成功したら、お嬢さまの美味しい料理に使うなら、がんばりますよ」
目的のために、庭師たちと頑張ろう。
そういえば、土壌改良には、ホタテの貝殻などをすりつぶしたのも良いとのと、連鎖障害になりやすい野菜というのが、前世野菜を作っていた経験上知識がある。うまく知識を使いつつ、野菜を育て上げないと。本当はビニールハウスも欲しい。スキル 分解で何か物質ができないだろうか。まだ、分解のスキルは実験していない。そういえば、魔法を使っていない。魔道具ばかり作っていて、肝心の魔法を使っていないことに気がついた。
なんてこと、魔法の世界なのに、最近便利グッズと裁縫と農作の魔法以外を忘れていた。がっかりしてしまった。もっと魔法を使いこなそうよ、自分。
自分に叱咤激励した。
魔女っ子アイリよ。魔法少女アイリかな。
そういえば、みんな箒で空は飛ばないね。誰も飛んでいない。
自分が魔法使いならやってみたいと思いながらみていた。
誰も箒で空を飛んでいないなぁ。




