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第20話 朝のひと時

 とうとう、お父さまにお願いして作ってしまいました。朝のルーティンがだんだん物足りなくなり、坂道や、ボルダリングのような足腰、腕力を鍛える装置をところかしこに作り、忍者の修行か、はたまたあの風雲何とか城か、はたまたSAS◯K◯かのようなものを作ってもらった。


ゆっくりではあるが、こなせるようになった。ボルダリングは、うーん、腕力が自分の体重を支えられない。1メートルぐらいは登れるようになったが、というかそれは登ったと言えるのか疑問なボルダリングである。

木剣の素振りに入ろうとしたところで、騎士団長のデイズが話しかけてきたのにはびっくり。


「この前の屋敷でのパーティ、楽しかったです。別の騎士団の人たちと話すことができ、美味しい料理もありがとうございました。アイリ様は毎朝木剣で素振りをしていらっしゃいますが、お相手いたしましょうか?」


「⁈?ほんとに?うれしい、ありがとう。えー、ほんとうにいいの」

嬉しさのあまりぴょんぴょん跳ねてしまった。


「どういたしますか?騎士訓練場で、手合わせいたしますが。」


「いやー、みんなに見られるのも恥ずかしいしなぁ。でも、訓練場に行くわ」

 

「それとお願いがあるのですか、この施設を騎士団員にも使わせていただけないでしょうか。能率の良いこの設備、感服いたしました。できましたら、お昼以降など使わせていただきたいです。」


「いいわよ、というかお父さまに確認してね。朝、私がやっている以外の時間なら、大丈夫よ」


「ありがとうございます。早速、旦那様に確認させていただきます。では、アイリ様、訓練場に行きましょう」


みんながなんだか集まってきてしまっているけど。この中でやるのー。うわー、お兄さまも見にきている。


「それでは、アイリ様、どこからでもかかってきてください」

 

「それでは、よろしくお願いします」

45度礼をした。

目を閉じ、精神統一し、剣道の構えをした。

デイズ団長が驚いている。


一歩出てみたが、さすがに隙がない。一歩下がり、横にジリジリとズリ足して、間合いを取る。一気に詰めるか。


懐に飛び込んで、フェイントかけてからの逆胴も防がれた。また間合いを取ったが本当に隙がない。目でフェイント、一瞬動こうとしたが無理だった。これまた防がれ、真正面から打ちにいくしかないな。どこか隙を見つけなくては。


正面から打ちにいき、団長さんからの攻撃も躱しながら、木剣と木剣を交えた。


うわぁー、重いよ、非力なこの子の腕にはきついなぁ。力を流して躱し、隙をついて、小手をしてみたがこれまた団長さんに躱された。もうこうなったら打つべしだな。懐に入り、手当たり次第容赦なく打っていったが、結局力技で、吹っ飛ばされた。

 

立ち上がって、場外にいき

「ありがとうございました」

と、45度礼をし、終了。

礼に始まり礼に終わるだ。


「アイリ様、すごいですね。ここまでできるなんて思ってもみませんでした。」


「いえいえ、全然団長さんに当たり前だけどかなわない。隙がなさすぎるですよ。」


「アイリ様も隙がなかったですよ。結局最後は力技になってしまったのが無念です。

私の負けですよ。あの手に打ち込もうとする技はなんですか?はたき落とされるかと思いましたよ」

あー、小手ね。


「あはは、無我夢中で。また、団長さんのお暇な時がありましたら、手合わせをお願いします」と、社交辞令で終わりにしようとしたが、


「今度は私が手合わせしますよ、アイリ様」

と、副団長のラミアスが言ってきた。


えー、上位人は別にいいよー。怖いじゃない。隙がないし。師範を相手にしているようで嫌だわ。前世も、大学時代までいい成績だったけど、師範には勝てないのよ。


「機会がありましたら、よろしくお願いします、おほほほ」と、ここでも社交辞令で切り返す。

「ありがとうございました」と、そそくさと撤退。

楽しかった。剣道


「アイリ、すごいな」


「お兄さま、見られていて恥ずかしかったです」


「それより、あの間合いや、切り込み方、前世で何かやっていたのか?」


「前世、剣道という武道をやっていました。」


「剣道?」


「鋭い剣ではなく、竹?で作られた木剣で、打ち合う試合です。胴着を着て、面というのが相手の頭を打つ、胴は相手の胴のところを打つ、そしてコテ、手を打つという、やはり相手の隙をついて打ち込む競技です。それを小さい時から22歳までやってました。大会とかで優勝もしてました」


「ふーん、団長も緊迫していたから、お前も隙がなかったのだろう」


「ほんと?今回、自分がいっぱいいっぱいだったから、全く余裕がなかったの。隙がなくて、マジ団長強し。でも、いい運動になった。明日筋肉痛だろうなぁ。腕がプルプルしている」


「プハッ、全くアイリは、面白いな」


「えー、おもしろキャラ?」


「また、知らない言葉出てきたよ、キャラって何、キャラって」


「人物?人柄?ってことかな」


「前世の言葉が出過ぎだぞ。まったく。毎日かかさず鍛錬しているから、かなり痩せたな。今までがブクブクだったからな」


「おい、兄者、ブクブクという言葉は女性にいうものではないぞ、こらっ」


「はははっ、兄者って。侯爵令嬢の言葉ではないぞ」

2人して笑い合った。


「整えてから、朝食に行こう」


「はーい」

兄と仲良くなれたよかった。


「また、ドリガン親方のところに行くのか?今度は何を作ってもらうのだ」


「今度はね、化粧品を作るのよ。美白効果のある化粧品。シミ対策よ」

と、力説する。


「そうなのか。女性に喜ばれそうな化粧品だな。よし、俺も一緒に行くよ」


「お兄さまが一緒は心強いです」

「ぜったい、お前、俺がいれば屋台の串焼き肉を食べられる、やったーという顔をしている。なぜバレているって顔しても、お前の屋台愛が異常なんだよ」


「いや、串焼き肉美味しいし、お兄さまがいれば、一緒に食べられるから嬉しいのよ」


「1人では食べられないからな」

おー、お兄さま、読みが鋭いね。そう、1人で広場で食べられない辛さがあるのよ。別に1人で食べていいのよ、私は。ただ、世間体的にダメなのか?女性は1人で広場で食べないという嗜み。解せぬ。


とりあえず、お兄さまに何を作りたいか、行く前に説明して、これも商会で売り出せればいいのだが、肌トラブルを起こすと大変なので、実験を重ねて、品質的によければ売り出せば良いと思う。


一旦部屋に戻り、整えてから朝食にいこうということで、お兄さまと別れた。




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